高さ約88m!芦別市にある「北海道大観音」の中はどうなっているのか

芦別市には、圧倒的な存在感を誇る観音様がいらっしゃいます。道の駅・スタープラザ芦別に立ち寄ったときに、そのお姿をご覧になった方もいるはずです。この観音様は北海道大観音といいます。

北海道大観音は、北の京・芦別というレジャーランド施設の一つで、観音様の中に入って胎内めぐりをすることができました。その内部は、仏教オールスターズのような様々な観音様や仏教資料館の魅力はもちろん、オープン当時のバブル景気の空気感がいまだに残っていて、いろいろな意味で感動します。そんな北海道大観音の胎内めぐりをしたときの様子を、ご紹介します!

▼道の駅・スタープラザ芦別から見た北海道観音像

北の京・芦別と北海道大観音

1970年、芦別レジャーランドがオープンしました。オープンして間もなく、お年寄りが楽しみやすい宗教的な雰囲気の施設づくりを目指します。そして、1988年に芦別レジャーランドは北の京・芦別と改称。その翌年、1989年(平成元年)に北海道大観音がオープンしました。北海道民なら、世代によってはテレビCMでもお馴染みかもしれませんね。

▼入場ゲート

▼大迫力の北海道大観音

パンフレットによると、北海道大観音の高さは88メートルもあるそうです。胎内は20階建てとなっており、直通エレベーターで最上階まで上がることができます。観音様ののど元のあたりです。

それでは、いざ北海道大観音の胎内へ!

別世界への期待が高まる道中

▼1階ロビー

1階ロビーでは、金色の千体観音がお出迎え。当時はおみくじを引くこともできました。

ロビーでは、胎内めぐりのスタンプ帳が購入できました。北海道大観音では胎内を札所に見立て、各フロアでスタンプを押すことができました。もし、スタンプ集めをしたい方は、まずはここでスタンプ帳を購入することになります。

ロビーから階段とエスカレーターを使って、北海道大観音の足下へ登っていきます。距離はさほどないのですが、徐々に彫刻や調度品が増えてきて、なんとなく別世界へ向かっているような雰囲気が伝わってきます。

▼豪華なエレベーター!

そして、龍の彫り物と朱塗りのエレベーターホールへ到着。このエレベーターホールだけで、胎内めぐりの期待が大いに高まります!

▼エレベーターの案内板

エレベーター内には胎内の案内板があります。ここは素直に最上階の20階を目指します。

豪華絢爛 バブルの名残

▼北海道大観音ご本尊

エレベーターが20階に到着すると、そこには豪華絢爛な北海道大観音のご本尊がいらっしゃいます。ここは祈りの広場といい、上階まで吹き抜けになっており、天井画が一面に描かれています。

これほど立派な施設が、レジャーランド内に建設されていたことに驚きと感動が禁じ得ません。そして、かつて日本には、バブル景気という贅沢な時代があったことが実感できました。

実は20階には、案内板には書かれていない見所もあるので、札所参りをする前にそちらも訪れましょう。

▼胸元展望台からの眺め。この日はあいにくの天気だったのが残念。左に写っているのは北海道大観音の左手。

北海道大観音の胸元あたりに出られる展望台からは、北海道大観音の目線で芦別市内の様子が見渡せます。

▼祈願処の入口

祈願処は、まったく明かりが差さない真っ暗な通路です。北海道大観音にお願い事をしながら通り抜けると、願い事が叶うと言われています。内部は狭く、床や壁は柔らかな布で覆われていました。もしかすると、産道をイメージしたものなのでしょうか?

▼子宝観音

祈りの広場から、さらに階段で上へ上がることができます。そこには子宝観音がいらっしゃいます。スタンプはありませんが、ぜひお参りしてください。

▼第4屋内展望台

ひっそりと小部屋に設けられた、小さな窓は第4屋内展望台でした。

▼いざ札所参りへ

北海道大観音の胎内は、各階の札所をお参りしながら、らせん状に階段を降りていきます。階段を使うのが不安な方は、各フロアごとにエレベーターで訪れることもできるので、ご安心を。

▼二番札所の白衣観音

各フロアの札所は以下の通りです。

  • 一番札所(20階):北海道大観音ご本尊
  • 二番札所(18階):白衣観音
  • 三番札所(16階):龍頭観音
  • 四番札所(14階):如意輪観音
  • 五番札所(12階):延命南海観音
  • 六番札所(10階):慈母観音
  • 七番札所(8階):聖観音
  • 八番札所(6階):十二支 干支守本尊
  • 九番札所(4階):仏教資料館
  • 十番札所(1階):千体観音
    (『北海道大観音 胎内めぐり集印帳』より)

▼仏教資料館の展示物

十番札所は1階ロビーの千体観音です。あまりに豪華絢爛すぎて、お腹一杯になってうっかりスタンプを忘れてしまいがちなので、ご注意ください!

札所はまさに仏教オールスターズのような、様々な観音像を見ることができます。

また、各フロアの観音像以外に、らせん階段の通路にはお札や額が奉納されていて、飽きることがありません。これは北海道大観音の維持管理のために、奉納金や仏具を納めた方のお名前が記されていました。個人の方以外にも有名企業の名前もあり、当時の面影が感じられます。毎月18日には、これら奉納者のための法要が行われていた、とのことです。

▼北海道拓殖銀行の名前が

そういった額の中には、北海道拓殖銀行の名前も見られました。

日本中がバブル景気に沸いた1990年、平成元年に北海道大観音はオープンしました。まさに日本が絶頂期を迎えていた時代で、胎内にはその空気が今でも残っているようでした。

しかし、バブル景気崩壊により日本経済は低迷。北の京・芦別も、その影響を免れることはできませんでした。2007年、北の京・芦別は経営破綻しました。

残されたレジャー施設と北海道大観音は、所有者を転々としながら現在に至っています。平成元年に建てられた北海道大観音は、バブル時代の名残りとともに、間もなく新しい時代を迎えようとしています。

北海道大観音
所在地:北海道芦別市旭町2番地
参考資料
『新芦別市史 第3集』
『北海道大観音 胎内めぐり集印帳』
注意
現在、北の京・芦別と北海道大観音は宗教法人天徳育成会の天徳院の所有物となっています。本記事でご紹介した内容と異なる場合もございますのでご了承ください。