岩の上から下まで魅力満載!遠軽「瞰望岩」の2つの楽しみ方とは?

【遠軽町】遠軽町のシンボルといえば、市街地のあらゆる場所から見ることのできる「瞰望岩」。遠軽町民にとってはおなじみの巨大岩は、観光で訪れても楽しい。頂上からの眺望はもちろん素晴らしいが、それだけでなく、岩の下にはSLが置かれていたりと、瞰望岩の上から下まで楽しめるのだ。

瞰望岩の成り立ち

「瞰望岩」(がんぼういわ)は地上約78mの高さで聳える火山礫凝灰岩の岩丘だ(標高は160.8m)。遠軽駅南側の鉄道分岐のちょうど西側に位置する[地図]。近くを流れる湧別川が長い期間をかけて平野部を作ってきたが、この岩の部分だけは非常に固く、取り残されてしまったと考えられている。

岩の周辺からは旧石器時代以降の遺物が多く発見されてきた。中腹には洞窟があるが、たき火や土器が発掘されている。記録としては、1858年の松浦武四郎著の記録に登場しているのが最も古いとされる。古くからアイヌの人たちが神祭りの神聖な場所として周辺を眺望し見張っていたといい、この岩を指すアイヌ語「インカルシ」(見張りをする所の意)が、やがて遠軽の町名の由来になった(インガルシを遠軽と置き換えたのは1901年2月開設の遠軽郵便局が最初で、その後官公庁の名称として広まっていった)。

また、かつて湧別アイヌと十勝アイヌが争った際、湧別アイヌはこの岩の頂上をチャシとしたが、麓の十勝アイヌは湧別川の洪水で全滅したという「インカルシの戦い伝説」がある。まさに遠軽の歴史を見つめてきた岩であり、歴史的に見ても遠軽のシンボルとして相応しい。

以上の歴史から、2011年2月7日には国指定名勝「ピリカノカ」の一つとして道内5番目、オホーツク管内で初めて指定された。

魅力1.瞰望岩の上:恐怖の断崖から遠軽市街地を一望!

頂上へは、太陽の丘えんがる公園側から行くことができる。頂上に近い駐車場に止めて岩の先端部、頂上に行くことができる。岩の頂上は岩肌がむき出しで、柵も設置されていないので、高所恐怖症の方は行くことができないかもしれない。遊歩道の入り口には「頂上には危険防止柵を設けておりません。各自で十分注意してください」という立札も設置されており、各自自己責任で頂上に行くこととなる。

それでも、頂上付近から見る眺望は素晴らしい。眼下に広がるのは遠軽市街地。JR石北本線と遠軽駅、そして湧別川がまちなかを流れる。頂上には赤い屋根の東屋が設置されており、ベンチに座りながら開放的な眺望を楽しむことができる。その先は垂直な断崖であるため、夕暮れや雨天時にはご注意を。

頂上にはかつて開拓碑「双竜獄」(1893年8月)、それに代わって「開拓碑」(1916年6月)が建立された。また、ミニ天文台も頂上に設置されている。この天文台は1963年に137.5万円で作られたという。





▼映像:頂上からの眺望

魅力2.瞰望岩の下:SLなど鉄道車両を静態保存展示!

瞰望岩の下の公園も見所が満載だ。麓にある公園内には「がんぼう岩」と書かれた案内板もあり、岩を見上げることができる。自然も豊かで、リスも生息しているという。

公園内にはSLとラッセル車が静態保存されている。屋根付きで保存されているのは、遠軽町章の星マークがついたSL、D51859号。戦時下の1943年11月19日に製造され、山陽本線で走行後、遠軽機関区に移転し石北本線で活躍した。237万Kmを走行した後、1972年7月7日に廃車となり、現在地に展示された。

雪かき車キ100形式282号は、1954年に京都で製造されたラッセル車。運転整備重量31.1t、自重26.6t、長さ11.39m、4.02m、最大除雪幅は4.5m。旭川鉄道管理局配属で、道北地方を中心に除雪を行った。しかし、除雪車両近代化によりディーゼル機関車に転換されていったため、1986年11月に廃止された。鉄道関連ではそのほか、D51484とのプレート表記がされた車輪も展示されている。

麓にはほかにも「ハッカ記念碑」(1911年11月最初の建立、1958年に遠軽町開基60週年および遠軽町薄荷耕作組合創立10週年を記念し石碑へ建て替え)が設置された。明治32年以降、岩周辺の学田農場内にハッカ畑が広がり、市街地が形成されるきっかけとなった。湧別原野の中でもここの開拓が発展したのはハッカ栽培によるところが大きかったとされる。

遠軽町郷土館(遠軽町西町1丁目2番地、9:00~17:00、月曜日(祝日の場合翌日)と年末年始は休館、入館料150円)も設置されている。2階建ての館内には、開拓時の用具や道具や写真パネルなどの歴史的資料、姉妹都市の資料、廃止された名寄本線の鉄道関連資料も充実しており、総計4400点が常設展示されている。

このように、瞰望岩は遠軽の歴史が詰まった場所でもあった。瞰望岩の上も下も楽しめる場所なので、両方訪れていただきたい。