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トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

編集部
Written by 編集部

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

【新得町】トンネルや洞窟内など、暗闇の中でエメラルドグリーンに光ることで知られるヒカリゴケ。道内では羅臼町のマッカウス洞窟がヒカリゴケのスポットとして知られていますが、岩盤内部に亀裂が発見されたことから、2014年3月に全面立入禁止となってしまいました。

ヒカリゴケを見ることができなくなったとお嘆きの方は、新得町の旧狩勝線跡のトンネルへ行ってみてください。マッカウス洞窟に負けず劣らず、ヒカリゴケが大規模に自生している穴場スポットなのです。今回はそのヒカリゴケを楽しみつつ、100年以上の歴史を持つ旧狩勝線の2つのトンネルの楽しみ方もご紹介します。

ヒカリゴケが見られる旧狩勝線跡とは?

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

まず最初にこの場所の歴史について触れておきましょう。かつて根室本線の日高山脈超えは、南富良野町の落合駅から、現在の国道38号線・狩勝峠に沿うように東進し新得駅に至るというルートでした。落合駅から狩勝峠・狩勝隧道の建設が始まったのは1901年7月で、1905年に竣工しました。落合~新得間が開通したのは1907年9月のことでした。

旧狩勝線は半径181mの大カーブなど、連続する急カーブと急勾配が特長でした。頂上の峠付近の、十勝平野が眼下に広がるその風景は絶景とされ、「日本三大車窓」の一つとして知られていました。

しかし、25/1000の急勾配で運転が厳しく、隧道内は冬季に漏水が凍り老朽化してしまうなどの理由から、新ルートの建設が進められることとなりました。そして1966年9月、新狩勝トンネルを通る新線が設けられると、旧狩勝線は約60年の営業路線としての役割を終えました。

廃線跡のうち、新得駅近くのSL広場から旧狩勝隧道までの17㎞区間は、2005年に旧狩勝線フットパスとして整備され現在に至っています。中間地点の一つである旧新内駅跡地には旧狩勝線ミュージアム&カフェがあり、旧狩勝線の鉄道遺構を楽しむための拠点でもあります。まずはここに立ち寄って沿線について学んでおくのがよいでしょう。

ヒカリゴケ大群生は「新内隧道」新得側入口に!

ヒカリゴケが自生しているのは、峠越えする2つの隧道(トンネル)のうち、新得側にある新内隧道です。国道38号線の狩勝峠6合目の看板で砂利道に入り、フットパスルートを峠側にひたすら進んでいくと、まず新内隧道に突き当たります。

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

新内隧道の長さは約124mで、内部で急カーブしているトンネルです。入口は、御影石の石積みとレンガ造りで、アーチ部分に石の装飾(頂上に要石)、両脇に柱状の意匠が施された、デザイン性に富んだ風格あるたたずまい。当時で42,300円の建築費用を要したといいますから、なるほど立派です。特に大きなリニューアルもしておらず、100年以上前の竣工時の姿を今でも楽しむことができるトンネルであり、2003年11月に土木学会選奨土木遺産に選定されています。

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり
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トンネル内部は、新得側入口から約15m先の内部天井が崩壊して土砂が入り込んでおり、立ち入ることはできません。トンネル両端の入口に柵を設けており、内部に入ることができないようになっています。

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり
トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

ヒカリゴケが自生しているのは、この新内隧道の新得側入口(北側)付近。入口から約8m奥までの約6~8m2の範囲に緑色のヒカリゴケが広がっています。ヒカリゴケは暗く湿った環境で生育する特長がありますが、この隧道の入口付近は日陰になり、水の流れもある湿った環境が、ヒカリゴケの群生を促したのではないかと思われます。

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり
トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり
トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

この場所でヒカリゴケが発見されたのは割と最近で、2010年秋のこと。翌年までに専門家の分析でヒカリゴケであることが確認され、2012年12月21日に新得町文化財に指定されました。暗闇の地面に光るヒカリゴケは美しいものです。

最奥部「狩勝隧道」にも行っておこう!

ここまで来たら、その先の行き止まりにあたる狩勝隧道(トンネル)にも立ち寄っていきましょう。新内隧道は内部を通ることができないため、脇道をショートカットして、逆側の入口から旧線ルートをたどっていきます。

トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり
トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

狩勝隧道も内部に立入はできません。954mある狩勝隧道は、3年半で344,000円かけて建設したというトンネルです。隧道内は勾配が続くこともあって機関車の排煙が運転に支障をきたしたため、新得側入口には1948年11月に遮風用垂れ幕が設置され、24時間体制で保線係員が垂れ幕の上げ下げの操作をしていたといいます。その垂れ幕を格納するトンネル上部の装置は今はありませんが、当時の苦労の跡を見て取ることができます。

▼かつての狩勝隧道を抜けた先の車窓はこんな感じだった
トンネルの中で光るヒカリゴケも見られる!旧狩勝線トンネルめぐり

ヒカリゴケと共に、2つの隧道、そしてその沿線から見ることのできるかつての絶景の車窓を、是非お楽しみください。

新内隧道のヒカリゴケ
上川郡新得町字新内642番地 [地図]

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