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DMVはJR北海道が世界で始めて実用化

編集部
Written by 編集部

 JR北海道が開発した、線路と道路を走行できる新型車両「DMV」が国内、世界から注目を集めています。

DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMVの連結「U-DMV」の走行の様子

DMVとは?

 DMVは、デュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicleの略称)。世界では線路と道路の両用車というのは開発していたようですが、実用化されることはありませんでした。それで、いまその分野で最も先進しているといわれているJR北海道が実用化を実現すると、世界初の快挙となります。 開発に成功したという意味において、世界初という言い方もできます。

DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMV走行の様子


 この車両は外見はマイクロバスですが、モードチェンジをすると線路を走行するための車輪が出てきて、線路を列車と同じように走行できるようになります。線路用車輪が下ろされると、前輪ゴムタイヤは宙に浮きますが、後輪ゴムタイヤは駆動輪のため線路に接したままになっています。そしてその後輪のさらに後ろにも鉄道用車輪がガイド輪としてサポートしています。前後鉄輪間隔が6mほどで、これ以上だとカーブを曲がることができなくなるということで、ちょうど良い大きさの車両といえます。

DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMV前後の様子

 道路から線路へモードチェンジする際には、線路の幅にうまく車輪を下ろすため専用のガイドウェイが必要ですが、線路から道路へ移るときは踏切ならどこでも可能です。そのため、鉄道で一部区間が被災などした場合に臨機応変に対応が可能である、というメリットもあるわけです。

DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMVのモードチェンジの場所(浜小清水駅構内)


 メリットは他にもあり、車両購入費が鉄道車両だと1億円するといわれますが、DMVだとマイクロバスを改造するため購入費用が削減(通常鉄道車両の約7~10分の1)できるだけでなく、軽量(6t、通常鉄道車両40t)なので燃費も少なく(通常鉄道車両の約4分の1)、保守管理費用も少なくてすむ(通常鉄道車両の約8分の1)というのもすばらしい利点です。これは地方のローカル線では大変有効です。

DMVはJR北海道が世界で始めて実用化
DMVの停止位置の看板(浜小清水駅構内)

 運転にあたっては、法律に基づき、鉄道車両の運転免許所有者と大型二種運転免許所有者の2人のドライバーが必要で、モードチェンジ時に担当が変わります(2007年釧網線試験営業運転時には網走バスが道路走行を担当)。国内では前代未聞の車両の誕生となるため、2007年10月1日に地域公共交通活性化法が施行されて、DMVにも対応しました。

 DMVは国内や世界からも注目を集め、国内では静岡県富士市で道外初の試験走行が行われたり、国外ではスロバキアからも注目されたといいます。2007年春の北海道の新・駅弁コンテストグランプリに「DMV トリップBOX」が発売開始、「北の海鮮カップ」「北の黒牛カップ」「北のサラダポークカップ」という3つのカップ駅弁が好評でした。チョロQ発売、漫画「D-LIVE!!」に登場したこともファンの間では話題になりました。

DMVの主な仕様

車両メーカー日産・シビリアン
試験車両初代(Salamander901)、U-DMV用(911と922)、サミット直前新型の合計4台
購入費用約2000万円
全長7.35m(サミット直前新型は8.2m)
全幅2m
高さ2.6m
総重量約6.2t
モードチェンジ所要時間10~15秒
最高速度時速70km
定員16名(当初17名、初代は28名、U-DMVは34名、サミット直前新型は28名)
ナンバープレート初代は札幌230さ901、U-DMVは北見230あ911と北見230あ912
従来車両との比較 購入費用:約7~10分の1
コスト削減:約4分の1
保守管理費用:約8分の1
車輪昇降システム油圧式
運行管理システムGPS採用
道路運転方式初代はMT、U-DMV用はAT
モードチェンジ部レール幅1137mm(この幅に乗り1067mmに合わせる)

