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函館山にある要塞跡をほぼ制覇!ガイド引率による函館要塞見学の旅

鈴木麻代
Written by 鈴木麻代

函館山にある要塞跡をほぼ制覇!ガイド引率による函館要塞見学の旅

2015年6月13日、NHKの人気番組「ブラタモリ」で、「函館の夜景はなぜ、美しい?」をテーマに放送されて以来、注目を集めている函館要塞。筆者も函館山ふれあいセンターの北海道アウトドアガイド時岡浩和さんによる案内で、函館山にある要塞跡をほぼ網羅するコースを巡ってきました。

登山でしか見られない要塞跡も見学

函館要塞を見学する方法は大きく2つあります。ひとつは函館山ロープウェイに乗車して山頂へ行き、散策がてら山頂付近の要塞跡を短時間で見学するコース。もうひとつは登山でしか見られない要塞跡も見学するコースです。里山登山が好きな筆者は登山しながら見るコースを行くことにしました。コースは下記の通りです。

函館山ふれあいセンターを出発→宮の森コース側へ進み軍事用石橋を渡って車道に出る→函館山三十三観音第一番を越えて車道を進み、旧登山道コースへ入る→5合目→千畳敷へ→牛の背分岐をさらに進み、千畳敷要塞跡→入江山コースに入り入江山観測所→つつじ山駐車場を通過→山頂展望台(御殿山第一砲台)→つつじ山の御殿山第二砲台→薬師山で薬師山砲台→薬師山コースを歩いて旧登山道へ→1合目付近で洞窟式の火薬庫を見学→函館要塞時代の貯水槽→函館山ふれあいセンターに到着

▼函館山ふれあいセンターにて北海道アウトドアガイド時岡浩和さん
函館山にある要塞跡をほぼ制覇!ガイド引率による函館要塞見学の旅

所要時間は4時間50分(途中30分の休憩を含む)でした。

函館山は100万年前の火山活動で出現した標高334メートルの低山です。入江山やつつじ山など12のこぶ山が連なった総称して函館山と呼びます。函館要塞は1895年、日清戦争終結後、日露戦争を予測して函館湾と津軽海峡の防衛強化を目的に4年ほどかけて、大小5箇所の砲台(御殿山第一砲台、御殿山第二砲台、立待岬堡塁跡、薬師山砲台、千畳敷砲台)が建設された軍事施設です。2001年に函館山は「函館山と砲台跡」として北海道遺産にも選定されています。

登山道にある石垣も要塞跡です。(下の写真)

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函館山には川がありません。生活用水や火薬の爆発時に備え、必要な水を確保するため石張水路が造られました。登山道の脇を流れる水路も要塞跡なのです。(下の写真)

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千畳敷砲台。石垣に空いた丸い穴は、各砲座間の指示伝達が行われていた伝声管です。(上の写真)

千畳敷トレイ跡地には、便器として使用されていた陶器の破片が残っていました。(下の写真)

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4重構造の地下隠蔽壕。 夏でも冷んやりと湿った空気で、軍事施設独特の緊迫したムードが漂います。(下の写真)

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1905年、函館要塞全体の指揮所として竣工された千畳敷戦闘司令所跡。壁の穴をのぞくと電話室が見られます。そして千畳敷戦闘司令所内部、電話室。(下の写真)

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千畳敷見晴所。(下の写真) ここからは駒ケ岳や下北半島、津軽海峡も見渡せ、さらに現在、函館山ロープウェイ山麓駅のある山頂展望台がほぼ一直線上に見えるのです。ブラタモリで放送された函館夜景が美しいヒミツがここにあり!! 山頂を横から見えると平らなのがわかります。

▼千畳敷の見晴らし所。測遠機のあった場所
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▼千畳敷見晴所。晴れた日と霧の日では視界は雲泥の差となる。千畳敷見晴所から一直線上に山頂も見える
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函館山の山頂はもともと尖った形をしており、標高は現在よりも14メートル高い348メートルだったといいます。要塞を建設するために削られ平らになりました。函館山山頂から眺望するロケーションは、要塞の上に成り立っているのです。

