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出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

フロストフラワーをご存知でしょうか。水面から立ちのぼった湯気が厳寒の空気中で急速に冷やされ、湖面に張った氷の上に舞い降りて大きな霜の結晶を作る現象を、一般的に「フロストフラワー」と呼んでいます。

ただ、その名前は知っているものの、実際に目撃したことのある人は意外に少ないのではないでしょうか。なぜならこのフロストフラワー、いくつかの条件が完全に揃わなければ見ることのできない、非常にレアな「氷の花」だからです。その条件とは以下のとおり。

フロストフラワーの発生条件

①気温がマイナス15度以下
②無風または微風である
③気温に比べて水温が高め(温度差で湯気が発生しやすい)
④氷が張っている
⑤その氷に雪が積もっていない

北海道内の内陸部であれば、①と②の条件クリアは比較的簡単なのですが、問題は③〜⑤です。気温がマイナス15度を下回る厳冬期になれば、湖や川の水温が一気に下がって氷が張りつめ、フロストフラワーの素になる湯気が立ち昇らなくなるのです。また、たとえ水面が出ていたとしても、周囲の氷に一度雪が積もってしまえば、フロストフラワーは雪にまぎれて見えなくなってしまいます。

出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

このように、フロストフラワーを見るためには多くの条件を全てクリアしなければならないのですが、実は道東エリアで、それをパーフェクトに満たす場所がいくつかあるのです。その中のひとつ、屈斜路湖の和琴半島へ何度か取材を試みました。

12月から現地の天気予報をチェックしつつ、最低気温が「マイナス15度以下」で「風が穏やか」な日を待ち続け、早朝の和琴半島に何度かチャレンジしましたが、そのハードルは予想以上に高く、結果を出せないまま帰路につく日が続きました。

そして2月に入り、いよいよその姿を見るチャンスが訪れたのです!

屈斜路湖の和琴半島周辺にフロストフラワーのお花畑が!

出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

当日は午前7時過ぎに現地へ到着、天気予報どおりの微風にひと安心です。さっそく持ってきた温度計で気温を測るとマイナス16度! 深呼吸で鼻の中がピリッと凍るくらいの寒さの中、湯けむりが立ちのぼってフロストフラワーの期待が高まります。

実はこの和琴半島、湖畔の周辺にいくつかの天然温泉があり、岸辺に湧く熱い源泉もあります。つまり、温かい水が湖に流れ込むことで真冬でも氷が張りにくく、大量の湯気が立つことからフロストフラワーが発生する条件が揃っているのです。

うっすらと立ち込める湯けむりの中を進むと、見つけました! 湖畔に広がるフロストフラワーのお花畑が!! これまでのチャレンジがやっと報われた思いです。

出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

澄み切った快晴の空の下、ブルーの湖面に点々と散りばめられたフロストフラワーはまるで、夜空に浮かぶ天の川のようです。しかもよく目をこらして見ると、フラワーの結晶が太陽の光を反射してキラキラとまたたいているではないですか。

肌に突き刺すようなすさまじい冷気で手が痛くなるほどの寒さですが、その美しさに見とれながら夢中になってシャッターを切っていました。

出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

フロストフラワーの向こうには無料の露天風呂「和琴温泉」の流れ込みがあり、温かく氷の張らない水面には、シベリアから渡ってきたオオハクチョウが優雅に泳いでいます。厳しい冷え込みの中、この水辺は鳥たちにとって楽園なのかも知れません。

出会えたら奇跡!? 厳寒の屈斜路湖に咲く氷の花「フロストフラワー」

なかなか見ることのできないフロストフラワー。レアな現象だけに、出会えた時の感動はひとしおです。みなさんも、マイナス15度以下の天気予報を狙ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【動画】動画で見る屈斜路湖のフロストフラワー

屈斜路湖和琴半島湖畔へのアクセス

【GoogleMap】屈斜路湖和琴半島(川上郡弟子屈町屈斜路)

和琴半島は、釧路市街からクルマで約1時間50分。国道391号線「摩周国道」で弟子屈町方面へ、そこから国道243号線に乗り換えて美幌峠方面に向かう途中にあります。道のりは凍結路面のアップダウンやエゾシカの横断なども多いので、時間に余裕を持って安全運転で向かいましょう。

フロストフラワーを見るのは早朝がメインになるため、厳重な防寒装備が必要です。厚手の帽子や手袋、ダウンジャケット、防寒靴などでがっちり固めてください。また、屈斜路湖周辺や近くの川湯地区には多くの温泉があるので、冷えた体を温めるのに最適です。帰りがけにぜひ寄ってみましょう。

また、道東エリアでフロストフラワーが出現するポイントは、屈斜路湖のほかにも有名な阿寒湖やシラルトロ湖、湿原河川などいくつかあるので、そちらもオススメです。

取材協力

チームくっしゃろ
屈斜路湖の魅力や楽しさ、そしてアイヌ文化や松浦武四郎に至るまで、日々、美しい写真とともに興味深い投稿をされている地域団体「チームくっしゃろ」さん。屈斜路湖への愛がいっぱい詰まったFacebookページは要チェックです!

筆者について

五位野健一

五位野健一

1969年釧路生まれの自称不動産投資家で大家さん。通称ゴイケン。 長年の東京生活を離れ、現在は郷里で中古不動産の再生&賃貸業を営む。 「クシロマニア」では日本の他にない、道東ならではの情報を探している。 将来は自分のアトリエを持ち、アーティスト活動を目論んでいる様子。【Sクラス認定ライター】