一番早い「初日の出」が納沙布岬ではない理由

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 突然ですが、日本で一番早く1月1日の初日の出を見られる場所はどこだかご存知ですか?納沙布岬?違うようです。本土では一番東にある納沙布岬の初日の出が日本で一番早いわけではない理由とは?

 1月1日の初日の出を日本で一番早く見るにはその場所に行かなければなりません。とはいえ、容易に行けない場所は除外しておきましょう。

 日本で一番早い場所は国内の最東端にある南鳥島になりますが、無人島なので除外。また、小笠原諸島の母島は有人島では日本最東端になりますが、ここも含めて離島は行きにくいのでパス。本土では富士山頂が最も早く初日の出を見れますが、簡単には行けませんので、ここも除外しておきましょう。

 では、本土の平地ではどこが最東端になるでしょう?それは根室市の納沙布岬になります。ということは、納沙布岬が本土で一番早く初日の出を見れるということなのか……というと、そうでもなさそうです。

 実は、本土最東端でも本州最東端でもない千葉県の犬吠岬が、初日の出を本土の平地で一番早く見る場所になります。でも、なぜ納沙布岬ではなく、本州のほうが早く初日の出を見られるのでしょうか。

 納沙布岬よりも早く初日の出を見られるという千葉県の犬吠岬。どうしてかというと、地球の地軸の傾きの影響によります。南東方角に行くほど初日の出の時刻が早くなるという現象が生じているのです。

日本で早く初日の出を見られる地点
南鳥島(日本最東端) 5:27
母島(有人島最東端) 6:20
富士山山頂(本土最高地点) 6:42
千葉県犬吠埼 6:46
千葉県殿下海岸 6:47
北海道納沙布岬(本土最東端) 6:49
とどヶ崎(本州最東端) 6:52
(国立天文台資料)

冬以外は納沙布岬が一番!?

 ここまでは1月1日の話でしたが、逆に夏至のころは日の出は北東方角に行くほど早くなります。秋分と春分のあたりは東の方角に行くほど早まる傾向があります。これもすべて地軸の傾きによります。

 ということは、夏は、もっと東にある納沙布岬のほうが日の出の時刻が早いということ?そのとおりです。2月から11月下旬ごろまでは、納沙布岬が日本本土の平地で最も早く日の出を見られる場所になります。

 したがって年末年始を含む冬至近くの期間(11月下旬ごろから1月末までの約55日間)は犬吠岬のほうが早いんですね。それ以外の期間(2月~11月下旬までの約310日間)は納沙布岬のほうが日の出が早いということになります。

 納沙布岬とは3分程度の違いですが、初日の出だけ千葉県にもっていかれている感じになってしまっていますね。