鳥居が海の上にある!初山別みさき台公園崖下に珍スポット金比羅神社

【初山別村】海の上にたたずむ鳥居といえば広島県の厳島神社が有名ですが、北海道にも海の上に建つ鳥居があります。それが、初山別村の「道の駅ロマン街道しょさんべつ」「岬センター」がある「みさき台公園」崖下にある「金比羅神社」。崖下でなかなか気づかれない場所にありますが、隠れた珍スポットとしてじわじわ人気が高まっています。

道の駅の施設の利用だけではもったいない

道の駅に指定されている「みさき台公園」は、観光施設の少ない初山別村において最大の観光名所・イベント開催地です。敷地内には、日本最北のしょさんべつ天文台、しょさんべつ温泉「岬の湯」が入る「岬センター」、オートキャンプ場、ゴーカート、レストラン北極星などがあります。

これらの施設はすべて崖上の高台に建っており、海抜40mほど。ここからは晴れていれば利尻島や天売島・焼尻島も見られることもあります。通常なら道の駅に寄って、温泉や天文台を利用して終わりという人も多いかもしれません。しかしここから長い階段で海岸に下りてみていただきたいのです。

その木造階段は、金比羅岬灯台の近くの駐車場から、海岸の豊岬漁港まで続いています。急な崖によく作ったなという階段は、曲がりくねりながら、小さな滝の横を通ります。階段を降り左手に曲がると、波にもまれながらも建つ赤い鳥居が見えてきます。


海の上に鳥居が建つ金比羅神社

切り立った崖の下、大きな石が転がる海岸線を歩くと、だんだん赤い鳥居が近づいてきます。この付近は風が強く、冬季には泡のような「波の花」も見られるほどです。

金比羅神社があるのは、みさき台公園の突端である金比羅岬の崖下。ちょうど灯台の下あたりです。海にある赤い鳥居は高さ5mほどでコンクリート製の土台の上に建っていますが、満潮時には海に浮かんでいるように見えます。干潮時には鳥居まで歩いていくことができます。


そこから崖側を見てみると、崖の穴に向かって13段ほどの階段がジグザグに作られており、もう一つの赤い鳥居が建つそこが金比羅神社の祠となっています。いずれの鳥居も額束に「金」の文字が配されています。

晴れていれば夕暮れ時に鳥居のシルエットとオレンジの夕陽のコラボレーションを楽しめますし、条件さえよければ利尻富士との組み合わせも見られるかもしれません。その鳥居は広島の宮島とは比べ物にならないほど小さいサイズですが、海に建つ珍しい鳥居を見に、記念撮影に、訪れてみてはいかがでしょうか。

海難事故が減ったから金比羅岬になったという伝説


神社のなかった時代、ここは風連岬と呼ばれていました。伝説によれば、明治40年頃に漁夫・奥瀬酉松が金毘羅神社の御札が漂着しているのを発見、もったいないとして再び海に流す、ということを3~4回繰り返すも、何度も漂着したといいます。それを家に持ち帰ったら病人が増えてしまったのでこの岩に祀ったところ、近海の海難事故が減少したことから、いつしか「金比羅岬」と呼ぶようになったそう。1926年に奥瀬酉松らが御堂を改築し、1953年にコンクリート製の御堂が加わりました。

ちなみに1969年10月31日には、この岬に金比羅岬灯台が点灯を開始しています。高さ12m、コンクリート造りの赤白灯台は、海抜44mの崖上にあり、5,600カンデラの光は、12.5海里、つまり約23kmも届くほど。かつて強風や吹雪で進路を誤って多くの海難事故が発生した初山別沖を航行する船舶にとって重要な道しるべとなっています。