読み方は「ちんこじま」―洞爺湖畔に浮かぶ珍地名「珍小島」とは

胆振管内洞爺湖町と壮瞥町にまたがる洞爺湖。湖の中央に浮かぶ「中島」をはじめとする4つの島はよく知られていますが、湖畔に浮かぶ小さな島があるのをご存知でしょうか。その島の名前が一度聞いたら忘れないインパクトある珍地名として親しまれています。

その名は「珍小島(ちんこじま)」

洞爺湖の南西に浮かぶ島の名前は「珍小島」。読み方は「ちんこじま」。シモネタ地名としてTV番組でも紹介され、一時期有名になりました。

珍小島があるのは、洞爺湖町の国道230号がトンネル出口で洞爺湖にぶつかって、洞爺湖温泉街に進むこと約300メートル。洞爺湖有珠山ジオパークの一部になっている「珍小島公園」にあります。

上空から見ると、または地図を見ると、洞爺湖に突き出す地形があり、砂州の先に豆のような形をした珍小島がつながっています。地理用語では、霧多布岬(浜中町)や函館山(函館市)と同じ陸繋島(りくけいとう)といいます。

▼中島や羊蹄山をバックに珍小島

珍小島は周囲約200メートル、面積約2000平方メートルの小さな無人島。最高標高84.1メートルですが、洞爺湖の標高が84メートルですので、湖面から1メートルほどの高さしかありません。

秋のシーズンには砂州を難なく渡って上陸できましたが、増水時にはこの砂州が水没し、島が孤立します。一説では、季節によっては島へ歩いて渡れることから、珍しい小島=「珍小島」と名付けられたといいます。

▼砂州には陸揚げされた船が並ぶ

島にはいったい何があるのか?

珍小島公園に車を止め、砂州を通って島に上陸すると、踏み固められた小道が島を縦断するかのように作られていることがわかります。地面はトクサに覆われており、島全体に木が生い茂っています。砂州が水没せず、葉が枯れ落ちる秋が上陸におすすめです。

▼いよいよ島に上陸!

▼島の内部

島の中央には、「南無善女竜王」(大正7年3月)、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」「大己貴神(おおなむちのかみ)」と掘られた2つの碑石が建立されているほか、国土地理院によって四等三角点(84.1メートル)「チンコ島」が設置されています。

▼島の中央にある碑石

▼三角点「チンコ島」

小道は島の突端の岩場に通じているほか、有珠山と洞爺湖温泉街を望む東側にも通じています。先端に立つと、目の前には中島。後方にしか陸地がないため、まるで湖面に立っているかのような錯覚にとらわれます。島の先端には、土地に幸せをもたらす妖精「珍小島の鼓太郎」がいるようですので、運が良ければ会えるかも?

▼島の先端

▼島の先端から中島を望む

▼島の東側から温泉街と有珠山を望む

珍小島に由来する名前としては、珍小島公園のほか、珍小島歩道橋があり、近くの住宅地は珍小島地区と呼ばれることがあります。ちなみに珍小島公園は、2000年の有珠山噴火では地盤の変動がここまで及び、珍小島地区の全員が避難しました。そのときの断層跡が公園内の段差として残されています。

▼島を出て陸側を望む

洞爺湖を通る際は、珍小島の存在も忘れずに。砂州が水没していなければ、上陸してみてください。