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一般公開は17年ぶり! 函館「旧ロシア領事館」に長蛇の列

千葉美奈子
Written by 千葉美奈子

【函館市】 使われないままになっていた函館市船見町の「旧ロシア領事館」の内部が、2013年9月28日に、17年ぶりに1日だけ一般公開されました。函館の歴史的町並みを残していく活動をしている『NPO法人 はこだて街なかプロジェクト』の主催です。

▼和風の唐破風を取り入れた旧ロシア領事館玄関。▼右:函館港を見下ろす幸坂の急勾配に立つ旧ロシア領事館
一般公開は17年ぶり! 函館「旧ロシア領事館」に長蛇の列 一般公開は17年ぶり! 函館「旧ロシア領事館」に長蛇の列

旧ロシア領事館はレンガ造りの和洋折衷のデザイン。異国情緒という言葉で表現される函館西部地区でも大きな存在感を持ちますが、その歴史は試練に満ちています。

幕末の1860年(万延元年)に別の土地に建てられた最初の建物が火事の被害を受けた後、1903年(明治36年)に現在の土地で建設工事が始まりました。その建物は日露戦争による工事中断をへて、1906年(明治39年)に完成。翌年に、多くの死者・負傷者を出した大火で焼失し、さらに1908年(明治41年)に再建されたのが現在の建物です。ロシア革命後、1925年(大正14年)に「ソ連領事館」となりましたが、1944年(昭和19年)秋に閉鎖。1965年(昭和40年)春からは「函館市立道南青年の家」となり、青少年宿泊施設として市民に親しまれました。そして、1996年(平成8年)に閉鎖されて以来17年ぶりに、一般の人たちが内部に足を踏み入れる日となりました。

▼増改築時に他の部屋から移された際に、上下逆に取り付けられたというシャンデリア。▼右:窓から望む函館港
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今回の一般公開では、主催者の予想を大きく超える約1200人が訪れました。『NPO法人 はこだて街なかプロジェクト』では、この施設をなるべく元の姿で残していきたいと活動する中、多くの人たちに現状を知ってもらうために、今回の企画をしたそうです。「これから、耐震面を始めとする各種調査を行って市に報告し、市民の方々の協力を得ながら、市民の施設としての存続に向けた動きを起こしていきたい」と同プロジェクトの山内一男理事長。約1200人という多くの人が訪れたことに、大きな手ごたえを感じている様子が伺えました。

▼17年ぶりの旧ロシア領事館内部公開に長蛇の列。▼右:旧ロシア領事館内部を見学する人たち
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一般公開は17年ぶり! 函館「旧ロシア領事館」に長蛇の列 長蛇の列に並んでいる方々からは、青少年宿泊施設時代の利用経験を懐かしんだり、由緒ある建物がこのまま放置されていくことを惜しんだりする声が聞かれました。函館市内から来ていた50代の女性は、道内の他市出身。「毎年『函館野外劇』(五稜郭を舞台に使って市民の手で作り上げる函館の歴史劇)が行われることからも感じられるように、函館の人たちは、特に幕末から続く時代を自分たちのプライドとしてしっかり持ち、後世に伝えることを喜びとしている街だと思います」。歴史ある建造物を大切にしていこうという機運に期待を寄せているそうです。


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旧ロシア領事館
北海道函館市船見町17-3

筆者について

千葉美奈子

千葉美奈子

東京都出身。2012年夏から函館市在住。乳幼児と保護者向けイベントの講師業のほか、総合情報サイト『All About』の乳児育児・絵本ガイド。自身も子育て現役中。初めての北海道生活、函館の空の表情の豊かさは、長年かかって築かれてきた価値観・人生観に大きな影響を与えたようです。道南地方の個性的な魅力に触れるたびに幸せな気持ちに。趣味は料理、パン作り、野球観戦。