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湿原で小さな野鳥の奥深さにハマる!夏の野鳥撮影入門

五位野健一
Written by 五位野健一

湿原で小さな野鳥の奥深さにハマる!夏の野鳥撮影入門

北海道内でも多くの野生動物が生息している道東エリア、その中でも釧路湿原やその周辺で見られる鳥は、タンチョウやワシ類、オオハクチョウなど大型のものが有名で、毎年特に冬には多くの写真愛好家やバードウォッチャーが訪れています。

そんな中、大型の鳥とはひと味違った「小さな野鳥たちの魅力」を発信しているのが、釧路市阿寒町にある阿寒国際ツルセンター「グルス」の館長、河瀬 幸(かわせ みゆき)さん。

▼阿寒国際ツルセンター「グルス」館長 河瀬 幸さん
湿原で小さな野鳥の奥深さにハマる!夏の野鳥撮影入門

河瀬さんはグルスの館長として、国内はもとより広く海外からも訪れる来訪者へ特別天然記念物であるタンチョウの魅力を伝えると共に、小さな野鳥たちの姿も精力的に撮影して、個人のブログや鳥や動物をテーマにした写真展を開催するなど釧路エリアの自然を多くの人に伝える活動を行っています。

そんな河瀬さんに、野鳥撮影の楽しさやそのテクニックなどを伺ってみました。

―― タンチョウなど大型の鳥とは違う、小さな野鳥の魅力はどこにありますか?

河瀬: 夏鳥は主に渡り鳥として北海道にやってきて営巣する種が多いんですが、「一期一会」というか撮影するタイミングによって見られる鳥が違ったりして、次は何に出会えるかな? という楽しみがあるんです。
毎年決まって渡ってくる鳥はもちろん、滅多に見ることの出来ない「レア」な鳥を発見した時はとても嬉しいです。ポケモンみたいですよね(笑)。
あとは、毎年続けて観察していると今年はあの鳥来るのが遅いなぁとか、今まで姿を見なかった鳥が来た時など、その年の傾向や気候の変化なども感じることが出来るのも小さな野鳥撮影の魅力ですね。

―― この時期は、主にどんな野鳥が見られますか?

河瀬: ここツルセンターに隣接して、湿原の自然環境を再現したビオトープがあるんですが、春から夏にかけてアオジやノビタキ、ウグイス、センダイムシクイ、カッコウやコサメビタキといった林にいる鳥から、ヤマセミやカワセミなど水辺を好む鳥まで、さまざまな種類が入れ替わりでやってきます。
この間はクマゲラ(日本最大種のキツツキ)が飛来したりして、毎日観察していると珍しい鳥にも出会えたりしますね。

▼ヤマセミ
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▼クマゲラ
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―― 釧路湿原やその周辺の撮影ポイントについては?

河瀬: 釧路湿原で撮影するなら鶴居村温根内(おんねない)のビジターセンターなど、木道が整備されている場所が歩きやすく、野鳥を撮影しやすいです。
あとは、来館されるお客さまから釧路湿原のポイントを訊かれた時は、標茶町の塘路(とうろ)からコッタロ地区へ伸びる道路沿いもオススメしています。水辺の湿原から周辺の山々へ続く道なので、歩きながらいろいろな野鳥を見ることが出来ます。
また、これから野鳥撮影を始めるならここのビオトープをぜひ訪れてみてください。ヨシ原の湿地や林、阿寒川の水辺など、湿原の要素がコンパクトに揃っていて、短い時間でとても「濃い」撮影が楽しめますよ。

▼阿寒川の岸辺でヤマセミが現れるのをじっと待つ
湿原で小さな野鳥の奥深さにハマる!夏の野鳥撮影入門

―― 野鳥撮影で押さえるべきツボは何でしょう?

