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春先になると木の根元だけ雪がとけるのはなぜ?根開きの真実に迫る

17日(土)、東京都心や九州で桜が開花しました。一方、この日、こちら北海道では、朝にかけて20センチもの雪が一気に降り積もり、地面は雪景色に逆戻りとなりました。

3月の北海道は、青空に春を感じても、空気の冷え込みは相変わらずで、雪がとけたかと思うと、また降り積もる。毎年、全国の桜開花のニュースを見るたび、「一体いつになったら冬は終わるんだ」と思ってしまいます。

そんな春が待ち遠しい3月ですが、こんな風景を見たことはありませんか。

春先になると木の根元だけ雪がとけるのはなぜ?根開きの真実に迫る

木の周りだけ、丸く雪がとけていて、土がみえています。

実はこれ、雪国の春を告げる現象で、根開きといいます。根開きは春の季語で、同じような意味合いで「木の根明く」「雪根開き」「木の根開き」などがあります。こんな表現もあります。「木のまわりに土がのぞくと、春が足早にやって来る」(坪内稔典著・季語集より)。

根開きが起こる理由とは

では、なぜ木の周辺だけ雪がなくなるのか。その理由は、木の温かさにあります。木は地下水を吸い上げますが、その水が外の空気よりも温かいからです。そのため、地下水を吸い上げる木の幹の周りの温度が高くなり、いち早く他の雪に先立つように丸くとけるのです。

他にも、雪と木の太陽の光の反射の違いも理由の一つです。雪は真っ白なので、太陽の光をほとんど反射してしまいます。そのため、太陽の光のエネルギーの影響を受けにくく、雪はなかなかとけません。一方、黒っぽい木は太陽光によって温められ、この熱によって、幹の周りの雪がとけて、土が見えてきます。

3日間、根開きが進む様子を観察してみた!

根開きが進む条件は、日差しがあり、かつ暖かい日の出現です。雪景色に戻った17日からの3日間、同じ時刻に木の周りを観察してみました。

17日の最高気温は3.2℃で、木の周りにはびっしりと隙間なく雪が積もっていました。

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翌18日、続々と根開きを発見しました。この日の最高気温は7.8℃。

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さらに翌19日、最高気温は6.5℃で、あきらかに土の面積が増えているのがわかります。

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この3日間では日中、晴れている時間も長く、根開きする条件がそろっていました。

一方、気温が連続して低く、雪がなかなかとけない厳冬期ではこの現象は見ることができません。札幌の3月は風はまだ冷たいですが、日平均気温がようやくプラスとなる月で、日の差す時間も着実に長くなる月です。根開きは、春先になると必ず現れる自然現象なのです。

こうして3月は、根開きによって雪の隙間が少しずつ広がり、アスファルトや大地が現れ、長かった雪景色は、ようやく春の大地へと変わります。木の周りのぽっかりあいた穴は、雪国の長い長い冬のトンネルの出口なのです。

筆者について

伊藤真梨子

伊藤真梨子

気象予報士・防災士。大学卒業後、気象会社に就職。テレビやラジオ、新聞の天気原稿、出演解説業務に携わる。2011年、道内テレビ局へ転職後は、専属の気象予報士として番組も担当。北海道の気象の一歩踏み込んだ情報をお伝えします。家では子供達と愛犬と遊んでいます。