旅する

炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

上ノ国町市街から車で約20分、木古内町市街から約30分。木古内町と上ノ国町のほぼ中間に位置する湯ノ岱(ゆのたい)温泉。江戸時代にはすでに温泉が湧出していた温泉地で、一時は宿泊施設もあったといいますが、現在は町が管理する「国民温泉保養センター」が日帰り入浴として営業しているのみです。

道南のひとたちに愛されてきた「湯ノ岱温泉」はどんな温泉なのでしょうか。その歴史や魅力に迫ります。

路線バスを乗り継いで旅する「バスタビ北海道」第3弾で、湯ノ岱温泉を訪れました。

江戸時代にはすでに知られていた

湯ノ岱地区は上ノ国町を流れる天の川の上流に位置します。2014年春まではJR江差線の湯ノ岱駅があり、木古内―江差間の鉄路の重要ポイントでした。現在は、路線バス(函館バス)か車で行くのが一般的です。湯ノ岱バス停からは徒歩で5~10分ほど歩きます。

▼湯ノ岱駅跡にある湯ノ岱バス停
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

湯ノ岱温泉の記録は、古くは江戸時代末期に実際に現地を訪ねた松前武四郎が記した『蝦夷日誌』(二編)にみられます。その中に、湯ノ岱地区には当時「人家3軒があり、耕作地があるが熊が多いので皆柵を結んでいる。秋は熊のため往来が止まる。少し離れて熱湯が出る温泉(人家1軒)があり、夏には江差から湯治客が来る」という旨の記述があります。この頃すでに湯ノ岱に温泉が湧いており、23km離れた江差町民の間でも知られていたことがわかります。

かつては冷泉が湧出していたそうですが、昭和に入ると町がボーリング掘削を行い、1973年に深さ170メートルの1号井、1988年に深さ1000メートルの2号井を竣工、湯ノ岱温泉の源泉井戸としました。

現在は掘削時よりも湧出量が減っていますが、1号井は毎分440リットルで源泉温度33.7度、2号井は毎分250リットルで源泉温度は39.0度。いずれも自噴しており、ポンプアップしていないのが特徴です。

温泉掘削後の1974年、加温かけ流しで、大浴場のほか家族風呂も設置する木造2階建「温泉旅館湯ノ岱荘」、1975年には町営の「上ノ国町国民温泉保養センター」がオープンしました。国民温泉保養センターには1979年、宿泊可能な「健康増進センターあすなろ荘」を併設しましたが、2005年に休館し、再開や転用のめどは立っていません。「湯ノ岱荘」も2012年に廃業したため、現在は「国民温泉保養センター」だけが日帰り入浴施設として営業しています。

なお、1974年3月には環境庁の国民保養温泉地に指定されています。

湯の花や炭酸泉が魅力の「上ノ国町国民温泉保養センター」

炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

湯ノ岱温泉郷「上ノ国町国民温泉保養センター」は、道道5号線沿いの湯ノ岱市街からは、天の川を渡った外れにあります。建物は、昭和の雰囲気たっぷりです。

泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物炭酸水素塩泉」で、大変珍しい炭酸泉。「血行促進効果により肩こり、腰痛、冷え性、筋肉痛、肉体疲労、ストレス等の症状が緩和したり改善されたりする」と町は解説します。

入浴料は1人350円、小人(3歳以上12歳未満)と年配者が100円。券売機で入浴券を購入するスタイルです。ロビーは広く、そのほかに休憩室もあり、ゆったりと過ごすことができます。コインロッカーはありますが、脱衣所にはコインロッカーがありません。また、シャンプー類は備え付けられていないので注意が必要です。

炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

大浴場には、3つの湯船と打たせ湯があります。大きな浴槽は42度に設定。2号井の源泉に約65度の湯を加水しています。中くらいの大きさの浴槽は38度で、2号井の100%源泉かけ流しです。小さな浴槽(ジャグジー)は35度で、夏季は1号井を、冬季は1号井に2号井の源泉を混ぜており、100%源泉かけ流しといいます。打たせ湯は3人が同時に楽しめる作りです。

▼38度の源泉
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」 炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

▼ジャグジー
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」 炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

▼打たせ湯
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」 炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

赤茶色の湯の色をしており、鉄分が多い泉質ですので、床や打たせ湯の壁を見ると温泉成分がこびりついて湯の花を形成。オープンから約40年の年月をかけて形成された、脈々と打つ血管のような床と、いぼいぼができた打たせ湯の壁は必見です。

▼お湯は鉄分を豊富に含む赤茶色
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

▼打たせ湯のいぼいぼ
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

▼脈打つ床
炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

大浴場は、面積は広く、窓が大きく開放的です。窓の外には芝生と木々と奥に山々が。秋には紅葉が楽しめます。また、温度もぬるめですので、長湯に向いています。しかも夏季は21時と、この地域では珍しく夜遅くまで営業しています。

なお、館内には食堂「母味路」もあり、親子丼、そば、うどん、カレーライスや豚汁などを提供しています。昭和の趣が残る隠れ家的な温泉施設で、珍しい炭酸泉や湯の花を楽しんでみてはいかがでしょうか。

炭酸泉が珍しい!こびりついた湯の花も必見!上ノ国町「湯ノ岱温泉」

【動画】動画で見る湯ノ岱温泉

上ノ国町国民温泉保養センター(湯ノ岱温泉)
所在地:檜山郡上ノ国町字湯ノ岱517番地5
電話:0139-56-3147
営業時間:10時~21時(11~4月は20時まで)
定休日:毎月第1・3月曜日(祝日の場合は翌営業日)、年末年始(12月31日~1月2日)

参考文献:『北海道の地名』、『北海道集落地名地理』、『上ノ国村史』、『北海道の温泉 源泉・かけ流しの湯』
出演:清水香菜美/竹村美穂(※「バスタビ北海道」第3弾 函館バス木古内―江差編で立ち寄りました。)

筆者について

編集部

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。