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廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

千葉美奈子
Written by 千葉美奈子

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

【木古内町・上ノ国町・江差町】2014年5月11日にJR江差線の木古内駅―江差駅間が廃線になって1年後のいま。前編では、木古内駅から湯ノ岱駅跡までをご紹介しました。今回は後編です。湯ノ岱駅跡を離れ、終着・江差駅跡までをたどります。

湯ノ岱駅跡~宮越駅跡

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

有名な見どころで知られるこの区間。天の川に沿って走る線路、そして天の川を越える第一天の川鉄橋。溪谷にかかる赤い鉄橋を渡る江差線の姿は、きっと、どんな天気の下でも絵になったことでしょう。

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

第一天の川鉄橋からしばらく進むと現れる「江差線天の川モニュメント」(ウェブサイト)。 沿線の町おこしの一環として作られた通称「天の川駅」は平成7年7月7日の開設。鉄道運行時は一般公開日限定で看板が設置されていたそうです。江差線廃止翌日の2014年5月12日以降は、看板は常時設置されホームに上って周りを見渡せます。

宮越駅跡

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

古い木造の駅舎が残る宮越駅跡一帯は、のどかな田園風景が広がります。

桂岡駅跡・中須田駅跡

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編
廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

両駅とも、車掌車を改造した駅舎。このつぶらな瞳の駅舎を見つめているとほっこりしてしまいます。

上ノ国駅跡

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

無人駅だった上ノ国駅、続く建物に町の商工会館が入っています。他の駅跡に比べて寂しさはあまり漂いませんが、雑草でおおわれ存在感が薄いホーム、線路周辺の風景が時の流れを物語ります。

上ノ国駅跡~江差駅跡

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

渡島鶴岡時点から天候不順になった道のりでしたが、すっかり空も晴れた上の国の地。さあ、もうすぐ終点の江差駅跡。道道5号からはずれて上ノ国ダムの矢印がある道に入り、海側から見て線路の内側を進みます。江差町運動公園近くには、日本海をバックにする線路。ここを通る江差線の一瞬の姿を捉えようと、多くの撮り鉄の方々がここからカメラを構えたのでしょう。

江差駅跡

▼江差駅までもうすぐ、南ヶ丘歩道橋から(奥が江差駅跡)
廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

江差駅手前。最終運行日にも列車の行き来を眺めた、江差町立南が丘小前の線路をまたぐ「南ヶ丘歩道橋」に上りました。多くの人が歩道橋にビッシリならんでカメラを構え、沿線の住宅の人々が手を振る中、誇らしさも感じる堂々とした姿で駅に向かった列車の姿を思い出しました。

廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編
廃止から1年、JR江差線(木古内―江差間)のいま(2) 湯ノ岱~江差編

そしていよいよ終着駅、江差駅跡。広い駅前ロータリーを見ていると、最終運行日の様子がよみがえります。北海道有形民俗文化財「松寶丸」が置かれ、出店と多くの人でにぎわって最高の活気を見せてくれた駅前。期間限定で設置されていた売店兼観光案内所も、もうありません。列車の入線時にはごった返していたホーム……。

江差町によると、江差駅は今年度中~来年度には解体。この跡地を含めて駅周辺の町営住宅の建て替えや、若い世代向けの住宅造成などを進めていく方針が決まっているそうです。ただ、終着駅だった江差駅の歴史を形として残すために、モニュメントの設置なども考えていきたいとのことです。江差駅の駅弁だった、江差産の天然岩海苔を使った2段のり弁当は、「れすとらん 津花館」(江差町橋本町100)で食べることができるそうです。

駅の看板や営業時間、トイレの看板、切符にスタンプを押す道具など名残りの品は、江差町郷土資料館(旧檜山爾志郡役所、江差町中歌町112)に展示されています(12,1,2月は休館。それ以外の期間の休館日には変動もありうるので、同館0139-54-2188へ確認してから訪れてみてください)。

江差線跡にほぼ沿って、道道5号線を約46km、普通に走れば1時間半程度の道のり。周りの景色を眺め写真に収めながら3時間半かけてたどった旅。「新しいもの、時代への期待と、旧きものへの思い」。一昨年から北海道新幹線関連や、在来線、駅の廃止などを取材してきた中いつも伝わってきた地元の方々やファンの思いです。

列車は走らないけれど、今回も様々な表情を見せてくれた駅舎、線路、周辺の風景に、あらためて「ありがとう、江差線」。江差駅がなくなる前に、また見にいきたいと思います。

筆者について

千葉美奈子

千葉美奈子

東京都出身。2012年夏から函館市在住。乳幼児と保護者向けイベントの講師業のほか、総合情報サイト『All About』の乳児育児・絵本ガイド。自身も子育て現役中。初めての北海道生活、函館の空の表情の豊かさは、長年かかって築かれてきた価値観・人生観に大きな影響を与えたようです。道南地方の個性的な魅力に触れるたびに幸せな気持ちに。趣味は料理、パン作り、野球観戦。