カブ主総会ってなに!? 旅人が集まる富良野の喫茶店「カフェ・ノラ」

富良野の街にある一本の橋を、一台のバイクが走り去っていきました。目的地は築60年以上の古民家を改装して創られた喫茶店、カフェ・ノラ。

カレーライスが美味しい喫茶店というだけでなく、店内からは楽しそうな笑い声が聞こえてきます。どうやら普通の喫茶店ではない、このお店の秘密とは一体何なのでしょうか。

ゲストさんたちの心癒すものとは

▼オーナーのみどりさんと、旦那さんのヤスさん

扉を開けて、まず迎えてくれるのは、優しい笑顔がとっても印象的なオーナーの大槻みどりさん。その笑顔と同時に飛び込んでくるのは、木を基調とした店内。この雰囲気が、入った瞬間に道中の疲れを癒して、心を落ち着けてくれます。そして、正面の椅子を引いてカウンターに座ると、ふと目に飛び込んでくるのはカブと書かれた雑誌の数々。

▼優しい色遣いの店内

▼旅人さんの心躍る、バイク雑誌の数々

富良野の日常に、旅人さんというスパイスを

みどりさんはもともと鉄道が好きで、よく電車に乗って旅をしていたそうです。そして今では、スーパーカブに乗っていて、ご自身で塗装までしてしまう程のこだわりをもったバイクを所有しています。その為、カフェにはバイク好きの旅人さんたちもよくやってくるそうです。

旅人さんが集うと、そこはまるで旅人が集まる宿のように、常連さん同士が顔を合わせてお喋りしたり、初対面の人もいつのまにかそこに混ざって一緒に笑ってしまったりしているのです。

▼鉄道の色を再現したみどりさんのカブ

笑顔が集まるカブ主総会とは

そしてここは、オーナーのみどりさんやスタッフさんの笑顔だけじゃなく、カフェに遊びに来るゲストさんも一緒に、この居心地の良さを創っているのです。

それを一番感じることができるのは、2年に1度のカブ主総会。カブに乗っている人のことをカブ主と呼び、ご自身の自慢のカブに乗って集まるそうです。そうして、好きなものを共有できる者同士がさらに交流を深めることができます。

これは2015年に始まったイベントで、第一回目が36台の参加、そして第二回目は限定50台にしたところ、受付開始1分で半分の予約が埋まってしまい、その日限りで定員になってしまう程の人気っぷりでした。

▼ノラさんファンの愛情が溢れるイラスト

旅人さんにぽかぽかのおもてなし

こんなにも旅人さんに愛される理由の一つには、オーナーさん自身が旅人心をよく理解してくれているからだと思います。例えばライダーさんは雨の日にカッパを着ていると飲食店に入りづらかったりしますが、ノラさんではそんなこともお構いなし。

また、バイクで不具合があったときには道具を貸してくれたりもするそうです。

▼ガレージの扉にはカブのステッカーたち

陶芸体験もできる「野良窯」

工具やバイクがしまってあるのは、カフェの隣のガレージ。ですがガレージと思いきや、中を進むとなんとそこには陶芸の窯があるのでした。ご主人のヤスさんは、陶芸作家さん。ここではご自身の作品を創ったり、更には陶芸体験をしたりもできるそうです。カフェの店内では、ヤスさんの作品を販売しているので、実際に手に取ってお気に入りを探すことができます。

▼ヤスさんが楽しく教えてくれる陶芸体験所

▼シンプルなものから遊び心溢れるものまで揃うヤスさんの作品たち

過去から繋がるバトンを繋ぐ場所

▼お気に入りの場所を探すのもノラさんの醍醐味の一つ

この建物は、築60年以上経つ古民家です。もともと農家さんのおうちだったこの建物を、大工さんの力を借りながら自分たちで改修を行ったそうです。そのためところどころに昔のおうちの名残があり、思わず手で触れたくなってしまうような、当時のぬくもりが散りばめられています。そして今でも、当時この家に遊びに来ていた人がカフェに遊びに来てくれるそうです。

▼柱に残る、過去の時間が刻まれた文字

心もお腹も一度に満たしてくれる場所

このように、時を越えて愛されるこの場所は、旅人たちの憩いの場、そして地元の方々にとっては、自分の日常に居ながらも旅の話を聴いてわくわくできる場所なのです。旅人さんの中には、本州から富良野にやってきて、一日中ノラさんに滞在する人も少なくないようです。そして更には、カフェのお料理も美味しく、種類豊富なカレーライスはメニューを見ているだけでついお腹が鳴ってしまいます。

▼こってりラムのキーマカレー

▼期間限定や曜日限定メニューも

なぜだかついつい長居してしまうこの居心地の良さを体感しに、是非旅の途中に一度寄ってみてはいかがですか？美味しいカレーライスの匂いと、みんなの笑い声で、きっとあなたの五感も喜ぶはず。