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自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

高橋真由美
Written by 高橋真由美

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

新得町は北洋銀行清水支店がある清水町の隣町。大雪山と日高山脈に抱かれるように広がる人口約6300人の町です。農業王国十勝の中でも、新得町特有の日中は温かく、夜に涼しい寒暖差のある気候は、そばの栽培に最適です。

明治時代、農作物を育てるには厳しい気候の中で、新得の町に入植した人々がまず植えたそば。それゆえ新得町開拓の歴史は、そば栽培の歴史でもあると言われています。今では年間300トン以上の生産量に加え、品質日本一にも選ばれたこともある高品質のそばとして全国に名を馳せています。

新得から狩勝峠へ向かう国道38号線沿いに約1.5kmも続く「そばロード」と呼ばれるそば畑。夏は白いそばの花が美しく彩ります。秋、ちょうど収穫が行われるのがこの時期、爽やかに晴れた日に集中的に収穫作業を行います。ですから、新そばが味わえる美味しい季節でもあるのです。

今回は、新得そばをさまざまに体験できる「新得そばの館」をご紹介。新得のおいしいそばをじっくりたっぷり味わいましょう。

挽きたて、打ちたて、ゆでたてを味わえるレストラン「玄穣」

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!
自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

「新得そばの館」内にある、そばレストランが「玄穣」。使用しているそばは、もちろん新得産(自社農園)のボタンそば。玄そばの上皮もむき、白い部分を石臼で時間をかけきめ細かに挽いて更科系のそば粉にし、その粉を職人さんが手打ちで麺に仕上げます。手打ちの様子は、レストランから見学可能です。

そばの一番贅沢な食べ方と言われる、挽きたて、打ちたて、ゆでたての「三たて」でいただくことができるとあって、レストランには多くのそばファンが訪れます。地元の人はもちろん、旅行途中の家族連れ、わざわざ遠くから来たという年配のご夫婦。広いレストランに美味しい笑顔が広がります。

メニューにも新得そばを楽しんでほしいという気持ちが込められています。定番人気のせいろかけそばはもちろんですが、新得地鶏を使ったメニューにも注目してみてください。また、新得産季節の野菜のかき揚げなど、月替わりのメニューも人気です。何度足を運んでも、そのたびに新鮮な味わいに出会えるのが嬉しいですね。

そば打ち体験で、自作そばをいただきましょう

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

「新得そばの館」に入るとガラス張りの「手打ち体験道場」なるものがあります。水回し、こね、延ばし、たたみ、切るなど、いくつもの工程がありますが、専任講師がじっくりと指導してくれますので、初心者でも大丈夫。

一人500gの粉(約5人前)を手打ちし、1人前は試食、残りは持ち帰ることができます。手打ち体験は約1時間。自分で打ったそばはきっと初めての味わいでしょう。

手打ち体験は、12台あるので、1台3名36名までの利用が可能。小人数からグループ、団体まで体験できます(前日までに予約をして下さい)。

<清水香菜美さんがそば打ちを体験してみました!>

まず、エプロンと帽子を着用。手を手首から上までしっかり洗います。では、「新得そばの館」の手打ち法を伝授します。行程は全部で9つ、1時間前後で出来上がります。

(1) 水回し
こね鉢にそば粉を入れ、適量の水(加水率40〜45%)を一度に注ぎ、手早く混ぜて多数のかたまりをつくります。最初が肝心。ダマになるまで頑張ります。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

(2)こねる
こね鉢の湾曲しているところを利用して練り、粘りとツヤが出ると菊練りをして丸い玉にします。適度に体重をかけながら、リズムカルに行うのがコツ。 ※菊練りとは: 空気と余分な水分を抜くために巻き込むようにして練っていくこと。古くから陶芸で粘土を練る時に使われてきた手法で、練っている時に菊の花のような模様が出ることから「菊練り」と言われます。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

(3)基礎延し
台にそばの玉を置き、転がしながらタケノコを倒したような形にします。台に打ち粉をふり、手のひらを使いながら外側に向かって円形に延ばします。

(4)丸出し
のし棒を使って、円の形を崩さないように延ばしていきます。一方から力を加えるのではなく、いろいろな方向から外側へ向かって延ばしていきます。

(5)四つ出し
円形の生地をのし棒に巻き付け、レモンの形をつくるように転がす動作を繰り返し、四つ角をつくっていきます。

(6)幅出し
四角い形を保ちながら、生地をのし棒に巻き付けるようにして、全体を均一の厚さに整えます。何度か同じ作業を繰り返します。台のうち粉を払い取ります。

(7)本延し
四角い生地を広げ、生地の中心からのし棒を使って左右上下へ、全体を一定の厚さに延ばしていきます。厚さはおよそ2mmが理想的。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

(8)たたみ
打ち粉をたっぷり使って、生地を半分に、半分にと8枚にたたんでいきます。

(9)切る
こま板を使って、およそ2mmの幅で切っていきます。こま板をしっかり押さえ、切り口が四角になるように、包丁は垂直に落とす感覚で。麺は心細いかな……と思うくらいの幅がちょうど良いとのこと。何度か切ったら打ち粉をふるい落として、めん箱に並べていきます。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

手打ち麺のできあがりです。「これだけの過程を経てそばが作られていることを知らなかったので勉強になりました。丁寧に指導いただきながらなので初心者でも楽しめました」と清水さん。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!
「自分で打ったそばは愛着がわきますね」