河瀬: まずは耳を澄まして野鳥の声や動きを感じることです。鳴き声が聞こえればどこの方向にいるのかが判るので、カメラを構えて鳥が動くのをじっと待ちましょう。
鳥は人間にいろんなメッセージを伝えてくれるんです。それを感じることが出来れば、野鳥との距離がぐっと近くなると思いますよ。
私は毎日撮影をしているので鳥のほうも私を覚えてくれているのか、あまり警戒されなくなった気がしますね(笑)。 また、野鳥が撮影出来たらそれが何という名前の鳥なのか、あとで必ず画像を見ながら調べてみるのがオススメです。イカルとコイカルなど、わずかな模様の違いで判別が難しい種もいるので、名前がわかれば、次に撮影する楽しみがもっと深まります。

▼湿原の要素がコンパクトに揃っているビオトープ
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―― 撮影にはどんな機材が必要でしょうか?

河瀬: もし、これから野鳥撮影を始めたいのであれば、ミラーレス一眼+Wズームレンズセットなどから入門して、ゆくゆくは大口径単焦点レンズを揃えていくなど、徐々にステップアップするのもいいでしょうね。 私が撮影を始めたきっかけは、知り合いの方がカメラを買い替える時に中古で譲ってもらった、エントリークラスの一眼レフと28mm~300mmのズームレンズでした。
現在は、APS-Cセンサーの中級クラス一眼レフと300mmF2.8の単焦点望遠レンズをメインで使い、サブとして便利な100mm~400mmのズームレンズも持っています。三脚はカーボン製の軽量ながらしっかりた大型のものを使っていますね。
300mmの大口径単焦点レンズは重いので肩も凝りますが、ズームレンズに比べると画像のキレが良く、写真展など大きな作品作りには欠かせない存在です。
また、動きの速い小さな野鳥を撮影するには機動力も大事なので、冬場のタンチョウを撮影するような超望遠レンズよりも、この組み合わせが合っていると思います。

▼今回使用した撮影機材
湿原で小さな野鳥の奥深さにハマる!夏の野鳥撮影入門

小さな野鳥はこの釧路湿原や周辺エリアに限らず、みなさんの自宅近くの庭や公園など、身近な場所で目にする機会も多いと思います。そういった意味で、これから本格的にカメラを始めてみたいと考えていた方が入門するにはピッタリの素材。そこから撮影テクニックや機材、野鳥の知識などウデを磨いて、いずれはタンチョウなど大型の鳥にチャレンジ! という目標を立ててみるのもいいかも知れません。

手軽なのに奥が深い夏の野鳥撮影、みなさんもぜひお試しあれ。

<取材協力>
河瀬 幸(かわせ みゆき)さん プロフィール
阿寒町(現在釧路市阿寒町)出身。ハウスメーカーやゼネコンでの勤務等を経て、現在、阿寒国際ツルセンター「グルス」で館長を務める。館内外でタンチョウの魅力を伝える活動に励む傍ら、2010年には写真集「丹頂」を発行、今年4月には阿寒湖温泉で写真展を開催、また、野鳥の写真を中心とするブログ「タンチョウ&ミキィ」を毎日更新するなど、道東の自然が持つ素晴らしさを広く発信している。 ブログ

阿寒国際ツルセンター「グルス」
釧路市阿寒町上阿寒23線40番地
0154-66-4011
公式ウェブサイト
1996年に誕生した国内屈指のタンチョウ保護研究施設であり、近年は、タンチョウとワシがエサの魚を奪い合うバトルで特に有名。その姿をカメラに収めようと、冬のシーズンには多くのカメラマンが来館、海外からの観光客も多い。 併設している広大なビオトープは、入館者が自由に木道を歩いて自然観察が出来るほか、ガイド付のツアーとして、ヤマセミやカワセミなど阿寒川の水辺に生息する野鳥を観察する特別コースもある(要予約)。

<協力>
カメラのキタムラ釧路店
ウェブサイト

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筆者について

五位野健一

五位野健一

1969年釧路生まれの自称不動産投資家で大家さん。通称ゴイケン。 長年の東京生活を離れ、現在は郷里で中古不動産の再生&賃貸業を営む。 「クシロマニア」では日本の他にない、道東ならではの情報を探している。 将来は自分のアトリエを持ち、アーティスト活動を目論んでいる様子。【Sクラス認定ライター】