今も残る14の美しき「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」を巡る

かつて北海道上士幌町には、旧国鉄士幌線が走っていました。それに伴い、鉄道橋として当時いくつかのコンクリートアーチ橋梁が造られました。

現在は廃線になってしまいましたが、今でも美しい姿を残している橋梁があり、中でも崩壊が危ぶまれているタウシュベツ川橋梁は有名です。それらは総称して旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群と言われています。

現在見ることができるコンクリートアーチ橋梁を紹介しましょう。

今でも見られる橋梁群

旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群のいくつかは、登録有形文化財として登録されています。現在でもその美しい姿を見に行くことが可能です。現在見ることができる橋梁を上士幌町市街から糠平国道(国道273号線)を北上するルートで紹介します。

▼旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群マップ

1.勇川橋梁


(写真提供:NPOひがし大雪自然ガイドセンター)

帯広―ルベシベ間を結ぶ予定であった士幌線(上士幌―十勝三股間は音更線として建設され1939年開通)のコンクリート造カルバート橋。ひがし大雪鉄道アーチ橋群のひとつで、橋長4mと小規模ですが、パラボラアーチとしている点に特徴があります。登録有形文化財です。(出展:文化庁国指定文化財等データベース)

2.第三音更川橋梁

1937年に完成した、橋長71mのアーチ橋です。鉄筋コンクリートアーチ橋としては北海道一の大きさを誇っています。桜と釣りの名所泉翠峡という景勝地に架かっています。登録有形文化財です。

▼橋の上は立ち入り禁止になっています

3.糠平第一陸橋

1955年に完成した橋長47mのアーチ橋です。国道から見上げると見つけることができますが、緑が多い季節になると木々の影になり見つけることは難しくなります。

4.下の沢陸橋


(写真提供:NPOひがし大雪自然ガイドセンター)

5.第二音更川橋梁

1936年に完成した橋長73mのアーチ橋です。断崖絶壁に沿って造られていて、川を渡らない陸橋です。

▼橋の上は立ち入り禁止になっているため木々が生い茂っている

6.第四音更川橋梁

1936年に完成した橋長91mのアーチ橋です。橋は途中で分断されていますが、崩落したのではなく、撤去されました。

▼音更川に架かる部分は36mの鉄の桁橋だった

7.中の沢陸橋

1955年に完成した橋長50mの陸橋です。

8.糠平川橋梁

1955年に完成した橋長63mのアーチ橋です。ぬかびら源泉郷の中心から歩いて15分ほどの所にあります。橋の上は渡ることができます。登録有形文化財です。

▼橋の上は遊歩道になっています

9.三の沢橋梁

1955年に完成した橋長40mのアーチ橋です。広い駐車場が整備され大型バスの駐停車も可能です。橋の反対側ではトロッコを運行しています。登録有形文化財です。

▼橋の上は渡ることができ、橋の下におりていく道がある

10.五の沢橋梁

1955年に完成した橋長7mの小さいアーチ橋です。冬は糠平湖上でのワカサギ釣り場へのアクセスポイントとなっています。

▼木々の緑が豊かになると国道からは見ることができなくなる

11.タウシュベツ川橋梁

1937年に完成した橋長130mのアーチ橋です。車を停め、少し歩くと展望台に出ます。そこからは橋梁を見ることができますが、行くことはできません。タウシュベツ川橋梁については、別途詳しく紹介しましたのでそちらをご覧ください。

12.第五音更川橋梁

1937年に完成した橋長109mのアーチ橋です。国道に架かった橋と高さがそれほど変わらないので見やすい橋です。また紅葉の時期は背景の山々が赤や黄色に色づきコラボレーションが素敵です。登録有形文化財です。

▼橋の上は立ち入り禁止になっている

13.第六音更川橋梁


(写真提供:NPOひがし大雪自然ガイドセンター)

1938年に完成した橋長96mのアーチ橋です。幌加温泉手前の国道から東に少し入ったところに架かっています。登録有形文化財です。

14.十三の沢橋梁


(写真提供:NPOひがし大雪自然ガイドセンター)

1938年に完成した橋長58mのアーチ橋です。十三の沢林道入口より1kmほど奥に入ったところにあります。登録有形文化財です。

橋以外にも見ておくとよい場所

上士幌町には、橋梁群以外にも旧国鉄士幌線にちなんだ見どころがあります。鉄道ファンにもおすすめの場所なので、橋梁群見学と併せてご覧になってはいかがでしょう。

旧国鉄士幌線旧幌加駅

幌加除雪ステーション裏側にあります。旧国鉄士幌線・幌加駅の跡地で、短いながらも線路やポイントも残っています。ポイントは手動式で、動かすことができます。

上士幌町鉄道資料館

1987(昭和62)年に廃線になった旧国鉄士幌線の路線図や過去の写真、保線工具、ジオラマなどが展示されています。今回紹介した旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群の地図も販売されていますので、興味がある人はぜひ。

いかがだったでしょうか? 写真で見るだけでもその静謐な美しさは伝わってくると思いますが、実際に目の前にすると、より胸に迫ってくるものがあります。役目を終えた建築物がただ佇んでいる様は、ある種のもの哀しささえ漂わせています。

有名なタウシュベツ川橋梁を見るだけではなく、今回紹介した橋梁群も回ってみてください。いろいろと考えさせられることがあるかもしれません。

取材協力
上士幌町観光協会
所在地:北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線238番地 上士幌町役場商工観光課内
電話:01564-7-7272
公式サイト

NPOひがし大雪アーチ橋友の会
所在地:北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線239-187
電話:01564-2-3385
公式サイト
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NPOひがし大雪自然ガイドセンター
所在地:北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷北区44-3 糠平温泉文化ホール内
電話:01564-4-2261
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