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!
もちもちしていてコシがあって舌触りがなめらか。「ちょっと不揃いのところもありますが(笑)、自分で打ったそばの味は格別です!」

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

動画で見るそば打ち体験

そば打ち職人、北條紀美恵さんが語る「そば人生」

「新得そばの館」におじゃました日、手打ちの指導をして下さった指導員の方が北條紀美恵さん(59歳)です。そば打ち職人というと男性のイメージが強かったのですが、笑顔の女性が現れた時にはちょっと驚きました。そこで、北條さんにそば打ち職人としての想いを伺いました。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

北條さんがそば打ちを本格的に学び始めたのは8年前。職人の高齢化もあり、後を継ぐ人を探していたそうです。北條さんの実家はそばも栽培していた農家さん。若いうちからそばに親しみ、自分で打っていたこともあり「そば打ち職人にならないか」と声がかかったことをきっかけに、本格的に修行に入ったと言います。

「自分で好きに打っていたのとは全然ちがいます。まず、なぜこんなきれいな麺になるのかというところからの始まりでしたからね。自分で打っていた時は、ブツブツ切れてしまってましたからね(笑)」

「そばの館」でお客さまにお金をいただいて食べていただく麺を打つ――。当初はその責任の重さを感じてばかりいたと言います。それでもそば打ち職人としての道を選んだ以上は、前へ進むのみと自分に言い聞かせ、そば粉を練る毎日。季節によって、気温によって、また新そばとそうではないそば粉によって、打ち上がった麺は微妙にちがいます。

「最初の2〜3年は必死でした。でも続けていくうちに感じたことがあるんです。男性と女性では打った麺に違いがあるのではないか、もっと言えば打った人の個性が出るということ。どの人が打ったのか分かると茹で釜担当の人に言われたんです。ドキッとしました」

体調が悪いとそばにも元気がない、考え事をしながら打つとやっぱりそばも考えごとをしているそばになると北條さん。それを感じる余裕が出てきたのは、つい最近と笑います。そして現在も勉強中の身だと言います。

毎朝「レストラン玄穣」の開店に合わせ、うち場で数人の職人がそれぞれ20人分ほど打ちます。開店後はホールを手伝いながら、お客様の入り具合によっては、また打ち場に入ったり。さらに「そば打ち体験」のお客様への指導。それもまた北條さんの楽しみだと言います。

「人様に教えるのは、本当に難しい。分かりやすく、そして楽しく打ってもらいたいですよね。そばをもっと好きになってほしい、また打ちたいと思ってほしい、笑顔で帰ってほしい、いつもそう思っています」

お客様をそばで笑顔に……。北條さんの想いです。そのためには北條さん自身が健康でなければなりません。その秘訣を聞いてみました。

「まずはケガをしないように。仕事を楽しむ。夫と一緒にそばの食べ歩き(笑)。それから週2回のバドミントン、家庭菜園、あとは……」

忙しい毎日を精一杯楽しんでいるようです。ご主人は北條さんの良き理解者で、「そば打ち職人は天職かもね」と応援してくれている最も心強い存在です。

「そば打ちの作業って、最終的に美しい麺に仕上げるためには、きれいに延ばす、そのためにきれいに練る、そのためにきれいに水回し……。結局ひとつも手抜きはできない。初心に還るんですね。だから毎日が新しい、そんな気持ちです」

年齢にとらわれず、体力が続く限り、新得のそばを打つ職人でいたいと話す北條さん。そして冬期間はレストランの女性スタッフとともに、売店で販売しているそばがら枕や小物など、そばグッズの製作も行っています。一年中そばに関わるそば人生を楽しんでいる北條さん。新得のそばをもっと食べてみたい、そう思える素敵な笑顔です。

ヘルシーおいしい、そば&そばグッズ

食欲を満たしたら、お土産を探してみませんか。「新得そばの館」には、新得そばはもちろん、町の特産品やそばグッズが並ぶショップがあります。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

さまざまな種類の新得そば、特製の新得そばつゆ、そば粉に加え、そば粉を使った和菓子、スイーツなどもあります。他にも新得そばの蜂蜜、そばがらを使った枕など、バラエティ豊かなお土産に、ちょっと迷ってしまいそう。

そういえば、ソフトクリームも人気です。定番のバニラも美味しいですが、おすすめはやはりオリジナルの「そば味ソフト」。さっぱりした美味しさが男性にも人気です。11月までの期間限定です。

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

「新得そばの館」は、そばを見て、楽しんで、味わえる場所。訪れた時には、新得町の自然と新得町を愛する人々が育んだ新得そばを全身で感じてください。

新得そばの館
上川郡新得町基線102番地
電話:0156-64-5888
FAX:0156-64-5728
公式サイト

営業時間(年中無休)
4月〜10月
 レストラン玄穣 11:00〜19:00(LO18:30)
 手打ち道場   9:00〜17:00
 特産品コーナー 9:00〜19:00
11月〜3月
 レストラン玄穣 11:00〜17:00(LO16:30)
 手打ち道場   9:00〜17:00
 特産品コーナー 9:00〜17:00

そば打ち体験(要予約)
1人1ねり 2,500円
2人1ねり 4,000円
3人1ねり 4,500円
※税込、材料費込み。
(グループ、団体の場合は、お問い合わせ下さい)

北洋銀行清水支店(シミズシテン)

自分で手打ちしたそばを「新得そばの館」で贅沢に味わおう!

上川郡清水町本通3丁目19番地1
TEL:0156-62-2181

筆者について

高橋真由美

高橋真由美

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