『北の国から』にも登場! 大自然の天然露天風呂「吹上露天の湯」

銭湯で露天風呂に入ったことがある人は多いだろう。しかし、大自然の中にある天然の露天風呂に入ったことがある人はいるだろうか。

ラベンダーやヒマワリの丘で有名な美瑛の近くに天然の露天風呂があるというので、さっそく向かった。そこは、美瑛から白金温泉へと向かう道道966号線を30キロほど進んだ場所に位置する。中間地点付近には『青い池』という有名な観光スポットもある。白金温泉から約10キロ、急な勾配の上り坂を上り続けた先に、『吹上温泉』と書かれた看板があった。

そこには車が10台ほど駐車できるスペースと簡易トイレが設置されていて、さらに雑木林を100メートルほど下ると、吹上露天の湯にたどり着いた。




※湯船写真はWikipediaより

大自然の中の天然露天風呂

湯船は天然の岩でできているが、湯船の周りは階段や手すりが整備されている。すぐ脇は崖になっていて、勢いよく滝が流れ落ちている。生い茂った木々が周囲に広がり、山と一体化した感覚を味わえる。


湯は透明。カルシウムやナトリウムが含まれていて、神経痛、急性疾患をはじめ、様々な効果があるという。また、湯は飲むこともでき、高血圧やむくみに効くとのことである。湯船は上流側と下流側の2つあり、下流側の温度が40度前後だったのに対し、上流側の温度は50度近くある。熱くてやけどしそうになるほどの温度で、足先を数秒入れることしかできなかった。

憩いの場としての温泉


平日の午前中に訪問したのだが、40代から60代とみられる男性4人がすでに湯船に浸かっていた。1時間ほどいたが、その間も10人以上が訪れた。すでに入浴している人は訪れた人とあいさつを交わす。そして湯船では雑談が繰り広げられる。お互い裸ということで内面もさらけ出されるのだろうか。面識がなくても自然と会話に花が咲いた。

私が訪ねたとき女性は入浴していなかったが、湯に浸かっていた60代の男性は一か月に一度通う常連で、「たまに20代のカップルが仲良く入っていることもある」と言う。カーテン付きの更衣室も設置されているので女性でも安心して入浴できる。

歴史ある露天風呂!あの『北の国から』にも!?

この露天風呂は、明治30年に旭川在住の丸谷捨吉氏により発見されたとされる。その後、明治時代の終わりごろに、温泉として経営が始まった。長く登山や山スキー客でにぎわったが、昭和18年ごろに温泉が廃業となった。それでも湯船は残り、引き続き登山客などに親しまれていた。昭和の終わりから平成にかけて、秘湯・露天風呂ブーム、さらには昭和63年から十勝岳の火山活動が活発化したことによる湯温の上昇によって、利用者が増えたという。

利用者増加の大きな要因が他にもある。なんと、富良野を舞台にしたドラマ『北の国から』の撮影で吹上の湯が使われた。作品中で宮沢りえ(小沢シュウ役)がこの露天風呂に入浴した。このことから”聖地”として、北の国からファンが訪れることもよくあるそうだ。

入浴料は無料で、24時間開放している。しかし電灯がないため、夜に入浴する際は注意が必要だ。
車があれば、旭川や札幌からのアクセスは良好である。皆さんも天然露天風呂で、日頃の疲れを癒してみてはいかがだろうか。

吹上露天の湯
所在地:北海道空知郡上富良野町吹上温泉
:道道966号線を30キロほど直進。
道道966号線は10月下旬~5月上旬まで、望岳台~吹上温泉間が通行止めとなり、美瑛から吹上温泉へのアクセスが不可となる。しかし、上富良野側からは冬季も通行可能である。
バス:上富良野駅から上富良野町営バス十勝岳線に乗り継ぎ約30分、吹上温泉保養センター前下車