函館要塞は老朽化が進み、安全のため立ち入り禁止のところが多くあります。そんななか、千畳敷戦闘司令所跡は整備されており、レンガ造りの施設の内部にも入って見学することが可能です。

入江山観測所跡、御殿山へ

次は左手に函館湾を眺めながらつつじ山駐車場方面へ進み、入江山コースを歩いて入江山観測所跡へ向かいました。入江山観測所からは360℃見渡すことができます。

▼入江山観測所跡。八八式海岸射撃具砲砲座跡も。天候の影響に対応するため、観測所は標高の違う数カ所に設置されていました。
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函館山ロープウェイ山麓駅のある山頂にあったのが御殿山第一砲台です。(下の写真) 現在の山頂駐車場は御殿山第一砲台跡の上につくられています。1900年に完成、28cmの榴弾砲4門を備えていました。現在は安全面の問題から一般の見学はできません。駐車場を下りる階段近く、柵越しに少し覗く程度となっています。

▼御殿山第一砲台
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御殿山第二砲台。(下の写真) 航行する艦船から砲台を隠すため、 砲座から海は見えません。では、どうやって射撃することができたのでしょうか。砲座の近くにある観測所から伝えられる数値を基に射撃を行なっていたのです。 写真の大砲は演習用で、実際に使われることはありませんでした。しかし、要塞の存在により函館港は攻撃されなかったといいます。

▼現在の御殿山第二砲台と、函館中央図書館所蔵/大正11年に撮影された御殿山第二砲台の様子
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▼御殿山第2砲台、砲側庫に続く階段
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高台へ登ると芝生の広場があり函館湾を眺望しながら休憩できます。

もっとも古くからある薬師山砲台

次はもっとも古くからある要塞、薬師山砲台へ。

▼薬師山砲側庫跡
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函館市街地を見ながら 薬師山コースを歩き、旧登山道を下りると、1合目付近に洞窟式の火薬庫があります。最後に要塞時代の貯水槽を見て、函館ふれあいセンターへ到着しました。 函館山ふれあいセンターも要塞跡地です。

▼函館要塞時代の貯水槽
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1899年、要塞地帯法が制定されてからおよそ50年間、一般の人は函館山への立ち入りを禁止されました。写真撮影はもちろん、模写も禁じられるなど、函館山は地図や写真から抹消されていたのです。

下の写真は戦前のものとされている十字街付近の絵葉書。函館市中央図書館所蔵。軍事司令部許可済の文字が刻印があり、函館山は隠されています。

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また、軍事要塞の建設が始まる前の函館山の写真を見ると、木がなく枯れ山と化しています。樹木は薪やニシンを加工するための燃料として使われ、貴重な収入源となっていたので伐採されていたのです。要塞地帯法が制定されてからの約50年、函館山への立ち入りが禁止されたことにより、山に緑が戻ったといいます。

ブラタモリで紹介されてから、国内・国外から見学を希望する観光客が急激に増えているとのこと。函館山のガイド料は無料。函館山ふれあいセンターにも要塞資料の展示があります。

問い合わせ・申し込みは函館山ふれあいセンター
函館市青柳町6-12
TEL:0138-22-6799
市電:宝来町電停下車徒歩20分
函館市公式ウェブサイト

※2016年7月9日14:30付:ガイドの時岡浩和さんの氏名、観音や展望施設、要塞施設名称の表記に一部誤りがありました。お詫びし訂正いたします。

筆者について

鈴木麻代

鈴木麻代

1970年生まれ。フリーライター。26歳の時に函館で地域情報紙のフリーライターとしてデビュー。全国版観光旅行誌、田舎暮らしの本他、様々な機会に恵まれる。仕事に子育て、ボランティアと多忙を極め一抹の不安を感じてたある日、ガンにかかる。自分に合う生き方・働き方へチェンジを試み、42歳で離婚し札幌へ。北海道ファンマガジンの情報をもとに札幌めぐりを楽しむうち、2015年7月よりライターとして関わる。一眼レフを片手に執筆ジャンルは幅広く、単独取材~ロケハン同行取材もこなすグリーンレモンな人と言われる。プロフィールの続きは鈴木麻代WEBで検索を。