日本一の直線桜並木が札幌にあった?! 総延長10.5㎞「新川さくら並木」

北海道で桜並木といえば、有名な静内二十間道路桜並木(新ひだか町)、桜が丘通り(函館市)、登別桜並木(登別市)などがありますが、日本一の桜並木と称されることの多い(ただし諸説あり)スポットが札幌市にあるのをご存知ですか? それが、札幌市北区・手稲区を経て小樽市で日本海に注ぐ新川沿いの「新川さくら並木」です。

何が日本一かというと、直線の桜並木としては日本最長だとか(道内最長)。その総延長は10.5㎞に及びます。とはいえ、その見ごたえ度は場所によってあまりにも差があるようで……。そんな新川さくら並木の見どころをご紹介します。

地元住民の願いにより実現した新川さくら並木

新川とは、明治時代の1886~1887年に排水路として開削された人工河川。そのため、川の大部分が直線になっています。後代になって川の両側に新川通が整備され、この通りは今や交通量の多い幹線道路の一つとなっています。

▼新川上流域

新川さくら並木は、琴似川・新川の右岸に続き、上流の北区側の区間(7.445㎞)と下流の手稲区側の区間(約3㎞)に大別されます。下流側の手稲区に位置する桜並木は、1990年から1991年にかけてエゾヤマザクラが、まず植樹されました。しかし、海に近いことから枯れる木も多く、2010年まで伐採と植樹を繰り返してきました。

一方、上流側の北区に位置する桜並木は手稲区に遅れること約7年後、1998年4月から2000年4月にかけて3度にわたりソメイヨシノとエゾヤマザクラ、計755本が植樹されました。

地元住民が約30年にわたり願い続けてきたものの、河川法の規制により実現できなかった「新川の河川敷に桜並木を」という夢。それが現実となった瞬間でした。

新川さくら並木の見どころは上流側にあり!

日本最長とされる直線桜並木ですが、手稲区側の区間は先述の理由から、ビューポイントとしてはほとんど適さないというのが正直なところです。新川通りを小樽方向に向かって走るとわかりますが、細い木が花をほとんどつけずに立っている状態です。

▼手稲区側の桜並木はこのような残念な状態

この桜並木は、海から離れるほど、つまり上流側に行くほど、見ごたえがあります。シーズンになると最も賑わうのが、宮の森北24条通との交点(ダイイチ八軒店が目印)からJR札沼線(学園都市線)の高架までの約1㎞区間。ソメイヨシノとエゾヤマザクラのコラボレーションが楽しめます。

なお、散策路が整備されている右岸が北区の新川さくら並木。左岸にも2.7㎞続く桜並木がありますが、こちらは西区の八軒中央地区桜並木と呼んで区別しています(新川が西区と北区の境界線となっています)。いずれの桜並木も植樹からそれほど年数が経っていないため、比較的低木であり、花のアップを撮影できるのが嬉しいポイントです。

さらに下流に進み、JR札沼線の高架から札樽自動車道と交差する地点を過ぎると、新川通の上下線が合流。これに伴い、左岸の桜並木は途絶え、右岸の桜並木だけが続いていきます。しかし、手稲区内に入ると、さきほどのような勢いはもはや感じられません。

北区の7.5㎞、手稲区の3㎞、合わせて10.5㎞にわたる直線状の桜並木ですが、花見を楽しむなら上流に行きましょう。なお、駐車場はありません。JR札沼線(八軒駅が最寄り駅)など、公共交通機関をご利用ください。

【動画】動画で見る新川さくら並木