釧路の自動車学校にはなぜか本物のロンドンバスがある!(走らないけど)


【釧路市】 イギリス・ロンドンといえば、長年、赤い二階建てバス(ロンドンバス)のイメージがあった。そんなロンドンバスが釧路に行けば見れるという。それが、釧路自動車学校(KDS)のロンドンバスである。

旧型ルートマスターと呼ばれる最も有名なタイプのバスは、1959年に本格的な生産を開始し、その後の10年間で2800台以上が製造された。しかし排ガス規制やバリアフリー化、安全性の問題などから、2005年12月に路線バスとしての役割を終えたのは記憶に新しい。

こうした二階建てバスは日本にも何台か輸出された。高さ4.4mという規格は日本国内では特殊車両通行許可なく走行することはできないため、一般道を走行する姿はめったに見られない。とはいえ、日本国内にはロンドンバスをロンドンバスから購入し保存している場所が何箇所かある。その一つが釧路というわけである。道内の他の地域では見られないロンドンバスも、釧路なら見られるのだ。

自動車学校の検定用待合室として活用中


このロンドンバス、地元釧路では自動車学校の名物として知られている。大きな通り沿いに面して置かれており、ひときわ目を引く。送迎車でもなく、公道を走ることはなくオブジェのような感じであるが、自動車学校の生徒が実技検定を行う際の待合室として活用されている。二階にベンチが設置され、自動車学校敷地内を一望することも可能だ。

普段は後部出入口に鍵をかけ一般向けに開放されているわけではないので、外観のみ見学可能。2012年10月には外観を塗り直した。くすんだ色が鮮やかな赤になり見栄えもよくなっている。車体には「KUSHIRO DRIVING SCHOOL」の文字。夜間にイルミネーション装飾されて、幻想的な雰囲気を醸し出すこともあるという。

釧路自動車学校のロンドンバスは「LYR 732」というナンバープレートが記され、後方には「253」という数字も記されていた。先述のルートマスターが登場する直前、1939年から1954年まで4000台以上製造されていたAEC社の「Regent III RT」タイプ「RT 2748」で、1951年にデビューしたとされる。引退後転売を経て、1989年に日本の企業が購入し日本にやってきた。

霧という共通点がロンドンバスを呼んだ

しかし、なぜ釧路にロンドンバスがあるのだろうか。ロンドンと釧路の共通点に注目したという。それは「霧の町」という共通点。夏の釧路は霧の日が多く、「日本のロンドン」と呼ばれることがある。そんなわけで、釧路にロンドンバスはやってきた。実は釧路自動車学校自体も、石やレンガを使い、イギリスのカレッジ風デザインを採用している。どうやらこの自動車学校は、ロンドンを感じるのに打って付けの場所のようだ。夏に訪れれば、よりロンドンらしさを感じられるに違いない。

釧路自動車学校(KDS)
釧路市芦野5丁目12-1 [地図]
外観見学自由