石狩市発祥の郷土料理「石狩鍋」とは?

2007年に農林水産省が主催して決定した「農山漁村の郷土料理百選」の一つに選ばれました。道内からはジンギスカン、ちゃんちゃん焼き、石狩鍋が選定されており、北海道を代表する郷土料理の一つとして定着しているものの一つです。では、石狩鍋とはどんな料理なのでしょうか。

石狩鍋とは

石狩鍋は、鮭をメインに野菜とともに味噌仕立てで煮込んだ鍋料理。鮭の身やあらなど、鮭は余すところなく使います。

鮭以外の具材は、タマネギ、長ネギ、豆腐、つきこんにゃく、コンブ、そして白菜ではなく甘みを出すキャベツを使うのが基本です。そのほか、ダイコンやニンジン、シイタケなどを入れることもあります。

最後に山椒を振りかけて臭みを消します。彩りを添えるイクラを散らすなど、店舗により入れる具材は異なります。

石狩鍋のはじまり

名称の通り、石狩が発祥地です。石狩川には秋になるとサケが遡上するという環境もあり、石狩川河口付近において明治前期には石狩鍋の原型が誕生したとされています。現在こそ味噌仕立てが基本の石狩鍋ですが、その昔は塩味、醤油味もあり、現在のように汁ものというより肉じゃがのようだった時代もあるとか。明治時代中期に現在の形になったとされています。

もともとは漁師の賄い料理として、味噌汁に鮭のぶつ切りと野菜を入れて提供されていたようですが、それを「金大亭」という1880年創業のお店がメニューとして出し始めたと言われています。「金大亭」のほか「あいはら」という石狩鍋二大老舗店が現在も石狩川河口で営業を続けています。その他にも石狩市内には石狩鍋を提供する店舗があり、石狩川河口に集中しています。

そんな石狩鍋が全国的に有名になったのは、昭和20年代ころに石狩で ある観光が有名になったのがきっかけです。それは地引き網漁。網を海に入れてから待ち時間があるため、その時間にお客さんに石狩鍋を振る舞ったところ、全国的に広まったといういきさつがありました。

皮のところにコラーゲンがたっぷりありますが、焼いたりすると失われてしまいます。その点、石狩鍋だとコラーゲンを含んで、美容にも良い料理と言えると思います。作り方も簡単ですので、寒い季節、鍋パーティーのレパートリーの一つに加えてみるのはいかがでしょうか。

石狩市に本場の「石狩鍋」を食べに行こう!

「石狩鍋」(いしかりなべ)。北海道を代表する郷土料理の一つとしてその名は全国に知られています。今回、リポートしてくれた野崎未来さんは、その発祥地でもある石狩市へ行き、本場の石狩鍋を堪能してまいりました。しかもなんと鮭をさばくところから、石狩鍋を作るまでの様子も見学させていただけることに。石狩鍋奉行の蛯名ひとみさんに石狩鍋の豆知識を教えていただきましたよ。この秋、石狩鍋を食べに石狩市に行ってみてはいかが?

今回お邪魔したのは、石狩鍋料理の老舗「あいはら」さん。石狩鍋奉行の蛯名ひとみさんに鮭をさばいていただきました。今回はメスでしたので、だいたい3000粒と言う筋子が出てきました。石狩鍋にもいくらとして使われます。内臓を取り出した後、竹製のササラでよく洗います。

その後、お店の調理場をお借りしていよいよ石狩鍋作りに入ります。老舗「あいはら」流の石狩鍋の作り方は以下の通りです。材料は、キャベツ、長ネギ、玉ネギ、石狩手作りもめん豆腐、ツキコンニャク、メコンブ、そしてシャケ。普通の昆布だとぬるぬるになるので、メコンブを使っているとのこと。







キャベツ、玉ネギ、ツキコンニャク、メコンブを鍋に入れ、水を入れて約10分煮ます。煮立ったら鮭・白子、柔らかくした味噌を入れて、長ネギ、豆腐、山椒、いくらを散らします。

魚に合う味噌と合わない味噌があるため味噌にもこだわりがあり、辛みが強い味噌ではなく甘みのある味噌を使っているのだとか。市場にあまり出回っていない酒屋製造の味噌を30年近く使っていらっしゃいます。

石狩鍋奉行・蛯名ひとみさんに、石狩鍋についていろいろお話を伺いました。是非、映像でお楽しみください。

映像

石狩鍋奉行とは?

石狩観光協会臨時職員。初代石狩鍋奉行の蛯名ひとみさん(当別町出身)は2011年3月から1年間の任期。石狩鍋は全国的に有名だが、道外なら石狩市は知らない、石狩鍋の中身を知らない人が多い、若い人は特にそう、ということで、石狩鍋のPRをする人を募集した。時代劇のような衣装を身につけ、語尾には「~じゃ」を多用する。週3くらいで石狩鍋を食べ、あまり食べていないと禁断症状が出ると言う(本人談)。

出演:蛯名ひとみ(石狩鍋奉行)・未来/協力:石狩観光協会・あいはら/企画制作:PNG Office


石狩鍋料理「あいはら」
所在地:石狩市弁天町番外地
TEL:0133-62-3019
鉄鍋を使った由緒正しき本物の味。多くの著名人、文化人を魅了してきた豪快かつ繊細なこだわり、伝統の逸品。極上の鮭を使った網元もてなし料理の醍醐味を是非、ご堪能ください。