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歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」

四ツ倉恭子
Written by 四ツ倉恭子

歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」

【北見市】明治から昭和にかけ、北海道そして北見で多くの日本人に慕われたアメリカ人宣教師・ピアソン夫妻。この夫妻の私邸として建てられたピアソン記念館が、今年建築100周年を迎えました。夫妻が15年間過ごしたこの洋館は、今なお当時の暮らしぶりや夫妻の足跡を伝える記念館として無料で公開されています。

ヴォーリズ氏作の価値ある歴史的建造物、北海道遺産に選定される

街の中心部、住宅が並ぶ丘にひっそりと建つピアソン記念館。NPO法人ピアソン会の理事を務める伊藤さんにお話を伺ったところ、この建物の佇まいに惹かれるファンは多く、この外観を参考に店舗を作ったり、家を新築する際に記念館の図面を見に来たりする人もいるほどだとか。それもそのはず、この家は日本建築史に名を残しているウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計により建てられたものなのです。価値ある歴史的建造物は時代を越えて愛されることの証明でもありますね。

長い間この建物は保存されているものの作者不明で扱われており、またヴォーリズ氏の作品は北海道にないと考えられていましたが、1995年に専門家の鑑定で正体が判明。現在では北海道遺産にも選定されています。

ちなみにヴォーリズ氏といえば、NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』の主人公・村岡花子の母校、東洋英和女学院を建築したことでも知られています。また現在放送中の『マッサン』で、妻エリーのスコットランドの実家として登場する洋館(駒井家住宅/京都府)も氏の作品。ヴォーリズ氏つながりで、最近の連ドラとも何かとご縁のある建物です。

▼この上げ下げ窓もヴォーリズ建築の特徴のひとつ。錘とロープで開閉位置を調整できる画期的なものだったそう
歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」

ピアソン夫妻の足跡や功績を紹介する1階

記念館の1階では、ピアソン夫妻の足跡や功績を紹介しています。アンティーク家具や足踏みオルガンなど当時の暮らしを忍ばせるものも多く展示されています。貴重な書籍などの資料や写真は、日本だけでなくアメリカまで行って収集したものもあるのだとか。館内の案内や資料については、NPO法人ピアソン会のボランティアスタッフの方が詳しく解説してくれます。

▼ピアソン夫妻
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▼当時はこの部屋に、北見で最初のクリスマスツリーも飾られていたそう
歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」
歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」

100周年を記念し、より幅広い客層に対応できるようにと導入したのが「音声ガイダンス」。英語と日本語の音声解説が録音されたiPodでじっくりと展示物を理解することができます。外国人観光客や、マイペースに閲覧したい日本人観光客に好評で、来年にはもう少し多言語化する予定だとか。iPodとiPadをそれぞれ3台ずつ用意してあるので、希望の人は声を掛けてみてください。

また、このiPodには音声だけでなく、ガラスケースに収蔵されていて直接閲覧不可能な書籍の全ページのデータが取り込まれており、自由に閲覧できます。希望があればデータは渡すことも可能とのこと。興味のある方にとっては非常にうれしいサービスですね!

歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップ!北見「ピアソン記念館」

ヴォーリズと姉妹都市に関する資料が展示される2階

2階には、ヴォーリズ記念室や唐笠何蝶記念室、ピアソン氏の故郷だったのが縁で北見市が姉妹都市盟約を結んだアメリカニュージャージー州エリザベス市資料展示室などがあります。当時の間取りをそのまま生かしているので、「ここが客間で、あっちが寝室」と思いながら巡るのもまた一興。ちなみに現在保管庫(非公開)になっている部屋は、元バスルーム。2階にバスルームとは今でこそよくある間取りですが、当時はかなり斬新だったことでしょう。

▼ヴォーリズ記念室
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▼エリザベス市資料展示室
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MISIAさんのPV撮影で使われたソファーも

ところでここ数年、展示室の一角にあるソファーを目当てに来館する人もいるようです。その理由は、歌手MISIAさんの曲『恋は終わらないずっと』(2012年)のプロモーション・ビデオに使用されているソファーだったから。ピアソン記念館としてはPVの撮影に使われたことは全く宣伝しておらず、ファンのアンテナの高さには、ただ驚かされるばかりとか。MISIAさんと同じポーズで皆さん記念撮影していくそうですよ!

▼MISIAさんが座って歌っていたソファー
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▼こちらがそのPV

実はパワースポット!?

また近年、ピアソン記念館はパワースポットとしても認知されています。「それも来館者から聞いて初めて知ったことですが(笑)、でも言われてみれば、確かにピアソン会のボランティアスタッフは皆さん長寿。ピアソン夫妻は宣教師でしたが、宗教を信仰する、しないに関わらず、『人のために心を尽くす』という夫妻の生き方は、灯台の光ように人々の心を導いていくようなものだったと思います。その心に触れられる当館は、やはりパワースポットなのかもしれません」と伊藤さん。

華々しい観光スポットとは一線を画していますが、歴史的建造物の中で100年前にタイムスリップし、皆さんもほっこりと温かな気持ちになれるはずです。

ピアソン記念館
所在地:北見市幸町7丁目4番28号 [地図]
TEL:0157-23-2546
開館時間:9:30~16:30、毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始は休館
入館料:無料
ピアソン記念館ウェブサイト

1914年5月以降にヴォーリズによって建築された日本最北の洋風木造建築物。キリスト教伝来と教育で貢献した米国人ピアソン夫妻が、約15年ここで生活したあと、神原信一が8年間、ツルーメン宣教師が4年間、唐笠何蝶医師が8年間入居。その後は1952年から北見児童相談所として利用され、1963年以降は様々な団体が使用した。1968年に北見市が保存のため取得し、1970年に復元工事をし、翌年1971年5月31日に記念館として復元公開した。1996年に北見市指定文化財第7号に指定されたほか、2001年に北海道遺産第1回に選定され、2009年10月24日~12月22日まで大改修が行われた。

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筆者について

四ツ倉恭子

四ツ倉恭子

ヨコハマ出身。旅行会社、知床のネイチャーガイドを経て、Webライターに。現在は網走市郊外の農村在住。自然とともにある暮らしに理想は抱きつつも信条はなく、ライフスタイルは限りなく大雑把。2人のボーイズを骨のある男たちに育てるミッションにも奮闘中。子連れでも楽しめるスポット探しが好き。