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コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

8月の終わり、倉庫が立ち並ぶ小樽港第3埠頭にある港湾合同庁舎前にコンテナが置かれた。物流の港である小樽の埠頭にコンテナの姿はそう珍しいものではない。他との違いがカフェであること以外には……。(※記事中の写真は一部を除きN合同会社提供)

PHANTOM(ファントム)、その意味とは

空と海の青、港に停泊する客船、貨物船、船の往来。 日が暮れると、黒い水面に映る街灯と船のマストの灯り。 そのコンテナから見える景色には、港町ならではの風情が映る「コンテナカフェ~PHANTOM(ファントム)~」。

コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~
コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

~PHANTOM~・幻影。 港に現れた「コンテナカフェ~PHANTOM~」は9月22日までの期間限定、その後はその場から撤去され、まさに幻影となることから、その名に由来する。

カフェの中へ

窓の外では倉庫を行き来するトラックや、フォークリフトが横切る。 港をバックに記念撮影を行う観光客が次々と訪れる。 日が暮れると、時折の通行人以外は、目の前の景色と~PHANTOM~のカウンターに置かれた灯りと自分だけが無機質な空間に浮かんでいるかのような心地良さ。

コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

このコンテナカフェは、小樽港の今後について考える小樽商工会議所港湾振興プロジェクトの一環でコンテナを使った社会実験として港でカフェを営業するというもの。 現在、市民の生活から遠ざかりつつある港を、身近に感じ親しんで貰うこと、そして今後の港の再開発に関心を持って貰うことを目的としている。

2014年度に制作されたイメージ映像「港を巷に - for our Future -」には、現在設置されている「コンテナカフェ~PHANTOM~」がそのままの姿で登場している。

SNSを中心に多くの人の目に触れたその映像は、憧れの夢物語かに見えた。 しかし、その幻影を現実にした人物がいる。 港湾振興プロジェクト、コンテナカフェワーキンググループリーダー、空間・映像デザイナーの福島慶介氏だ。

写真左から2人目が福島慶介氏
コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

福島慶介氏へのインタビュー

―― 「港を巷に - for our Future -」の映像制作時には、今回の商工会議所での事業は決まっていましたか?

福島:2014年度に映像を完成させた時点では、何かをすぐに行動に移しましょうということにはなっていましたが、コンテナカフェは新年度になってから決まったものです。これはメンバーとの合意形成も早かったことと、商工会議所の動きが柔軟で迅速であったことがあげられます。

―― コンテナカフェは福島さんのイメージ企画から始まり、商工会議所へ持ち掛けたのでしょうか。

福島:2011年度の港湾振興プロジェクト開始時からメンバーとして参加していますが、当初はここまで実働的なものになるとは予想していませんでした。会議を重ねる中で「計画のための計画ではなく、行動のための計画を」が重要であることを皆さんにご説明してきました。小樽の重要なエリアには過去既に計画が作られている場所が少なくありません。ただし、それが行動に繋がりその結果として後世に何かを残したというものは多くないです。計画のみが手付かずで残っている場合は未来の芽を摘む可能性も否定できないので、本プロジェクトではとにかく行動に移すことを重要視し、訴えてきました。

コンテナカフェのそもそもは港湾振興プロジェクトに関わったところからはじまっていて、その中で色々と計画が具体的になり、映像制作の前提として全体像の描写(設計)が必須になった中で具体的に提案させていただいた次第です。もちろんその時点で実装を前提として計画しています。コンテナカフェ→水上カフェ→埠頭大改造計画の順番を想定しています。

また、今回の社会実験はとても早い展開の中で決まっていった故に補助金予算も限られていました。何を削ってどこに費用をかけるか、それらの取捨選択も非常に難儀しました。そんな中、プロジェクトメンバーの神代順平さんはじめ皆様には大変貴重なアドバイスや協力を頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。そして運営に協力してくれている小樽商科大学大津ゼミの学生の皆さんにもお礼申し上げます。

―― コンテナカフェの次は水上カフェの計画もあるのですか?

福島:実は既に水上カフェの計画は僕が所属していた東京大学生産技術研究所の同窓である山雄和真氏と協力してSDレビューという建築コンペで入選し、9月に代官山、10月には京都で展示が決まっています。このことは小樽港での水上カフェの今後にとって非常に強力な後押しになると予想されます。財源確保や運営など、様々な展開を想定しながら既に実現へ向けて動いています。スピード感を大事に進めていきたいと思っています。

―― なぜ今回のカフェはコンテナで、場所は埠頭だったのですか?

福島:コンテナは物流の象徴です。港湾振興プロジェクトでは当初物流も課題の一つとして掲げられていましたが、クルーズ客船の誘致が成功したこと、そして港と街がここまで近い小樽の特徴を活かすためには港に人の賑わいを作る計画が妥当だということで、当プロジェクトでは「港を巷に」というテーマを掲げました。物流の象徴であるコンテナを人の交流のための場へと変えることで我々のプロジェクトの強いコンセプトを打ち出しました。この場所は小樽市の港湾部港湾管理課からの提案でしたがプロジェクトの趣旨を理解いただき、最善の場所をご用意いただけました。

―― コンテナをカフェにというインスピレーションはどこからきたのでしょうか?

福島:2009年の神戸ビエンナーレ「アート イン コンテナ」という国際展で今回と同じ40フィートコンテナを使ったアートインスタレーションを行っていました。そして(旧)岡川薬局でのカフェ運営。この二つは今回の「社会実験コンテナカフェ~PHANTOM~」のための布石だったのではと思ったりもしています。「港を巷に - for our Future -」の映像の中から現実の世界に出現したPHANTOMはその名の通り9月22日の最終営業日を終えるとこの場所から消え去ります。そして近い将来また港のどこかに出現することでしょう。そのあり方はコンテナの流動性そのものです。

街と港がここまで近いのは全国でも稀です。その可能性を活かした計画を今後も様々に展開していきたいと考えます。近い将来には、まちづくり唯一無二の武器となる市民要請の醸成に辿り着けるよう、今後も精一杯努力していきたいです。(以上、インタビューより抜粋)

コンテナカフェの次は水上カフェ企画も控えているという小樽港。 港再生からの街づくりに色々な世代やジャンルが関わり実現させた幻影のコンテナ越しに、未来の小樽が投影されているのかも。 まずは幻影が消える前に「コンテナカフェ~PHANTOM~」へ。

コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

▼営業日3日目に満月に照らされた~PHANTOM~。 新月の頃にはコンテナの窓から海に映る星が見えることに期待
コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

▼天候が安定している日は20時からコンテナ壁面にプロジェクションマッピングが映し出される
コンテナがカフェに?! 小樽港に現れた幻影~PHANTOM(ファントム)~

コンテナカフェ~PHANTOM~
営業日:8月28日(金)~9月22日(火、祝)までの金、土、日
営業時間:16時~22時
Menu:SoftDrink、Alcohl、Food
みなとまち小樽映像プロモーションプロジェクト

「港を巷に- for our Future -」

筆者について

なかつ☆えりこ

なかつ☆えりこ

小樽には色々な色があります。春夏秋冬、朝昼晩、色んな場所で色んな色。色と一緒に色々な小樽を覗いて見てください。小樽生まれ、小樽育ち、途中いなくて、再び小樽在住のライターです。小樽の色々、色んな時を見ていますが、いまだに毎日色んな発見&感動をくれる街、小樽「イエーイ」。