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阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験

五位野健一
Written by 五位野健一

【釧路市】 「これから面白いところに行くから一緒にどう?五位野さんの記事にピッタリだと思うんだけど。」2月にポンポン山の取材でお会いした女性から、耳寄りな話を聞いた。なんでも釧路市阿寒町の鉱山でホタテが獲れるという。ん?阿寒町に鉱山?しかもホタテ?当初は別の記事を書こうと取材の準備をしていたのだが、急きょ予定を変更、クルマに同乗させてもらうことにした。助手席で詳しく伺ってみると、数百万年前の貝がぎっしりと詰まった地層が阿寒町の山奥にあって、所有している会社が週末限定で一般にも開放しているという。同じ貝でも潮干狩りではなく、古代の化石掘りだったのだ。そりゃ確かに面白いと、車中での会話がひとしきり弾んだ。

阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験 時おり雨がパラつくどんよりした空の下、クルマはいかにもヒグマが出そうな雰囲気の林道をどんどん分け入ってゆく。やがて川沿いの斜面を下ると、目の前に大きなグレーの山肌が突如として現れた。阿寒シェル鉱業の採掘現場に到着だ。実はこの山肌、新第三紀鮮新世と呼ばれる520~200万年前に海だった場所が長年のあいだに隆起した地層が含まれており、古代の海底で堆積した貝類などが、地中の高い圧力により硬いカルシウムの岩盤になっているそうだ。タカハシホタテという、今では絶滅した古代ホタテを中心とした様々な貝類やフジツボ類、果てはジュゴンでよく知られているカイギュウの肋骨なども、ここから出土しているという。

阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験 阿寒シェル鉱業ではこの地層を平成7年から、主に土地改良剤や有機肥料用カルシウムの露天掘り鉱山として、他社と共同で事業化しているそうだ。しかし、学術的にも貴重な貝化石が比較的カンタンに採掘できるとあって、各地の教育関係者や一般の収集家からも利用したいとの要望が以前から多く、また、鉱山の中央から、天然のカルシウムやカリウムを含んだ良質なミネラルウォーターが湧き出しており、地域振興のためにも上手く活用出来ればと考えていた。そこで会社は4年ほど前から週末限定で入口ゲートを開け、鉱山を一般にも開放することにしたそうだ。貴重な貝化石が産業と学術の両面で活用されると共に、おいしい湧き水までも提供するという、粋な図らいに感心してしまった。

阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験 ここの鉱山はトンネルの坑道を掘り進むタイプではなく、露天掘りの開放的な外観だ。入り口には大きな立岩があって、タカハシホタテの貝化石があちこちに散りばめられている。よく見ると貝殻は現代のホタテよりもずっと大きく、中央の膨らみが強い原始的なカタチだ。あえて言うなら、ボッティチェリの絵画「ヴィーナスの誕生」で、ヴィーナスが乗っかってる貝殻みたいなイメージ。さっそく採掘したタカハシホタテを持たせてもらったが、ホタテ貝らしからぬ分厚いボリュームがあり、片手で持つとずしりと重い。ただ、劣化が進んでいるのか厚さの割にはもろく、指先で簡単にパキっと割れてしまう。そのため、地層に貝化石を発見しても、完全なカタチで掘り出すのはなかなか至難のワザだった。

阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験 道具を借りて筆者も実際に掘ってみたが、貝の周りを慎重に掘ってもある程度のところでヒビが入り、ヤってもた?!ということが実に多い。コツを聞いてみると、貝が埋まっているイメージを見定めて、周りを慎重に掘るというテクニックがいるらしい。まるで昔、お祭りの縁日でよくやった「型抜き」みたいだ。ただ、型抜きと違うのは、キレイに掘り出せなくても持ち帰る事が出来ること。貝の周囲をざっくりと掘り出してクルマに積み、家で付着した貝くずを慎重に取り除き、水溶き木工ボンドなどの保護剤でコーティングすると、立派な標本が作れるという。この貝化石掘り、夏休みの自由研究には間に合わないかもしれないが、山の中に埋もれている古代のロマンを掘り起こし、楽しい思い出として家に飾ってみるのもいいと思う。週末に親子でチャレンジしてみてはいかがだろう。



