「親子熊岩」は裏から見ても親子熊だった! もう一つの親子熊岩物語


【せたな町】 日本海追分ソーランラインの国道229号線、せたな町大成区の長磯海岸は、珍しい形をした奇岩がたくさんあることで知られるスポット。この中でも特に有名なのが『親子熊岩』です。

初めてここを訪れた時、駐車スペースにある『親子熊岩』の説明書きを何気なく読んだ後、岩を見上げ、正に親子の熊にしか見えない姿に「おーっ!」と歓声を上げてしまいました。説明書きには、この岩にまつわる言い伝えが書かれていました。

「大嵐の後の飢餓に苦しみ、山奥から海岸に海の幸を探しに来た親子の熊。蟹を食べておなかを満たそうとしていたところ、小熊が足を滑らせ、海の中へ。必死に小熊を助けようとした親熊も足を滑らせ、親子とも海に沈んでいった。一部始終を見ていた海の神様が、親子熊を引き上げ、岩の姿に変えた」
という言い伝えです。


折しも私が訪れたのは、この地域が今年2013年7月に、北海道南西沖地震から丸20年を迎えた直後。日本海の向こうには、奥尻島がくっきり(写真)。同地震では、奥尻島やせたな町などで多くの命が犠牲になりました。夕焼けの中の奥尻島を望みながら、穏やかな自然、美しい自然、恐ろしい自然に、色々な思いを馳せずにはいられませんでした。

この親子熊岩の姿が忘れられず、1ヵ月後、再度この場を訪れました。そして、親子熊岩がいつも写真で紹介される側を「表」とした場合の「裏」から、何気なくこの岩を眺めました。そして、1回目に訪れた時に続き、「あっ!」と声を上げてしまいました。


右側に、黒い真ん丸の目をした小熊。左側には、目尻をこれでもかというぐらいに下げきった大きな親熊の顔。その小熊が親熊に抱き着いてキスをしているように見えるのです。小熊は、表から見た時より大きくなっているようですね。海の神様に救い上げられた後、岩に姿は変えたけれど、親子で幸せに暮らせているのでしょうか。空想の世界が広がります。

ぜひ、お天気の良い日の夕暮れ時に、この岩を「表」と「裏」の両方からゆっくり眺めてみてください。


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親子熊岩
せたな町大成区長磯、道の駅「てっくいランド大成」から車で約15分江差寄り