学ぶ

国内の湿原8割以上がある湿原王国

編集部
Written by 編集部

 北海道には広大な湿地帯、湿原が非常に多く見られます。全国821km2の 湿原のうち、道内は708km2ですから、日本の湿原の85%ほどが北海道にある ということになります。有名なのは釧路湿原ですが、日本三大湿原はすべ て北海道にあります。

 日本の重要湿地500では、北海道がその1割以上を占める61箇所選定され ています。北海道の湿地帯の特徴としては、海岸沿い近くにあるというこ とです。そして根釧と道北サロベツに湿原が多くみられます。

釧路湿原

国内の湿原8割以上がある湿原王国

 いわずと知れた日本最大の湿原です。日本の湿原面積の約6割が釧路湿原 で占めています。面積は約18000ヘクタールといわれています。東西距離約25 km前後、南北約35kmです。分かりやすく比較すると東京都心の山手線内の 広さと考えると良いでしょう。湿原エリアには塘路湖やシラルトロ湖、達 古武湖といった海跡湖があり、かつて海に覆われていたことがわかります。

 以下のように、歴史を見ると比較的早い時期から保護が行われてきたこと がわかります。1980年には日本初のラムサール条約登録湿地に指定され後代 には拡張されてきましたし、1987年に国立公園になりました。しかしながら、 明治・大正時代に比べると3~4割が消失し面積が縮小しています。

1935年 国指定天然記念物「釧路丹頂鶴繁殖地」(2700ha)
1952年 国指定特別天然記念物「釧路のタンチョウ及び繁殖地」(2794ha)
1958年 国設クッチャロ太鳥獣禁猟区(2848ha)
1967年 国指定天然記念物天然保護区域(5012ha)
1979年 国設クッチャロ太鳥獣保護区(5012haに拡張)
1980年 ラムサール条約登録湿地(鳥獣保護区5012ha)
1987年 釧路湿原国立公園指定(26861ha)
1989年 国設釧路湿原鳥獣保護区(旧鳥獣保護区)(10940haに拡張)
1989年 ラムサール条約登録湿地(7726haに拡張)
1989年 JTB日本の秘境100選
1990年 乗り入れ規制地域指定
1999年 ラムサール条約登録湿地(7863haに拡張)

釧路湿原データ
面積:約18000ヘクタール
タイプ:ヨシ・スゲ湿原、その他(ミズゴケ湿原・中間湿原)。潟湖
希少な生物:キタサンショウウオ、エゾカオジロトンボ、イトウ、タンチョウ

サロベツ原野

国内の湿原8割以上がある湿原王国

 日本では2番目に面積が広い湿原です。面積は約2万ヘクタール。南北に 長く、便宜上豊富町側をサロベツ原生花園のある上サロベツ原野、幌延町 側を下サロベツ原野としています。

 原生花園に咲く花畑から利尻富士を望むサロベツならではの風景が特徴 です。動物鳥類よりも植物が非常に多く見られます。海岸砂丘や、ペンケ 沼・パンケ沼ほか約10の潟湖が多数存在することでも知られます。また、 低層湿原から高層湿原に移行したのではなくもとから高層湿原であった という点で特徴的です。

1965年 利尻礼文サロベツ国定公園に追加
1974年 利尻礼文サロベツ国立公園指定(全体24166ha)
2005年 ラムサール条約登録湿地

サロベツ原野データ
面積:約2万ヘクタール
タイプ:低層・中層・高層湿原。潟湖
希少な生物:エゾスカシユリ、エゾノシシウド、ミコアイサ

別寒辺牛湿原

 道東の釧路管内厚岸町にある湿原です。面積約8300ヘクタールで、 日本でトップ5に入る面積を誇る湿原として知られています。

1993年 ラムサール条約登録湿地(4869ha)
2005年 ラムサール条約登録湿地(5277haに拡張)

別寒辺牛湿原のデータ
面積:8300ヘクタール
タイプ:低層湿原、その他(ミズゴケ高層湿原、中間湿原、塩性湿地)
希少な生物:タンチョウ、イトウ、アッケシソウ

霧多布湿原

国内の湿原8割以上がある湿原王国

 湿原面積では国内トップ5に入る道東・釧路管内浜中町の湿原です。面積は3168 ヘクタールで、南北約9km、東西約3kmです。湿原の成り立ちは釧路とほぼ 同じです。道立公園に指定されてはいますが、それは中心部だけで、民有 地も含んでいて、霧多布湿原トラストが保全につとめているのが非常に興 味深い湿原です。

1922年 国指定天然記念物「霧多布泥炭形成植物群落」(803ha)
1955年 厚岸道立自然公園指定(2850ha)
1981年 銃猟禁止区域指定(1156ha)
1993年 国設鳥獣保護区指定(2088ha)ラムサール条約登録湿地(2504ha)
2001年 北海道遺産選定

霧多布湿原データ
面積:3168ヘクタール
タイプ:ミズゴケ泥炭地・高層湿原

その他の湿原地

 「雨竜沼湿原」は空知管内にある高層湿原です。暑寒別天売焼尻国定公 園(1990年指定)です。標高が高いところにあり、「北の尾瀬」という別名 も持ちます。700ほどの池塘という丸い池が点在している光景が特徴的です。

 1964年に「道指定天然記念物雨竜沼高層湿原帯」、2005年に「ラムサー ル条約登録湿地(624ha)」に登録されました。ウリュウコウホネというここ にしか生育しない植物が見られるなど、植物に注目です。

 上川管内美深町にある「松山湿原」も標高の高いところにある高層湿原 です。標高は797m、面積は約25ヘクタール。日本最北の高層湿原で秘境と されています。

 道内三大秘境(高層)湿原というのは、浮島湿原、松山湿原、上述の雨竜 沼湿原の3つです。道内三大湿原は釧路湿原、サロベツ原野、霧多布湿原 の3つです。実は霧多布湿原より別寒辺牛湿原のほうが大きいのですが、 有名であり、景勝地がある湿原としてはやはりこの3つが道内ビッグ3と いえるでしょう。面積からいって事実上日本三大湿原はすべて北海道です。

 ちなみに、かつて道内三大湿原とは、釧路湿原とサロベツ原野と石狩湿 原でしたが、石狩湿原が縮小の運命をたどり、現在は非常に小さい規模に なってしまいました。ほかの湿原地も縮小に悩まされているところがあり、 保護が急務となっています。

筆者について

編集部

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。