なぜ年末に工事が増える?11・12月に道路工事が行われるワケ


雪が降り始めた11月―。札幌市内の道路でも道路工事が行われていた。特に年末にかけての時期には道路工事が多いようにも感じる。なぜ冬の雪が降り始める季節に、しかも交通渋滞が起きて迷惑になるような季節に道路工事を行ってそれに拍車をかけるの?そう感じたことはないだろうか。実際はどうなのか。

まず、本州での道路工事と、道内での道路工事とでは、事情が異なるようだ。本州では年末に道路工事を行うことは苦情が殺到する要因になるので暮れに行うことは極力避ける傾向にあるらしい。しかしどうしても行政の単年度主義により、年度末に工事が集中することになってしまう。特に道路工事は契約・申請から着工まで一定期間必要とするため、着工に入るのは冬の年度末に近くなってしまう。雪が降らない地域であれば、そのようなことでOKだ。

しかし寒冷地の北海道ではそうはいかない。雪が降ってしまっては工事は難しい。例えば舗装中に積雪があった場合、工事に取り掛かる前に除雪をしなければならなくなる。場合によってはそれが経費を無駄にかけてしまうことになりかねない。また、路盤とアスファルトの間で剥離が発生し道路状況が悪化する危険性もはらむだけでなく、大雪の場合、行政が行う除雪や排雪の妨げともなりかねない。また、冬季間は道路工事にではなく除雪や排雪作業に人員を多く割きたいという事業者も多い。中には冬だけ出稼ぎに行く人もいる。

このような事情から、出来る限り年度末よりも冬前に前倒しして道路工事を完了したい事情が道内にはある。行政としては工事発注を年間を通じて平均化させたい意向だし、事業者は冬前に終わらせたい。実際に着工に至るのは契約後、道路占有申請や測量やらなんだと3カ月ほどかかる場合があるため、8月以降のものについては11月以降になってしまう、でも1月以降は難しい、つまり年末に工事が増える、という流れらしい。年末に駆け込みで道路工事が行われるため、道路を走っていて工事が増えているなと感じる理由になっている。

冬季間つまり12月から翌年3月までの道路工事においては、事業者側の意向と契約から着工までの最低限かかる期間といったところがどうも関係しているようである。誰も好き好んでドライバーに迷惑をかけてまで工事をしたいと思う業者はいないはずで、そこには行政と業者と期間という仕方ない実情があるためであると考えておく方がよいのかもしれない。