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口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

千葉美奈子
Written by 千葉美奈子

口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

【函館市】函館の観光名所、五稜郭公園からすぐ近くにあるメンチカツ屋さん『藤く郎』(とうくろう)。オープンして2年半ほどの小さなお店は、口コミで人気を呼んでいます。おいしさの秘密、お店の誕生ストーリー、個性的な店名の由来などについて、店主の松下芳子さん(65)に伺ってきました。

肉の旨味と野菜の食感が生きたメンチカツ

『藤く郎』は2012年の5月にオープン。函館出身の松下さんは20歳の時に東京に出て、長年、世田谷区でインポート専門のブティックを営んできたそうです。その頃に地元の店で売っていたメンチカツがとてもおいしく、いつか故郷に帰ったらメンチカツ屋さんをやってみたいと考えていたといいます。その夢が実現して2年半ほどがたち、松下さんの作るメンチカツは口コミで人気を呼んでいます。

▼店主の松下芳子さんと、パート従業員のふみさん
口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

「メンチカツ」と「きゃべつメンチカツ」の2種類(ともに税込180円)。メンチカツは、薄めの味付けでジューシー。きゃべつメンチカツは、キャベツのざっくりした食感と甘み、ひき肉のさっぱりとした後味が印象的。「冷めるとまた味が変わって美味しいのよ」との言葉通り、揚げたての熱々も美味しいですが、冷めると味が引き締まる感じです。マヨネーズやソースのほかに、ポン酢としょうゆ、マヨネーズとしょうゆなどで食べても美味しいそうです。

▼メンチカツ。ザクザクキャベツ入りのきゃべつメンチカツも。
口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』
口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

ルートの分かる素材を使い、1つ1つ手作り

ひき肉は、知人の紹介で出会った七飯町・大沼の小澤牧場から仕入れた大沼牛と、豚肉の合挽き。野菜は、松下さんが子どもの頃から交流のある八百屋さんから。気候や土によって変わる野菜の自然な味の変化についても、感想を伝えることができるほどの信頼できる間柄だそうです。

自然に行き着いた素材、味には、松下さんの闘病体験も影響しています。松下さんは8年前に乳がんが見つかり、手術を経験。治療の影響で添加物に舌が敏感に反応するようになりました。自分が安心できるルートで仕入れた素材を使った手作りのメンチカツに、調味料も自分で調合。お客さんからは「肉が苦手だったけれどここのメンチカツは食べられる」「胸焼けしない」などの感想も寄せられています。

▼揚げたてのメンチカツ
口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

手作りだからこそ、できる限り電話予約を

冷凍保存はせず、日々手作り作業。生地は一晩寝かせる手間もあるので作る量には限界があり、松下さんは「できるだけ電話予約をして来店してもらえるとありがたいです」と話しています。

「藤く郎」とは、松下さんのおじいさんであり、1912(大正元)年に函館で『辻印刷所』と土産物販売店『高砂屋』を創業した辻藤九郎さんの名。メンチは、松下さんとスタッフの文子さんが、フル回転の作業で作っています。「大変な時も、おじいちゃんが見守ってくれている気がする」と松下さん。「故郷函館でメンチカツ屋を営むことができ、お客さんに美味しいと言ってもらえることがとても嬉しい」と話します。松下さんの明るさに引き込まれる小さなメンチカツ屋さん、今後も着実にファンを増やしていきそうです。

▼ビルの壁に描かれた店名は素朴で個性的
口コミで人気呼ぶ、はこだて大沼牛のメンチカツ屋さん『藤く郎』

きゃべつメンチ・メンチカツの店『藤く郎』
所在地:函館市五稜郭町30-21 [地図]
TEL:0138-33-4377
予約受付時間:10:00~17:30
営業時間:11:00~19:00ごろ
水曜定休

筆者について

千葉美奈子

千葉美奈子

東京都出身。2012年夏から函館市在住。乳幼児と保護者向けイベントの講師業のほか、総合情報サイト『All About』の乳児育児・絵本ガイド。自身も子育て現役中。初めての北海道生活、函館の空の表情の豊かさは、長年かかって築かれてきた価値観・人生観に大きな影響を与えたようです。道南地方の個性的な魅力に触れるたびに幸せな気持ちに。趣味は料理、パン作り、野球観戦。