流氷の天使「クリオネ」って何者?

 流氷といえば北海道、オホーツク海、もうひとつ忘れてはいけないのがクリオネですね。冬のオホーツク海のマスコット的存在になっています。羽根を広げたような姿をしており、スースーと泳ぐ様は、神秘的で可愛くそれでいて上品です。流氷の天使または妖精と呼ばれる由縁です。ところでクリオネってなんなんでしょうね。

動画(ムービー)

クリオネとは?

 日本での正式名称は「ハダカカメガイ」、英語ではsea angel。一般に「クリオネ・リマキナ」と称されます(ギリシャ神話のクレイオという海の女神とナメクジのような形という意味)。そう、名前から分かるように「巻貝」の仲間なんですね。貝といっても普通の貝を想像してはいけません。貝殻を持たず、はって進むのではなく翼足という”羽根”を櫂のように使って浮遊しています。

 1月下旬に流氷がやってくる季節になると、流氷とともに北のほうからやってきます(速度は遅いですが流氷の穴に入り込んでいるため体の割に高速移動が可能です)。そして流氷が溶ける春頃に魚のえさになってしまいます。「流氷とともにやってきて、流氷とともに去る」とはこのこと。

 水温は4度以下が適しているようです。大きさは1~3cmという大きさで、寿命は1-3年程度です。体は透き通るような半透明で、頭部(オナカ)と尾っぽが赤く、海の青色によく似合います。

 これによく似たものとして同じクリオネ科のイクオネもいますが、外見ではクリオネのほうが好かれやすいでしょう。

 ところでクリオネはオスでありメスでもあるそうですね。要は雌雄同体というやつです。産卵する卵の数は数百にもなります。生まれたてはなんと貝殻がちゃんとあるんです。そしてそのころは植物性プランクトンを食べるのです。

クリオネの本当の性格……泣

 そんなかわいらしいクリオネも、海の世界では肉食性。ミジンウキマイマイというこれまた貝を食べて生きています。食べ方は頭部にある2つの触角の間から6本の触手(バッカルコーン)を長く伸ばしてさらにフックのうでしっかり捕まえ、殻の中身だけを少しずつ食べるという方法。

 この食べ方は「獰猛」とされ、かわいいというイメージを覆す要素にもなっています。だから、真の姿を見てショックを受けないためにも、惚れすぎないようにお願いします^^。

だけど……結局かわいいよね?

 とはいっても悠々と泳ぐ天使、くねくねと動き、体も細くなったり変形させたり、見ていて飽きないクリオネです。実はまだまだ分からないことが多いクリオネで、生態の研究が今後さらに進められていくことでしょう。

 ところで、クリオネ採取は海岸でも少しできるようです。個人的に飼育するのは自由なのでやってみては?流氷にくっついていたり、流氷の下で浮遊していたりします。ただし水温やエサの問題などもあるため、飼育は難しいですが。(※簡単に飼育する方法はすぐ下参照!)