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充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅

編集部
Written by 編集部

充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅

【音更町】 音更町の住宅地の一角に、知る人ぞ知る私設博物館「小さな鉄道博物館・十勝晴駅」がある。鉄道車両で実際に使われていた貴重な部品、サボ、ヘッドマークなどの展示をはじめ、鉄道模型の巨大ジオラマも設置。鉄道が好きで好きでたまらない人にとっては、まさに楽園のような場所だ。鉄道好きが高じて始めたという館長の穂積規さんに、同博物館の見所を伺った。

鉄道コレクションが所狭しと……

充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅 出迎えてくれた穂積館長がまず教えてくれるのが、玄関を入ってすぐの木製扉。かつて実際に根室本線などで使われていた旧型客車の車内引き戸を釧路市阿寒から運び入れ、そのまま館内の扉として使用している。館内にある2つの座席も同じ車両から持ってきたという。最近の車両ではまず考えられない直角の座席だが、鉄道ファンにとってはたまらないもの。将来的には上下に手動で開ける昔懐かしい窓を横に設ける予定だといい、さらに鉄道に乗った気分が味わえるに違いない。

充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅

充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅 壁面にまず目に入ってくるのがサボ(鉄道車両の側面にはめ込む行先表示板)の数々。その数30近い。「陸別行」「帯広―十勝三股」「帯広―上更別」「釧路―厚床―中標津」など道東のものが多く、今や廃線となっている鉄路のものもある。中には、片面は「糠平」もう片面は「広尾」と表記されたものも。旧国鉄・広尾線と士幌線とを直通運転していた列車が1本だけあったのだが、その時の貴重なサボになる。

一番のお気に入りは何かと穂積さんに聞いてみると、「興部―雄武」のサボと答えてくれた。これは幻とされる手書きサボで、偶然に店頭で見つけたという。その時、鳥肌が立つほどの感動を味わったことから、特に思い入れがあるという。

▼ダルマストーブなど見どころ満載
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▼車内放送時にオルゴールを鳴らすこともできる。▼右:特急「おおぞら」一番列車の貴重な切符
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特に好きだと語る、ふるさと銀河線と十勝鉄道

さらに注目すべきは、2006年4月に廃止された「北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線」コレクション。館長は、そのコレクション数は日本一と自負する。本別駅の発車時刻表や乗車券箱、ダイヤグラムに始まり、帽子、スタンプ、名札、時計、車両の方向幕や鍵に至るまで、ありとあらゆる物品を所蔵している。制服も数着保有しているが、これに関しては陸別町旧陸別駅の跡地を活用した鉄道体験施設「りくべつ鉄道」に貸与しているというから驚きだ。

▼充実のふるさと銀河線コレクション
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充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅 ふるさと銀河線に加え、もう一つ好きだと語るのは「十勝鉄道」。穂積館長は、2012年の同鉄道廃止まで、長年その姿を写真に収めてきた。十勝鉄道は地方専用線として珍しく、全国的な鉄道専門雑誌で何度も色々な形で紹介されたが、それは穂積館長によるところが大きい。「十勝晴駅」という愛称も、十勝鉄道の写真を撮ったときの青空、つまり十勝晴れが印象的であり、そこから命名している。館内には、今は亡き十勝鉄道の車両プレートなどが展示されている。

これ以外にも、挙げればきりがないほどの展示物がある。同館収蔵点数は2,000~3,000点としているが、数万単位であるのではないかと穂積館長。しかし、これだけの展示物をどのようにして集めたのだろうか。『半分もらったもの。情熱を込めて鉄道に関わると自然に物が集まってくる』というのがその答え。穂積さんは道内の鉄道関係者と深い関わり合いがあり、関係者から譲り受けたものがほとんどだと話す。まだまだ展示しきれていないものもあり、これからも増えていくという。

体験してもらうことを大切に

ところで、同館では大切にしていることがある。それは、マンツーマンで案内しながら、来館者に『体験してもらう』ということ。「一般的な博物館は見て終わりというところが多い。でも、見るだけじゃダメ。触れることが大事」と話す。例えば、サボを実際に持たせてもらってそのずっしり感を実感したり、オリジナル硬券(穂積―岡女堂)にハサミを入れてもらい、専用の器具で来館日付を入れることができる。ここでなければできない体験をさせてくれるので、ずっと記憶に残るに違いない。

▼オリジナル硬券を発行してくれる
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体験メニューの一つともいえるのが、NゲージおよびHOゲージの鉄道模型ジオラマだ。執筆時点でジオラマは制作途中だが、基本的な線形は完成しており、実際に鉄道模型を走らせることができる。下段に6線のNゲージ、上段に3線のHOゲージを配置。Nゲージは、北海道内で走る列車を中心にそろえており、線路も釧路運輸車両所や帯広駅の高架をイメージするなど北海道らしさも随所に見せる。鉄道車両の運転台を模したものを含む6台のコントローラーが前面の台にあり、音を鳴らしながら臨場感たっぷりに運転することも可能だ。

鉄道模型を始めたのは8年前。2006年廃止時期に発売されたふるさと銀河線限定Nゲージ模型を購入したところから鉄道模型にはまり、今に至るという。穂積さんによれば、道内でもこれだけの規模でNゲージジオラマを常設している場所はほとんどなく、道内最大級。鉄道模型が好きな人は、自分のお気に入りの模型を持参して走らせることができる。

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「十勝晴駅」開業までのいきさつ

穂積さんと鉄道の出会いは幼少期にまでさかのぼる。小さい頃から近くを鉄道が走っており、鉄道が身近であったことが影響し、鉄道好きになったと話す。鉄道ファンは様々なジャンルがあるが、穂積さんはどのジャンルも好きであることから、自身のことを「オールマイティー鉄道ファン」(笑)と呼ぶ。

こつこつ集めた鉄道コレクションは、もともと自宅二階に収納展示していた。しかし手狭になったため、自宅敷地奥で物置としていた小さな住宅を、風呂場などを撤去し改装、2014年2月2日にプレオープンした。館長は「家族に気兼ねなく鉄道の音を出せるようになった」と喜ぶ。現在は、8月24日のグランドオープンに向け、本業の合間を縫って準備を進めている。

音更町は元鉄道マンが多く住んでいる地域ということもあり、元鉄道職員が同館を訪れることもある。しかし来館者のほとんどが道内外の鉄道ファンで、中には九州から訪れた人もいるそう。長居する人も多く、朝から夕方まで8時間いた人、3日続けてやってきた人など様々だ。

「鉄道の趣味を通じて、人と人とつながることが何よりうれしい」と話す穂積館長。その人柄も手伝って、居心地よく感じ、時間を忘れてしまう場所だった。鉄道好きな方は一度は訪れていただきたい穴場スポットだ。

充実の鉄道コレクションは必見! 音更の体験型鉄道博物館・十勝晴駅小さな鉄道博物館「十勝晴駅」
住所:音更町柳町南区12番地 [地図]
TEL:0155-31-8336(自宅)、0155-31-8071(十勝晴駅)
運転日・時間:原則として毎週日曜日、10:00~18:00
入場無料。鉄道模型利用は維持管理費として2時間1,000円
運転体験(車両貸し出し)10分100円
※平日は夜のみ完全事前予約制で対応します。

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