一石三鳥!? 大自然と銭湯とラーメンを一度に味わえるGUEST HOUSE MASAGO

馬を横目に海沿いを走る町、浦河町(うらかわちょう)。車を降りて歩いていると、不意に漂ってくるのは食欲をそそるラーメンの香り。目に映るのは銭湯の湯気。そして聞こえてくるのは、さまざまな方言が混ざった笑い声。

ここは、ラーメン屋さんと銭湯の2階にある宿、「GUEST HOUSE MASAGO」です。今回は、五感すべてを使っても足りないほどの浦河の魅力と、2018年1月にオープンした、地元のこだわりが詰まった宿をご紹介します。

風呂入っておいで!の声の主とは

▼初対面を感じさせないお喋りをしてくれるオーナー、大久保さん

GUEST HOUSE MASAGOのオーナーは、大久保直幸さん。ラーメン屋で湯切りをし、銭湯のお湯を沸かし、宿ではゲストさんに気さくに話しかける――。

様々な役割を担う大久保さんは、体験移住者へ向けた自然ガイドのボランティアをしていた経験を活かし、時間を見つけては宿泊してくれたゲストさんをよくアウトドアに連れていくそうです。渓流釣りに、山菜取り、野鳥観察。ご自身もアウトドアが大好きだからこそ、穴場のスポットへ連れて行ってくれて、浦河ならではの自然との遊び方を、実際に体を動かして教えてくれます。

▼大久保さんが作る、道産の素材にこだわったラーメン

▼ゲストさんは、1階の銭湯に入り放題

▼ゲストさんを連れて渓流釣り

都会の足音とは違う、馬の足音に耳を傾けて

▼牧場の中だけでなく森の中をホーストレッキングできるのが魅力

ここでは、北海道の自然すべてが遊び場であり、遊び道具です。

そんな浦河町は、札幌から襟裳岬方面へ高速道路を利用して約3時間のところに位置しています。サラブレッド牧場と日高山脈に囲まれた海沿いの町で、夏は涼しく、冬は温暖で雪が少ない穏やかな気候から「北海道の湘南」とも呼ばれています。馬と共存している浦河の人々は、大自然が似合う心の豊かさで、町の外から来た人々を温かく迎えます。

そんな浦河町が取り組んでいるのは、「ちょっと暮らし」と呼ばれる体験移住。都会の喧騒から離れて、馬を囲んで繋がる人々とのゆるやかな生活を求めて、毎年たくさんの応募があるそうです。

「ただいま!」と帰ってくる場所

宿ができたきっかけのひとつは、その「ちょっと暮らし」にありました。体験移住への多数の応募で、毎年抽選に漏れてしまう方が生じてしまいます。そんな方が少しでもふらっと遊びに来られる場所を創るため、また体験移住後に戻ってきてくれる方のおうちになるために、浦河町には交流型の宿、ゲストハウスが必要だったのです。

ひとつの宿に詰め込まれたもの

▼地元の方でアイデアを出し合い、自分たちの手で創り上げた内装

多くの方の希望が詰まってオープンしたGUEST HOUSE MASAGOは、宿の内装にも多くのこだわりが詰まっています。もともと銭湯の家族風呂だった2階のスペースは、設備老朽化のため2017年5月に40年の幕を閉じ、その後 宿に生まれ変わりました。そのため、部屋のところどころに銭湯の名残が残っています。

また、内装のほとんどは、地元の業者さんや地域の方々と一緒に浦河町周辺の廃材を利用して創ったものだそうです。今まで使ってきたものを若手のアイデアでアップデートさせて、もう一度たくさんの方に触れてもらう。そんな想いが詰まっています。

▼銭湯のロッカーをそのまま利用

▼銭湯の名残がある洗面台

浦河に泊まる、ではなく、浦河で暮らす旅

浦河の町は、大規模な商業施設があるわけでも、目立った観光地があるわけでもありません。そのため素通りされてしまうことの多い町だと、地元の方は話します。ですが、ここGUEST HOUSE MASAGOでは、1~2週間滞在する方も少なくないといいます。

実際に宿泊していた、京都府の大学に通う男の子に話を聞いてみると、滞在期間中は乗馬や渓流釣りなどアウトドアをして遊ぶほかに、地域のイベントに参加したり、地元の方との飲み会に誘ってもらったりしたそうです。

このように、宿のゲストさんは1泊では味わいきれないアットホームな雰囲気に、いつのまにか心地よく巻き込まれているのです。地元の方と交流をしたり、自然の中で遊びを見つけたりと、長く滞在すればするほど浦河の町が大好きになってしまう魅力が、ここにはたくさんあります。そのため、Uターンして地域おこし協力隊として働いたり、移住して地域で仕事をしたりする方もたくさんいるそうです。

五感ともう一つで感じるものとは

オーナーの大久保さんは、ゲストさんが浦河で体験した出来事を思い出してくれたり、「また必ず行きます」と手紙を貰ったりしたことが一番嬉しかったと話します。

自分のことを話す時よりも、ゲストさんとの想い出話をするときの方が、キラキラした目で語ってくれた大久保さん。その大久保さんがこの宿に居てくれるからこそ、地元の方たちの協力を得られ、一度訪れた人がまた大久保さんに会いに帰りたくなる、そんな空間ができあがっているのです。五感で感じる素晴らしい体験と、心で感じる素敵な出逢いが、ここGUEST HOUSE MASAGOには溢れています。

▼地元の方と旅人さんがごちゃまぜになって、ラウンジでパーティー

いつもより少しだけ早起きして朝日を浴びながら向かう野鳥観察、戻ってきてからのんびりと浸かるあったかい銭湯のお湯、そしてお風呂上がりに食べる絶品のラーメン、夜は地元ならではの食材を使った持ち寄りパーティに参加したり、地元の方とカラオケに行ったり、そんな浦河の日常をのんびりと過ごす旅。

普段はあまり使っていない五感をフル回転させながら、心を癒しに是非、浦河の町に遊びに行ってみてください!

GUEST HOUSE MASAGO
所在地:北海道浦河郡浦河町堺町東1丁目11-1
電話:0146-22-2645
宿泊料金:ドミトリールーム3,300円、シングル・ダブルルーム4,500円、ファミリールーム5,000円(いずれも税別、銭湯入浴料込み)
※子供料金あり