青い海と空が作り出す景色は圧巻! 1時間かけて「恵山」に登ってみた

【函館市】
渡島半島の東南端の函館市にある恵山。太古から何度も噴火を繰り返してきた標高618mの活火山です。現在は小康状態を保っていますが、噴気孔からは今も煙が吹き出し、露出した山肌が独特の景観を作り上げています。

春のツツジ、秋の紅葉など、季節限定の色鮮やかな姿も見せてくれる恵山ですが、夏の終わり~秋にかけての澄んだ青空にそびえるシンプルな姿も圧巻です。2014年8月の終わりに青空の日に訪れた、中腹の火口原駐車場~山頂までの景色をご紹介します。

火口原駐車場~山頂の所要時間は1時間程度

ふもとから恵山市民センター脇の道を車で登っていき、10分弱で到着する火口原駐車場に着くと、突如姿を現すむき出しの山肌と岩の間から立ち上る噴煙。「賽の河原」と呼ばれる風景の周りに広がる高原には、あちこちにお地蔵様の姿があり、この山が信仰の対象になってきたことを伺わせます。まるで違う世界に迷い込んでしまったかのような独特な空気が漂いますが、澄んだ青空のもとの高原には、あっけらかんとした雰囲気も漂います。

▼火口原駐車場から見渡す賽の河原

この火口原駐車場から登山道入り口までは、舗装されたなだらかな遊歩道が整備されています。登山道入り口から山頂までの所要時間は大人の足で1時間前後。小学生の子どもだったら、1時間半前後で着くことができるでしょう。上り坂には木で組んだ階段が整備され、荒々しい外観の山ながら、たくさんの人々が山歩きに訪れています。

▼火口原駐車場から登山道入り口へ続く遊歩道

▼木で組まれた階段

▼噴火の歴史を物語る岩の表情

▼登山道に横たわる岩

眼前に広がる噴火湾

石だらけの道をゆっくりと踏みしめながら登っていくと、眼前にクリアな噴火湾が広がり始めます。登りは、吸い込まれるように青空に向かって進んでいく気分です。

途中、火口に近いスポットにかかると、間近に噴煙が吹き上がっています。風向きによっては硫黄臭を一層強く感じたり、不用意に吸い込んでしまうと息苦しさを感じることもあるかもしれません。硫黄臭をかなり強く感じるスポットは1ヵ所なので、タオルやハンカチで鼻や口を覆い、大きく吸い込まないように気を付けて通り過ぎましょう。

▼岩肌から立ち上る噴煙

もうすぐ山頂!

何度か足を止めて、鮮やかなブルーの海に浮かぶくっきりとした小さな船の姿や、水平線と平行に長く長く続く雲のラインに見とれ、その景色にパワーをもらいながら、歩みを進めていきます。山頂付近に近づくと、緑が増えてきて、小さな虫も飛び交っています。山頂から津軽海峡方面を望むと、下北半島もくっきり。津軽海峡の上に浮かんでいるように見える雲が、飛び石となって下北半島と渡島半島をつないでいるようにも見える絶景にしばし見とれました。

▼山頂付近から恵山岬方面

▼山頂付近から噴火湾方面

▼山頂が近づくと緑が増えてくる

▼山頂

▼山頂から津軽海峡方面

下りはまた、吸い込まれるようなブルーの海に下りていくようなダイナミックな気分を味わうことができます。登りで疲れた足で下っていくと、小さな石を踏んで滑りやすかったり階段の木に足を引っかけそうになったりすることもあるので、登り同様、慎重に踏みしめて下っていきました。火口原駐車場に帰りつくと、少し現実の世界に近づいたような気持ちになります。

紅葉シーズンも神秘的な雰囲気

10月下旬~11月上旬の紅葉シーズンは、火口原駐車場付近が、またまた異空間に迷い込んだような神秘的な空気に包まれます。2013年の紅葉シーズンに訪れた時には、色づいた木々の間から小人が躍り出てきそうに感じた私です。ぜひ、秋の山歩きシーズン、恵山とその周辺の海や空が作り出す景色に、圧倒されに行ってみてはいかがでしょうか。

▼紅葉シーズンの火口原駐車場付近の紅葉