5年ぶりに復活した幻の名瀑!天人峡「羽衣の滝」はどう変わった?

大雪山系旭岳の南西に位置する天人峡。その渓谷の奥には落差270mと道内最大を誇り、「日本の滝百選」にも選ばれた「羽衣の滝」があります。

▼霧雨に煙る秋の天人峡(2010年10月撮影)

昔、盗まれた羽衣を取り返してもらった天女が礼にと舞った「羽衣の舞い」から滝が生まれたという伝説もあり、嫋々と流れ落ちるその姿はまさに渓谷を舞う天女の姿そのもの。

かつては道内のみならず本州からも多くの客が訪れ、地元の観光関係者によると紅葉のシーズンには「ここの温泉宿の予約が取れなかったほどの賑わい」でした。

ところが2013年に天人峡で大規模な土砂崩れが発生。滝に至る遊歩道は土砂や倒木で埋もれて復旧の目処がたたず、道が閉ざされた羽衣の滝は「幻の名瀑」としてそのまま長い眠りに入ってしまいました。

▼長い眠りに入った「幻の名瀑」(2010年10月撮影)

羽衣の滝、ふたたび!

「羽衣の滝遊歩道 5年ぶりに開通」と嬉しいニュースを見たのが2018年6月のこと。5年の眠りから目覚めた羽衣の滝と再会する期待に胸を膨らませつつ、早々に現地に向けて車を走らせました。

▼羽衣伝説に由来する「見返り岩」

天人峡温泉街の先にあるゲートを通り抜けると、羽衣の滝まではおよそ600m。天人峡の爽やかなエネルギーを体いっぱいに吸収しながら久々の遊歩道に足を踏み入れます。山を見上げると、そこには羽衣伝説に由来する「涙岩」や「見返り岩」の懐かしい姿も。

▼再整備された遊歩道

災害で埋もれた遊歩道はきれいに整備されており、以前より格段に歩きやすくなっています。これなら小さな子供さんや高齢者の方でも安心して滝までの行き来を楽しむことができます。

野鳥のさえずりを聞きながら渓流沿いを歩くことしばし。滝見台の手前にあるトイレの正面に、右手・敷島の滝(現在は通行止め)と左手・羽衣の滝それぞれから流れてくる二本の川の合流地点があります。

この場所こそ崩落事故前の2012年に東川町観光協会(当時の名称)の方とマイナスイオン測定器を使って調査した時、滝の展望台や他の場所に比べて数倍の大きな数値を計測した「癒やしのスポット」でした。

▼2012年の調査で高いマイナスイオン数値を測定

かつて調査に歩いたそのスポットが遊歩道復活の今もなお健在との確認ができて、感無量。この場所に滞留するマイナスイオンの爽やかなエネルギーを感じたのでしょうか、上流に向かって大きな深呼吸をしている観光客や気持ちよさそうにお弁当を広げてくつろいでいる姿も見受けられました。

▼二つの川が合流する癒やしのスポット

新しい滝見台から羽衣の滝を臨む

▼真正面から滝を観覧できる新しい滝見台

休憩所の先にある橋をわたると、新設された滝見台に到着。以前展望台があった対岸にあたる場所で、今回は真正面から滝を観覧できる絶好のロケーションに設置されています。

▼ベストショットを求めてカメラを構える観光客

ベストショットを求めてカメラを構える観光客や上から流れ落ちる水に歓声を上げる家族連れなど、羽衣の滝の楽しみ方はそれぞれ。この日北海道を見舞った猛暑にもかかわらず、たくさんの人々が羽衣の滝から流れ来る冷気と爽やかなマイナスイオンを満喫していました。

▼秋の羽衣の滝(2010年10月撮影)

北国の短い夏が駆け足で通り過ぎ、大雪の木々が色づき始めると、天人峡は一年で最も美しい季節を迎えます。5年の眠りから目覚めた「天女」がこの滝でどのような舞を見せてくれるのか、今から楽しみです。

天人峡トレッキングのお役立ち情報

その1 こんなランチはいかが?

シンプルながらも深い味わいのお散歩むすび

天人峡トレッキングでお昼にかかってしまい、「お腹がへったのでどこかでランチを」と思っても、周辺にレストランはなし。また天人峡温泉で二軒あるホテルでもランチはやっていません。

そこでおすすめするのが、こちら「羽衣の滝 お散歩むすび」。地元東川町でとれたお米を使い、紅鮭入り白米と黒豆黒米のおにぎり2個セットで、そのお値段は税込320円です。

シンプルながらも深い味わいのこのおにぎりは、麹や玄米、黒豆といった素材のヘルシー感もたっぷり。天人峡のマイナスイオンと一緒にいただいたら、元気モリモリは間違いなしですよ。

「羽衣の滝 お散歩むすび」は、旭川から天人峡のルート上にある道の駅「ひがしかわ道草館」で販売しています。トレッキング前にぜひゲットしておきましょう。

その2 トレッキングのあとは入浴タイム!

▼大きな水車が名物! 天人閣の露天風呂

トレッキングのあとは露天風呂でさっぱり、という方は天人峡遊歩道に入口にある「天人閣」で一汗流して帰りましょう。創業120余年を誇る道内でも老舗の名湯で、緑褐色に濁ったそのお湯はもちろんマニア垂涎の「源泉掛け流し」。

大きな水車のある名物露天風呂に身を浸し、渓谷の奇岩や忠別川のせせらぎを眺めながら「滝見トレッキング」の疲れを癒やす。そんな贅沢を味わってしまうと、そのまま家に帰るのがいやになってしまうかもしれませんよ。

天人峡・羽衣の滝
所在地:北海道上川郡東川町天人峡温泉
天人閣日帰り入浴料金 税込1000円
問合せ先:ひがしかわ観光協会(0166-82-3761)、天人閣(0166-97-2111)、道の駅ひがしかわ道草館(北海道上川郡東川町東町1丁目1-15 、0166-68-4777)