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阿寒の山奥で古代ホタテを掘ったって!? 「阿寒シェル鉱業」で貝化石採掘体験株式会社 阿寒シェル鉱業
会社住所:釧路市阿寒町西阿寒19線31番地1
鉱山住所:釧路市阿寒町蘇牛(そうし)
電話:0154-66-3340(要連絡)
担当:太田さん

開放日:土・日曜日、または土日にかかる連休の祝祭日
開放時間:8時~17時
開放期間:例年 5月中旬~12月中旬(要確認)※ただし、降雪があった時点で終了

阿寒町蘇牛地区にある鉱山は、人里離れた山中にあるので判りにくい。阿寒町市街からのルートは以下のとおりだが、事前にGoogleマップで詳細を確認しておくといいだろう。

・国道240号線「まりも国道」を、阿寒湖方面に北東へ約10kmほど直進
・阿寒町中徹別の十字路で左折し、国道274号線へ
・阿寒川に架かる橋を渡り、右手の農場を過ぎてすぐの十字路を右折
・農道を6.5キロほどしばらく北上し、阿寒町蘇牛45線のT字路を左折
・林道を600メートルほど西に直進すると「阿寒シェル鉱山」のゲートが見える。ゲートが開いていることを確認し、引き続き林道を直進すると下り勾配となり、ほどなく現地に到着。

一般開放は阿寒シェル鉱業の善意で行われているため、利用にあたっては自己責任を承知の上、以下の注意事項を守ること。トラブルなどが起きた場合は一般開放が中止される恐れもあるので、節度をもった利用を心がけてほしい。

【注意事項】
・土日の開放時間内でも、特別の作業などでゲートが閉じられている場合がある。利用予定日に入山可能かどうか、事前に電話確認しておくこと。
・ゴミやタバコの吸殻などを捨てないこと。
・トイレは用意されていないので、阿寒町市街などであらかじめ済ませておくこと。
・積み上げている山を故意に崩したり、置いてある機械などに触れたりしないこと。
・鉱山中央にミネラルウォーターの湧水口があるので、汚さないよう注意すること。
・子供が利用するときは必ず大人が同伴し、怪我のないよう充分に気をつけること。

【装備などについて】
・あらかじめハンマーやタガネ、熊手、ハケ、袋などを用意しておこう。ホームセンターや100円ショップなどでも購入できる。採掘にあたっては、道具で指を怪我しないよう慎重に扱いたい。
・貝化石の地層はヤスリのようにザラザラしており、手足をすりむきやすい。半袖短パンなどの軽装は控えると共に、手袋を必ず着用しよう。
・晴れた日は気温が30度以上になることも多い。帽子を持参するなど熱中症対策を。
・夏場はアブやブユ(ブヨ)などが非常に多いので、虫よけグッズが必要だ。また、周辺はヒグマの生息エリアなので、熊よけ鈴などもあるといい。
・林道は整備されているので普通自動車でも走行OKだが、現地までルートは判りにくい。
・携帯電話は繋がらない場合が多い。いったん現地を離れ、林道を引き返したほうが確実だ。
・鉱山中央には、冷たくて美味しいミネラルウォーターが湧きだしており、開放日には自由に飲んだり持ち帰ることが可能。化石掘りとあわせてぜひ利用してみよう。

釧路市立博物館
http://www.city.kushiro.lg.jp/museum/
住所:釧路市春湖台1-7
電話:0154-41-5809

地層や化石の学術的な情報については、釧路市立博物館にお問い合わせを。博物館では年に1度、日帰りツアーによる現地での化石教室を開催しているので、そちらへの参加もオススメだ。

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筆者について

五位野健一

五位野健一

1969年釧路生まれの自称不動産投資家で大家さん。通称ゴイケン。 長年の東京生活を離れ、現在は郷里で中古不動産の再生&賃貸業を営む。 「クシロマニア」では日本の他にない、道東ならではの情報を探している。 将来は自分のアトリエを持ち、アーティスト活動を目論んでいる様子。【Sクラス認定ライター】