草原が波打つ!? 北海道ガーデンショー会場「十勝千年の森」

ここで一日のびのびしていたい―、久しぶりにそんなふうに思った場所に出会った。清水町の「十勝千年の森」である。

十勝千年の森は、清水町の日高山脈と十勝平野のちょうど境界あたりにある。山脈がせりあがっていくゆるやかな斜面に位置する。ここはとにかく面積が広い。壮大なスケールのもと、「大地」「森」「野の花」などと人と自然をつなぐ「農」をテーマに造られた4つのテーマガーデンが存在する。「アース・ガーデン(大地の庭)」「ファーム・ガーデン(農の庭)」「フォレスト・ガーデン(森の庭)」「メドウ・ガーデン(野の花の庭)」の4つであり、自然の叡力を活かしてじっくりデザインして整備してきた美しい北海道ガーデンである。



中でも感動的なのが「アース・ガーデン」である。緑の草原が波を打っているという表現がぴったりの5ヘクタールに及ぶ広々とした草原だ。ここはもともと平地だったそうだが、日高山脈をイメージして大小13の起伏を整備。一つ一つの丘は片面を削ったかのようなもので、日高山脈方面を見る景色と逆のパターン、それぞれに太陽光のあたり具合が異なるので、場所によって様々な風景を楽しめるようになっている。かけっこしてみたくなる景観である。



最も山に近いのが「フォレスト・ガーデン」。そこから「アース・ガーデン」を挟んで「メドウ・ガーデン」「ファーム・ガーデン」「ローズ・ガーデン」の3つは同じエリアにある。「メドウ・ガーデン」はイギリスを代表するガーデンデザイナー、ダン・ピアソン氏がデザインしたもので、野花が整然と配列されている。「ファーム・ガーデン」のエリアでは、十勝初のリンゴ栽培に成功した「アップルガーデン」や、国内でも珍しいヤギのチーズ製造を行う「ゴートファーム」がある。







入口付近には「エントランスフォレスト」として、清らかな小川が流れる森を散策することができる。この森は本来の笹を刈り取ることで草花が育ってきたという。樹齢70年以上のミズナラやハルニレの緑豊かな木々や花々を見ながらの散策は癒しそのものである。「十勝千年の森」は面積が広大で、ゆっくり徒歩で回るなら3時間は必要。急ぐならセグウェイという乗り物もあるので便利だ。随所に現代アートもあり、自然とアートの両方を楽しめるのも魅力だ。

2012年は、北海道ガーデンショー会場に







2012年の6月から10月はじめまでは「北海道ガーデンショー」会場になり話題となった。入口近くのデザイナーズ・ガーデンと山側のアート・インスタレーションを舞台に、白井温紀氏、中谷耿一郎氏、竹谷仁志氏、ダン・ピアソン氏、長澤伸穂氏の招待作家の作品が展開される。また、やはり入口近くコンペティション・ガーデンに、「恋の庭」をテーマにした厳選ガーデン、ファームガーデンに「山羊の遊びの庭」の作品を展開。森の中に自然と調和した美しいアートが誕生した。

山のような造形の「Dress Garden」、鏡面を造り上げた「コイコガレル」、透明の細いパイプが何本も立つ「森の蜃気楼」など、興味深い作品と触れ合っていただきたい。

十勝千年の森
所在地:清水町羽帯南10線
TEL:0156-63-3400
営業:無休、4/21-11/4、10:00-17:00
入場料:※北海道ガーデンショー期間中1500円(中高大学生500円・小学生以下無料)
URL:http://www.tmf.jp/