摩周ブルーを堪能!カムイの山「摩周岳」

【弟子屈町】 道内の観光地でも特に有名な摩周湖。バスツアーやドライブで展望台に行ったけど、霧で何も見えなかった……なんて人も多いが、晴れた日のサファイアブルーに輝く湖水は一見の価値がある。そして、その摩周湖の背後にそびえ立つのが、アイヌ語でカムイヌプリ(神の山)と呼ばれる標高857mの摩周岳。ただこの山、展望台からは見覚えのある割に、登った人は意外と少ないはず。今回の先っちょ紀行はその摩周岳に登り、上から目線で美しい摩周ブルーを堪能してみよう、という試みだ。

先っちょ度 ★★★☆☆ 標高はそれほど高くないが、実は落差約500mの断崖絶壁。
知 名 度 ★★★★★ 誰もが一度は見たはず?道内屈指の観光地。
難 易 度 ★★★★☆ 片道7.2キロ。頂上までのアタックはなかなかの本格登山。

GoogleMapによるとこんな感じ。

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摩周岳へのルートは、おなじみの摩周湖第一展望台にある登山道入口から、摩周湖の外輪山をぐるっと周る7.2kmの行程だ。駐車場に到着して登山道入り口にある名簿に記入し、まだ残雪の残る摩周湖の外輪山を歩き始める。登山道はこの冬の影響なのかまだ残雪が多く、ザクザクの雪に足を取られて歩きにくいが、尾根歩き特有のリズミカルなアップダウンコースは、左手に摩周湖、右手に広大な根釧台地を望めて爽快な気分。残念ながらこの日は、春特有の霞んだ空で摩周ブルーもちょっと薄めだったが、いつもの展望台とは違う角度でこの湖を独り占め出来るのは、登山者だけの特権だろう。




しばらく外輪山を進むと、やがて道の向こうに摩周岳が大きく迫ってきた。今までの快適なアップダウンは終わって、この先はかなりキツい斜度の登りが待っている。見上げると山肌は荒々しくそそり立って遥か上に頂上がそびえ、そこから落差500m近い崖下に広がるすり鉢状の旧噴火口を見下ろすと、その壮大なスケールとスリルに足がすくむ。時折登山道をさえぎる残雪を、足元を踏み固めながら慎重に登っていくと、いよいよ岩山のてっぺんが見えてきた。雪のせいで3時間半かかったが、摩周岳にやっと登頂できた。




摩周岳の切り立った火山岩の頂上は360度の大パノラマだ。眼下の摩周湖や噴火口はもちろん、隣には西別岳、遠くには斜里岳や知床連山も見える。これから夏場にかけて摩周湖名物の霧に覆われて視界が望める日は減るが、快晴の多い秋になればもっと遠くの阿寒方面や、根釧台地も遥かに一望でき、絶好の登山になるだろう。もし登山の経験に自信がなければ、ルート途中にある標高683.2mの摩周湖峰(ましゅうこみね)まで片道約1時間の外輪山ツアーだけでも、手軽に摩周ブルーの美しさを楽しめるはずだ。トレッキングシューズなど装備を整えてチャレンジしてみよう。

摩周岳登山口(摩周湖第一展望台)
住 所:川上郡弟子屈町摩周原野
施 設:展望台施設、駐車場(有料)、トイレ
アクセス:マイカー、またはJR釧網本線摩周駅バスターミナルからバスで約20分、同じく川湯温泉駅バスターミナルからバス(冬季運休)で約50分。「摩周湖第一展望台」バス停留所で下車。

注 意:摩周岳へは往復で6~7時間ほど掛かるため、事前に情報を集め、余裕を持った登山計画を立てたい。摩周湖は濃霧や強風など天候が変わりやすく、ヒグマにも注意。登山道は整備されており迷いにくいが、トイレはないので、登山者名簿の記入と共に登山開始前に済ませておこう。