1913年に道内初の路面電車に―100周年を迎えた函館市電の歴史

NO IMAGE

【函館市】道内では現在、函館市と札幌市にて路面電車が営業中だが、北海道初の路面電車はどちらかご存じだろうか。実は札幌の馬車鉄道が電化したのが1918年、函館の馬車鉄道が電化したのが1913年ということで、函館のほうが約5年早かったのである。よって、北海道初の路面電車は函館市電のほうなのである。函館市電は2013年に電化100年、札幌市電は2018年に電化100年を迎える。

函館市電の歴史を紐解いていくと、1894年に設立された亀函馬車鉄道株式会社によって1897年12月12日に開業した亀函馬車鉄道が前身だ。馬車鉄道は、最初、弁天町(函館どっく前)~東川町(東雲町)間が最初に開業し、その後、十字街~鶴岡町(函館駅前)~東川町(東雲町)間、鶴岡町(函館駅前)~海岸町間、海岸町~亀田間、東川町(東雲町)~湯川間が翌年に続々延伸開業していった。1903年(資料によっては1904年)に海岸町~亀田間が廃止し、その後1913年の電化に至った(写真)。

1913年に電化したのは、6月29日にまず東雲町(労働会館前)~湯川間で、同年10月31日に弁天町(函館どっく前)~十字街~東雲町(労働会館前)間が電化した。1914年になると、宝来町~谷地頭間が電化開業し、同年10月31日に全線で電化することとなった。1925年には海岸町~亀田(ガス会社前)間が復活開業。

1950年~1951年にかけては宮前線が新設され、1954年に本線が亀田から五稜郭駅前まで開通、湯の川線の湯の川温泉~湯川間は1945年~1959年まで廃止されるなど、戦後も路線に変更がなされた。1978年には本線のガス会社前~五稜郭駅前間、1992年に東雲線の宝来町~松風町間、1993年に本線の函館駅前~ガス会社前間、宮前線のガス会社前~五稜郭公園前間が廃止され、現在に至っている。

ここまでの路線の変遷を箇条書きにすると以下の通りになる。

  • 1897年12月12日 亀函馬車鉄道・弁天町(函館どっく前)~東川町(東雲町)間開通
  • 1898年 1月 9日 亀函馬車鉄道・十字街~鶴岡町(函館駅前)~東川町間開通
  • 1898年 9月29日 函館馬車鉄道・鶴岡町(函館駅前)~海岸町間開通
  • 1898年10月21日 函館馬車鉄道・海岸町~亀田間開通
  • 1898年12月12日 函館馬車鉄道・東川町~湯川間開通
  • 1903年 7月 8日 函館馬車鉄道・海岸町~亀田間廃止
  • 1914年 5月 1日 函館水電・宝来町~谷地頭間開通
  • 1925年10月 1日 函館水電・海岸町~亀田(ガス会社前)間開通
  • 1945年 7月 9日 函館市交通部・鮫川(湯の川温泉)~湯川間廃止
  • 1950年 9月14日 函館市交通部・亀田(ガス会社前)~宮前町間開通
  • 1951年 7月 1日 函館市交通部・宮前町~五稜郭公園前間開通
  • 1954年11月21日 函館市交通局・亀田(ガス会社前)~鉄道工場前開通
  • 1955年11月27日 函館市交通局・鉄道工場前~五稜郭駅前開通
  • 1959年 9月 2日 函館市交通局・湯の川温泉~湯の川間開通
  • 1978年11月 1日 函館市交通局・ガス会社前~五稜郭駅前間廃止
  • 1992年 4月 1日 函館市交通局・宝来町~松風町間廃止
  • 1993年 4月 1日 函館市交通局・函館駅前~ガス会社前~五稜郭公園前間廃止


より大きな地図で 函館市電 を表示

かつては、亀田、五稜郭駅前方面へ続く本線や、五稜郭公園前とそれをつなぐ宮前線、松風町から宝来町に続く東雲線もあったことがわかる。現在、本線となるのは、函館どつく前~函館駅前を指し、松風町~湯の川間が湯の川線、十字街~谷地頭間は宝来・谷地頭線、そして、函館駅前~松風町までのわずか500mが最も短い大森線と呼ぶ。分岐は十字街のみで、2系統と5系統の10.9kmが運行されている。現時点で分岐営業路線があるのは道内では函館市電のみである。

100年を迎えた函館市電では、新型車両のらっくる号に「百」の文字が車体に掲げるなど、100年を盛り上げようと頑張っている。