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キタキツネ、えさをねだる動物

キタキツネ、えさをねだる動物  北海道を旅行していて、みやげ物を買おうとすると、土産物店内のあちこちにキタキツネのイラストが描かれたキーホルダーなり、ハンカチなり、置物なり見かけます。土産物のイメージにふさわしいかわいいアニマルマスコットなのです。

 しかししかし、どうして、キタキツネは北海道では触れてはいけない、見るだけにしときなさいとされています。最近では車道にまで出てきて、えさをねだるキタキツネさんたちが続出しています。車が近寄ってもおかまいなし。だからドライバーは北海道では珍しいほどの徐行運転で、キタキツネの愛嬌ある姿に見とれます。これを俗に「観光キツネ」と呼んでいます。

 キタキツネによる被害も続出、キャンプしている客が、朝起きてみたら朝食がなくなっているというのは、北海道人なら経験したことはあるでしょう。また身近な動物なので、道路を颯爽と横断していく姿を何度も目撃できます。たま~に「あれキタキツネでないかい?」「え、ちがうよ犬だよ」「えーキタキツネだって」という車中論争が起きたりもします(笑)。

 ではまず、キタキツネ(アイヌ語:チロヌップ等)ってどんな動物なのでしょうか?


そもそもキタキツネって?

キタキツネ、えさをねだる動物  食肉目イヌ科キツネ属。本州にはホンドキツネがいて、北海道はキタキツネが生息していますが、両者とも同一の種類です。尾っぽが長く、全長1mほど、体重4~6kgです。生息域は北海道ほぼ全域ですが、特に道東に多いのは良く知られています。大自然の秘境、知床半島にも当然ながら生息しています。わたしは摩周湖の近くで、"観光キツネ"を見たことがあります。

 何を食べているのかというと、昆虫、果実、小動物だけでなく魚まで食します。いわゆる雑食性。1990年代半ばに一時期、病気の流行により生息数が減少したようですが、最近は回復している模様です。

(※写真は室蘭市地球岬付近にて)

なんでキタキツネにさわったらだめか……

キタキツネ、えさをねだる動物  さきほども書いたように、キタキツネを見るのは自由です。わーかわいい!と騒ぐのも自由ですが、近寄ったり触ったりしないように勧告されています。

 そんなキタキツネの半数以上はエキノコックスに感染しているといわれています。エキノコックスとは、いわゆるサナダムシで、食われるねずみと食うキタキツネの食物連鎖の中で生存しています。

 人に感染すると大変なことになります。肝臓などに幼虫が潜むとエキノコックス症が起き、腹痛や発熱、吐き気などが起きますが、その時点ですでに病気が進行しています。最悪の場合肝不全などで死んでしまいます。

 ……だ・か・ら……

 直接触ることはおろか、山の沢水を飲むのも危険ですし、山菜も危険です。キタキツネはあちこちに居ますので、洗浄と加熱、手洗いは確実に行うようにしないとだめです(感染しているか診断は道内の保健所へ)。

えさをあげても?

 だめなんです。餌付けというか、人間からもらうえさになれてしまうと自分でえさをとろうとしなくなります。当然野生では冬を越せなくなり、死んでしまうこともありますし、スナック菓子をあげたら栄養不良になりますので、ゼッタイにあげないように。

とはいうものの、やっぱめんこいべさ!

キタキツネ、えさをねだる動物  それでもやっぱり北海道の動物の中でも人気ですから。だから「キタキツネ物語」というような大ヒットドキュメンタリーが生まれるわけです。「キタキツネ物語」とは、北海道に住む野生のキタキツネ一家の姿を追ったドキュメンタリーです。1年のキタキツネ一家の成長を追った物語ということで、人間ではなく動物ですから、簡単じゃなかったはずです。ちなみに制作期間も4年近く、制作費は数億円とも言われています。愛くるしいキタキツネに酔いしれたいあなた、必見です!
→「キタキツネ物語」蔵原惟繕監督

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