裏側に入れる滝も!豊浦町の秘境 ポンベツ川流域の4滝を制覇する!

さあ夏が来ます! と言っても既に暑い日が続いていますね。北国の短い夏を如何にして楽しもうかと毎年考えるわけですが、今年は北海道内の滝を巡ってみようと思い立ちました。軽装備で時間をかけずに行ける、あまり知られていない滝を選んで探検します。

ポンベツ川流域に存在する4つの滝

最初に選んだのは、豊浦町の北側、ニセコ町との境にそびえる昆布岳(標高1,045m)より湧き出ているポンベツ川。アイヌ語の「ポン・ぺツ(小さい川)」を語源とした川で、「ポンベツの滝」という落差もあり滝壺もある、誰もが思い描く形をした滝があるようです。

さらには、ポンベツ川の支流にあたる上泉川沿いの上流には「そうめんの滝」、ポンベツ川下流沿いには「白糸(しらいと)の滝」、「透見(すかしみ)の滝」の3滝があり、それぞれの滝の距離はそんなに離れていません。

準備とルート設定

国道37号線から道道720号線へ入り坂を登っていきます。途中左折して道道914号線を昆布岳登山口へ向かって進むと、左手に「ポンベツの滝入口」という看板があります。ゆっくり見ていかないと、通り過ぎてしまいますので注意が必要です。

以前は探勝路があり全ての滝を見ることができたようですが、現在では川まで降りる道だけを残こし、ほかはまったくなくなっているため、沢登り用の靴を履いて川の中を歩き、滝を目指します。獣道のようなコースを400mほど下って行くと、小さな橋が架かっており、ポンベツ川と上泉川が合流する部分に出ます。ここから、各滝へとコースが分かれます。

▼傾斜のきつい場所には側の木にロープが架けてあります

▼奥に小さな橋が見えます

▼4つの滝の位置関係

今回の行程としては、ポンベツ川下流にある「白糸の滝」~「透見の滝」を先に見て、その後戻ってから上泉川上流にある「そうめんの滝」、また戻って最後にポンベツ川上流にある「ポンベツの滝」へ向かうことにします。

白糸の滝(しらいとのたき)

ポンベツ川と上泉川の合流地点から、ポンベツ川下流へ向けて行くのですが、二つの川が一つになっていますので、水の量は多く川幅も広くなっています。しっかりと川の流れや深さなどを見て、慎重に進んでいきます。

▼川の両岸が崖で中央はかなり深い。目を凝らしてよーく見て左右どちらが行けるか判断します

合流地点から約400mほど下ると、かすかに水の落ちる音が聞こえてきます。下流に向かって左手の藪の中から水が流れ出ており、その奥の暗がりに見えるのが「白糸の滝」です。この白糸の滝は、周りの草木に隠れていて、川の対岸からでは奥にある滝が確認できないほどですので、注意していないと見つけられないかもしれません。

白糸の滝は2段に分かれており、どちらも岩盤を伝うように流れ落ちています。水量が多ければ上部はもう少し大きく放物線を描き、落水するのでしょう。幅は1m程ですが、高さは20m程あるようですので、十分滝として楽しめます。

▼白糸の滝上部

▼白糸の滝下部

透見の滝(すかしみのたき)

さらにポンベツ川を下ります。

白糸の滝から200m程下ると、前方右岸に水が流れ出ているが見えてくるのですが、情報がないと素通りしてしまうでしょう。

逆光と草木の多さで見えづらいのですが、注意深く奥の暗い部分を覗くと、動くものが見えてきました。これが「透見の滝」です。

この滝も2段に分かれている形ですが、奥にある上部は見事に水が落ちていて、しかも滝の裏に入ることができそうです。すぐさま対岸へ渡り、上部の滝を目指します。

▼透見の滝正面から

▼透見の滝横から

▼透見の滝裏から

この滝も幅は1m程ですが、高さは約20m、上部だけでも10mは超えてるでしょう。岩盤を伝う滝も良いですが、水が空中を落ちていくのもよいですね。

そうめんの滝

ポンベツ川下流にある二つの滝を見た後は、ポンベツ川と上泉川の合流地点へ戻り、今度は上泉川の上流にある、そうめんの滝を目指します。先ほどと比べるとかなり歩きやすくなりますが、倒木もあるのでそう簡単にはいかない気がします。

周りを見渡しながら、ゆっくり登っていくと、渓流ならではの様々な光景に癒されます。

▼倒木を覆う苔とキノコ

合流地点から600m程の所で、右側の奥に「そうめんの滝」が見えてきます。

この滝も岩盤を伝うような流れで、上部が滝らしい形になります。下部の幅は2m程ですが上部は5m程あり、水が複数の筋となって落ちてきています。高さは約15m、迫力はさほどないものの、綺麗な流れを楽しめる滝です。

▼そうめんの滝上部。地層の横筋と縦に流れ落ちる水が芸術的

ポンベツの滝

再びポンベツ川と上泉川の合流地点へ戻り、最後の滝、ポンベツの滝へ向かいます。ポンベツの滝はほかの滝と違い、本流そのままが滝となっているため、川をひたすら登れば辿り着けます。さらに、川の上流に向かって右岸沿いに、昔の道がかすかに確認できますので、川に入らず行くことができます。

ポンベツ川沿いを歩くと、綺麗な花が結構咲いており、楽しませてくれます。

▼コンロンソウ(崑崙草)とミゾホオズキ(溝酸漿)

200m程進むと、背丈ほどある蕗が密集している場所があり、その奥から「ザー」という今までにない大きな落水音が響いてきます。顔を上げて先を見ると、「ポンベツの滝」が見えてきます。

滝の近くまで行くと、大きな滝壺が見事に丸く広がっていて、その中へ落ちていく大量の水とその音が周りの崖に反響しており、滝へ辿り着いた満足感を大きくしてくれます。

この滝も2段になっていますが今までの滝とは違い、下部が圧倒的な滝の形を成しています。川幅は約5m、高さは約20m。

周りが開けているので、解放感もあり、見ごたえ十分の滝です。

これからの季節にはもってこいの沢登り。ルート確認と天候確認は忘れないで楽しんでくださいね。

ポンベツの滝
所在地:虻田郡豊浦町新山梨