北海道は渡り鳥を数多く観察できる地域の一つです。なぜなら、シベ">渡り鳥中継地(マガン・ハクチョウ) – 北海道ファンマガジン
学ぶ

渡り鳥中継地(マガン・ハクチョウ)

編集部
Written by 編集部
湖に停泊中
 北海道は渡り鳥を数多く観察できる地域の一つです。なぜなら、シベリア方面から本州へ、またその逆もそうですが、渡り鳥たちの渡りのルート上にあって、中継地点として重要な役割をしているからです。そしてそうした渡り鳥たちの立ち寄るベストスポットがたくさんあります。今回は道内を中継地・越冬地とする代表的な渡り鳥である、オオハクチョウ、コハクチョウ、マガンを紹介します。

オオハクチョウ

 カモ目カモ科に属する長い首を持つ白い鳥。全長140cmで嘴は黒と黄色。比較的人懐こい性格をしています。普段はユーラシア大陸のタイガ(針葉樹林帯)で過ごしていますが、越冬のために約3000km飛んで日本へ南下してくる渡り鳥(冬鳥)です。越冬場所は東北以北で、道内の越冬地としては根室管内別海町尾岱沼(おだいとう)、国内最大の越冬地の釧路管内厚岸町厚岸湖(あっけしこ=不凍湖)などがあります。

 地域により差がありますが、秋の10月から11月にかけて南下のため、また3月から4月にかけて北上のため、渡りの中継地に立ち寄ります。移動ルートはオホーツク海側・太平洋側が多く、秋にはほとんどの個体の道内初飛来地が網走管内濤沸湖(とうふつこ)であり、根室管内風蓮湖、釧路管内厚岸町厚岸湖(あっけしこ)、釧路管内弟子屈町屈斜路湖も中継地とします。

コハクチョウ

 カモ目カモ科に属する長い首を持つ白い鳥ですがオオハクチョウより小ぶり(全長120cm)。普段はユーラシア大陸や北米のツンドラに生息、越冬のために約4000km飛んで日本へ南下してくる渡り鳥(冬鳥)です。越冬場所は本州中南部が中心なので、オオハクチョウよりも長旅です。

 オオハクチョウとほぼ同時期に移動し、中継地に飛来します。移動ルートは内陸を主としており、特に秋に道内初飛来地となる国内最北の湖、宗谷管内浜頓別町クッチャロ湖は、国内のコハクチョウのうち半数以上といわれる約2万羽のコハクチョウが飛来する中継地として有名です。また、国内最大のコハクチョウ飛来地として知られています。

マガン

 カモ目カモ科に属する暗褐色の鳥。全長72cm、体重2700gで、下腹部と額が白い鳥。越冬地は本州ですが、1995年以降日高管内新ひだか町(旧静内町)で道内初のマガン越冬が確認され、伊達市でも観察されています。2007-2008シーズンには静内静内川中州でのマガン越冬が観測されず、近年は伊達市が事実上最北のマガン越冬地となっています。

 4000kmもの長旅をするマガンは、9月~10月に北海道に飛来します。シベリアへ戻る春の2月から5月に、苫小牧市ウトナイ湖、美唄市宮島沼などを経由します。特に宮島沼は国内最大、最北のマガン寄留地として有名で、東アジアのマガンのうち約半数に当たる6万羽以上が宮島沼を通るといわれています。

渡り鳥がいっぱいの季節

 マガンやコハクチョウが内陸部を経由して渡りをしているのですが、このルートを「北海道中央フライウェイ」と呼びます。これは苫小牧の勇払原野から石狩平野、北空知平野までの道央の平野部上空の飛行ルートを指していますが、こうした平地の湿地帯をこれまで毎年渡り鳥たちは活用してきました。

 風の条件にもよりますが飛行速度は時速50km~100km。渡り鳥はV字編隊飛行をするのが特徴です。先頭の鳥(群れのリーダーとかではない)を頂点に、後方左右に斜めにずれていって整列していきます。その様が「V」の字に似ていることからそう呼ばれます。これは、前の鳥が飛ぶと翼端渦という乱気流が発生しますが、斜め後ろを飛ぶとこの渦をうまく利用でき、飛行負担が少なくて済むから。先頭の鳥は最も負担がかかりますから後方にまわったりします。

渡り鳥中継地(マガン・ハクチョウ)
近くの田んぼでえさを取るハクチョウたち

 春になると、中継地の湖沼にやってきて少しの間生活しますが、朝に湖沼を"外出"して、近隣の水田地帯にえさを食べに行きます。雪解けで水が張った状態の田んぼに集団で降り立ち、みんなしてエサ探しに夢中になっている様はどこかかわいらしいものです。夕方には元いた湖沼に"帰宅"します。このように、春の渡りの期間中は、湖沼と雪解けの水田が必要不可欠なのです(湖沼に戻るのは天敵のキツネなどから身を守るため)。

 ちなみに飛び立つときは首を振って仲間に合図します。マガンは首を横に振り、ハクチョウ類は縦に振るという違いがあります。日の出頃に一斉に飛び立ち、日没頃に戻ってきます。

渡り鳥についてのポイント
・秋に南下し、春に北上する。
・シベリア方面から越冬のため3000~4000kmかけて日本にやってくる。
・北海道の湖沼は主に渡りの中継地で、中には越冬するものもいる。
・コハクチョウとマガンは内陸ルート(ウトナイ湖・宮島沼・クッチャロ湖)
・オオハクチョウは太平洋ルート中心(厚岸湖・濤沸湖・風蓮湖など道東)
・春の中継地には湖沼(天敵よけ)と雪解けの水田(餌場)が必要。
・V字飛行は省エネ飛行のための知恵である。
・宮島沼は国内最大のマガン飛来地。
・クッチャロ湖は国内最大のコハクチョウ飛来地。
・厚岸湖は国内最大のオオハクチョウ越冬地。

宮島沼の日の出前のねぐら立ち

苫小牧市ウトナイ湖

宮島沼周辺で餌をついばむハクチョウ・マガン

筆者について

編集部

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。