旅する

日本一早く最終列車が発車する新十津川駅は日本一おもてなしに溢れる駅だった

日本一早く最終列車が発車する駅が、北海道にあります。札幌と旭川の中間、少し旭川寄りに位置する新十津川駅(空知管内新十津川町)です。

それにしても、日本一早く最終列車が発車するとは、まるで謎掛けのような一文です。一体どういうことなのか、JR札沼線の新十津川駅を訪ねてみました。するとそこには、なんとも温かい交流が待っていたのです。

日本一早い最終列車のワケとは

▼列車を降りると「ようこそ新十津川へ」の文字が(写真提供:鉄道ファン)
日本一早く最終列車が発車する新十津川駅は日本一おもてなしに溢れる駅だった

新十津川駅は、札幌の隣駅である桑園駅から続く路線の終着駅です。この路線は「札沼線」と呼ばれ、その名の示す通り、札幌市から新十津川町を越えた先の沼田町まで続いていました。しかし、利用者の少なさから沼田町までの路線が廃止され、現在のような新十津川駅までとなったのです。1972(昭和47)年のことでした。

▼駅に列車が到着するのは1日1回のみ(写真提供:鉄道ファン)
日本一早く最終列車が発車する新十津川駅は日本一おもてなしに溢れる駅だった

さらに新十津川駅はJR北海道によって「極端にご利用の少ない駅」(乗車人員1日平均10名以下)のひとつに数えられ、2016年3月26日からは1日1往復のみの運行となってしまいました。新十津川駅から出発する列車は、朝10時に出る1本のみ(2018年3月17日ダイヤ改正)。つまり、最終列車が日本一早い朝10時に発車する、というわけなのです。

▼清掃の行き届いた駅舎内(写真提供:鉄道ファン)
日本一早く最終列車が発車する新十津川駅は日本一おもてなしに溢れる駅だった

「いつかこの路線も廃止され、新十津川駅がなくなってしまうかもしれない」。そんな危機感を15年以上も前から抱き、たったひとりで「新十津川駅を勝手に守る会」を発足し、密かに活動を続けていた人がいました。

自称会長と名乗る、三浦光喜さんです。最初は地道に駅前の草刈りを行うところから始め、その輪は年々広がっていきました。駅舎内を清掃し、JRに提供してもらった塗料で落書きを塗りつぶし、駅周辺に花壇をつくり、有志の人々の手によって、駅はみるみる息を吹き返していったのでした。

そして、日本一のおもてなしの駅へ

駅の周りに多くの花が咲き誇るようになり、近所の保育園児たちが水やりを担当していました。ある日、水やりをしていた園児が、列車に向かって手を振りました。すると乗客も、車窓から手を振り返してきたのです。子どもたちは大喜び。それ以降、列車を見送ることが園児たちの日課になりました。

▼列車を見送るかわいい姿(写真提供:新十津川町地域おこし協力隊)
日本一早く最終列車が発車する新十津川駅は日本一おもてなしに溢れる駅だった

筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】