DMV年表

2002年発案者が幼稚園送迎バスをヒントに導入を決意
2002年10月開発プロジェクトチーム始動
2003年12月初代試験車完成
2004年1月28日試験車開発完成発表(名称はSalamander901)
2004年6月28日札沼線(石狩月形~晩生内)で走行試験開始(8月まで)
2004年10月9日苗穂工場一般公開ではじめて一般公開
2004年12月13日冬季試験開始、日高本線(様似~浦河、静内~蓬栄)(翌年3月31日まで)
2005年3月9日連結U-DMVを開発発表
2005年4月20日鵡川で道路走行試験
2005年8月5日道内車内販売限定で初代型チョロQ発売開始(800円)
2005年秋週刊少年サンデーの漫画「D-LIVE!!」に登場する
2005年9月28日北見駅~西女満別駅間でU-DMV夜間試験走行開始
2005年10月3日北見駅~西女満別駅~女満別空港間でU-DMV試験運行 (10月末まで、線路約32km道路約2km)
2005年11月14日札沼線石狩月形~豊ヶ岡間の踏切で初の脱線事故 (原因は軽量ゆえ雪に乗り上げ)
2006年1月15日国土交通相が初の視察・試乗
2006年4月17日札沼線でU-DMVの連結を変えて試験走行開始
2006年6月DMV推進センター発足
2006年9月21日釧網線でU-DMVの試験走行
2006年10月1日道内車内販売限定でU-DMV型チョロQ発売開始
2006年11月24日初の道外試験運行 (静岡県富士市岳南鉄道線・市場踏切~岳南原田駅間2.8km及び道路3.2km)(26日まで)
2007年1月14日・21日デモ走行(静岡県富士市岳南鉄道線)
2007年3月9日試験定期営業運行にあたり国土交通省がJR北海道にDMV確認書交付
2007年3月15日U-DMV車籍付与(JR北海道釧路運輸車両所及び網走バス)
2007年4月10日北海道の新・駅弁コンテストグランプリ「DMV トリップBOX」発売開始
2007年4月14日世界初の試験的営業運転開始(釧網線浜小清水~藻琴間約11km道路21km、 中学生以上1500円、小学生1000円、1両編成1日3本)
2007年5月熊本県南阿蘇鉄道で2011年導入に向けDMV導入実証実験協議会設立
2007年7月1日試験的営業運転変更(線路区間は同じで道路25kmに変更
2007年10月21日浜小清水駅構内で鉄道へのモードチェンジ直後に脱線、 試験営業中では初の脱線(原因は停止位置看板の設置ミス)
2007年10月27日試験的営業運転再開
2007年11月11日試験的営業運転終了(乗車率94%、3131人乗車)
2007年7月20日宮崎県東国原知事視察
2007年11月13日~15日熊本県南阿蘇鉄道で検証実験(夜間走行)道外2回目 (高森~中松間約7.2kmと道路8.5km)
2008年3月20~22日熊本県南阿蘇鉄道で試験走行(高森駅~中松駅間約7km+道路)
2008年2月5日~28日冬季試験開始(3度目・札沼線石狩月形~札比内間)
2008年4月26日~6月29日釧網線浜小清水~藻琴間で試験的営業運転開始(線路11km+道路25km、1時間10分)(2年目)。浜小清水駅隣接のマートフレトイで黄色のDMVまんじゅう発売(8個840円)
2008年7月4日~27日10日までは洞爺湖サミットのため洞爺湖ビジターセンター駐車場で定員28人の新型試験車輌デモ走行(1日披露)、12日~27日の土日は一般向けに走行
2008年9月22日史上はじめての試験営業中での故障による運休
2008年10月8日2008年度グッドデザイン賞でグッドデザイン・サステナブルデザイン賞受賞
2010年8月30日3両編成のDMVを公開
2011年トヨタグループ参加のもと定員25人以上・バイオディーゼル燃料とする新車両DMVを開発し、営業開始

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