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ナキウサギ、愛くるしい小動物

編集部
Written by 編集部

写真提供 http://satoubin.web.infoseek.co.jp/

愛くるしい動物「ナキウサギ」。北海道にしか生息しない小動物で、なかなか見る機会の少ない絶滅危惧種です。

 ナキウサギとは、日本では北海道だけに生息する小さなウサギのことです。非常にかわいい動物なのです。2006年、天然記念物指定をめぐって行政と保護団体の衝突があったことでご存知かもしれませんが、2007年現在、いまだ天然記念物指定されていない絶滅危惧種です。環境省レッドリスト哺乳類~絶滅のおそれのある地域個体群(Lp)には挙げられています。

 アイヌ語名は不明(一説にはクトロンカムイと言う)ですが、十勝管内然別湖周辺では「ゴンボネズミ(土にもぐるという意味)」とも呼ばれていたようです。他にも氷河時代にシベリア大陸から北海道にやってきたため、「生きた化石」とも呼ばれます。

 北海道野生動物研究所所長の説明によると、エゾナキウサギが一般に知れ渡るに至った経緯は1925年の網走管内置戸町にはじまるといいます。山火事後にカラマツの苗木を植林したところ持ち去られる事件が発生。犯人はナキウサギと判明。当初は1930年代初頭にエゾハツカウサギと命名されたものの、キタナキウサギと同じだったので、後にエゾナキウサギとなりました。

ナキウサギの映像

ナキウサギはどこにいる?

ナキウサギ、愛くるしい小動物

 ナキウサギは、ウサギ目ナキウサギ科ナキウサギ属に属する哺乳類です。中でも北海道に生息するものは、エゾナキウサギといわれ、シベリアやサハリン、朝鮮半島、モンゴル地方に生息するキタナキウサギの亜種という分類になっています。

 北海道では北海道中央部の山岳地帯である大雪山系連峰、日高山脈から夕張山地、北見山地を中心に生息していることが分かっています。道南には生息していません。とにかく標高の高いところです。公園名で言うと、大雪山国立公園、天塩岳道立自然公園、富良野芦別道立自然公園、日高山脈襟裳国定公園が当てはまります。市町村名で言うと以下が生息地。

ナキウサギ、愛くるしい小動物
空知地方:夕張市(夕張岳付近が西端)
日高地方:日高町、新冠町、平取町、新ひだか町、浦河町、様似町、えりも町(豊似湖付近が南端)
上川地方:富良野市、士別市(天塩岳渚滑岳付近が北端)、南富良野町、上富良野町、東川町、上川町、美瑛町
網走地方:置戸町(勝山付近が東端)、遠軽町
十勝地方:帯広市、上士幌町、鹿追町、新得町、中札内村、大樹町、足寄町、陸別町

 標高1500mほどの冷涼な地域で、石や岩がたくさんある岩場で、エゾマツ、ダケカンバなどの森林地帯に生息しています。そうした岩場は、夏には冷涼で乾燥していますし、天敵からの逃げ場所にもなるため、巣穴もそのような場所の下に作ることが多いようです。

ナキウサギの特徴

ナキウサギ、愛くるしい小動物

 ナキウサギを見かける場合、多くの場合日光浴あるいはそのための移動中だったりします。岩の上にあらわれてじーっとして日光を浴びている姿はとてもかわいらしいものです。鳴き声は繁殖期である5~6月頃に多くきかれ、「キチッキチッ」「ピィッピィッ」と鳴きます。雄が鳴く長い鳴き声、雌も発する短い鳴き声まで様々です。

 標高の高いところに生息しているだけでなく、体長15cm程度、体重130g程度と非常に小さいうえ、生息個体数が少なく、警戒心が強いため、じかに見たことのある人は非常に少ないのが現状です。

 その他、ナキウサギの特徴を列挙してみました。

ナキウサギ、愛くるしい小動物耳は小さく丸く短い。一見ねずみのようだが、歯の数がウサギと一緒。
・つぶらな瞳の目がかわいい。
しっぽ無し(あるけど短すぎて外見上見えない)。
短足
毛の色は、夏は赤褐色、冬は灰褐色~暗褐色。
エサは、コケモモ、エゾムラサキツツジ、ダケカンバなどの草の葉や茎、 シダ、蘚苔類、きのこまで植物は何でも。
冬眠しないけれど、秋に冬に備えて貯蔵する。
暑さに弱いけど、寒さにはめっぽう強い。15度以下でないと生きれない ので、動物園やご家庭では飼育不可能に限りなく近い。
警戒心が強い。見るチャンスは、岩場の上での日向ぼっこのときか、 エサ捕獲中のときくらい。
寿命は4~5年程度。

ナキウサギ保護活動

ナキウサギ、愛くるしい小動物  ナキウサギに最適な生息環境は少ない上、小さいからだのナキウサギにとって新天地を求めて移動するのは並大抵のことではなく、さらには環境破壊、道路開発などの要因により、ナキウサギの生息地の安全性が脅かされています。

 ナキウサギの保護のため積極的に活動しているのは、1995年7月発足のナキウサギふぁんくらぶ(札幌市)。女性たちが中心となって絶滅の危機に立たされている愛らしいナキウサギを守ろうと結成し、現在2500名以上の会員数をもつまでに成長しました。

 この団体では、ナキウサギグッズ販売、ナキウサギというタイトルの歌、天然記念物指定へ向けた署名活動まで、幅広い活動を行っています。絶滅するかもしれないという思いと、下のリンク先にあるかわいらしいムービーやフォトを見て、ナキウサギの天然記念物指定を願ってやみません。

ナキウサギふぁんくらぶ
→ ナキウサギの動画

■補足:エゾナキウサギ天然記念物指定への動き
2006年9月8日: 「ナキウサギふぁんくらぶ」(札幌)が国の天然記念物指定を求め署名活動を実施、提出したにもかかわらず、「見送り」という最悪な結果に終わりそうな予感です。
 理由は、情報がない、積極的に保護する動きがない、など、地元自治体側が消極的な姿勢だったということ。そして背景には、天然記念物指定で周辺の開発が制限されていくため、という意見もあるとのことです。しかも電話での意向調査だけだったとか。北海道教育委員会もすでに生息域ほとんどが保護区域であるため特に必要ないという見方を示しています。
 現時点でも森林伐採や土地開発などによりナキウサギが絶滅の危機に瀕している状況ですが、地元10自治体の関心がないとは驚かされるばかりです。署名の数は約43400で、2005年11月に提出。文化庁は北海道教育委員会に関連10市町の意向をまとめるように指示しましたが、上述のような地元の回答から、文化庁も指定はできないと結論を出しています。
 つまり「ナキウサギ天然記念物指定は見送り」です。署名は水の泡。やる気がありませんね。しかし道内の報道各社では比較的大きく取り上げており、今後どうなるか注目です。
2006年12月22日: その後どうなったか……。調査した92市町村のうち、帯広市、十勝管内上士幌町、鹿追町のいずれも十勝の3自治体が、天然記念物指定の必要性があると回答したことが分かりました。ナキウサギ天然記念物指定へ光が見えてきました。今後もさらに調査が進められます。
2007年2月12日: 北海道教育委員会は最終調査結果をまとめました。92市町村に調査し、うち25市町村(当ページ上述どおり)が「生息している」と回答、さらにそのうち9市町(夕張市・士別市・日高町・浦河町・様似町・南富良野町・帯広市・上士幌町・鹿追町)が「天然記念物指定が必要」と回答した模様。全体的に保護の必要があるという結果に至りました。

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