NHKドラマ「すずらん」撮影の地に残る昭和の風景―「明日萌駅」

【沼田町】明日萌驛(あしもいえき)。それがこの駅のもう一つの駅名である。しかし、そんな駅名は留萌本線のどこにもない。架空の駅としてテレビドラマのロケセットで誕生した駅名なのである。今や、留萌本線恵比島駅の愛称のように使われている。

NHKのテレビドラマ「すずらん」のロケは、1998年12月と翌年5月の2回にわたって行われた。恵比島駅がテレビドラマ「すずらん」のロケ地に選ばれたのは、線路が一直線であることと、昭和初期の街並みがあること、駅前広場があること、駅前道路がメインストリートとしての雰囲気があるという理由だった。恵比島駅には、現在も立派な木造駅舎があるが、実はそれはロケのために昭和初期の駅舎を再現したもの。その脇にある緩急車を改造した簡易駅舎が実際は駅舎なのである。その駅舎は、ロケのために古材で覆われた。









このような経緯があって、駅の風景は昭和時代のままといったような雰囲気が残されている。ロケセットの駅舎内には主人公である萌の人形も置かれており、駅内も昭和時代のまま取り残されているかのように感じられる。駅舎の隣には、駅長常盤次郎宅もあり、外観だけ撮影が行われたという。また、駅前にも旧黒瀬旅館(中村旅館)というロケセットがあり、駅前の風景も趣がある。

かつて、ドラマ放送直後は観光客で賑わっていた明日萌驛も、今やブームも去り閑散としてしまっている。駅前通りの建物もほとんど取り壊されてしまっているが駅舎は健在なので、テレビドラマや映画「すずらん」を鑑賞する機会があったら、是非ともロケ地にも訪れていただきたい。